第三次ソロモン海戦における霧島とサウス・ダコタ

有坂純先生が一次資料を用いて第三次ソロモン海戦におけるサウス・ダコタの損害を読み解く。
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有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「交戦中及び交戦後において、脅威となる火災は何ら生じなかった。火災は全て小火災であり、ただちに消火された。もっとも深刻な火災は、V-319-T通路で発見された救命胴衣2着の炎上である。これらは、B-0502-M弾薬供給室の揚弾機からの火花で生じたと考えられる」

2013-10-26 11:51:54
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

1.1インチ砲または20ミリ機銃の弾薬の近くで救命胴衣2着が燻っていたのが、「サウス・ダコタ」のもっとも危険な火災だったわけです。

2013-10-26 11:55:30
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

おっと、おバカな間違いです。ごめんなさい。修正して再投稿します。

2013-10-26 12:01:52
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「第3砲塔は射撃不能となっていない」。 神話では「霧島」の1式徹甲弾で第3砲塔を壊されたことになっている「サウス・ダコタ」。では艦船局のリポートはどう言っているでしょうか。

2013-10-26 12:03:37
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「(バーベット装甲の)上方に逸らされた爆風と破片は、バーベットの気密シーリングと庇を30フィートにわたって破壊し、第3砲塔の右砲と中央砲の被筒を抉り、防水布を発火させた。 弾着後も、砲塔はなお射撃可能であったと信じられる」

2013-10-26 12:04:39
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「上甲板の後方に飛散した破片は、複数の20ミリ機銃、複数の砲の防弾板、複数の即応弾薬箱、右舷カタパルト、消火栓に被害をもたらした。 前方に飛散した破片は、上甲板及び第1上構甲板の上構を貫徹した」

2013-10-26 12:06:05
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

そしてこうも。 「装甲は設計通りの性能を発揮した。装甲板を貫徹した砲弾はない」

2013-10-26 12:06:53
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

日本艦隊の砲弾は「サウス・ダコタ」の船体や上構にかなりの孔を開け、僅かばかりの浸水を生じさせましたが、脅威となるような火災は発生せず、中枢はまったく無事で、主砲始め、艦の火力はほぼ完全に保たれていました。では、「サウス・ダコタ」が逃げ出す原因となったのは、いったい何なのか?

2013-10-26 12:10:55
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「5 電路系の障害は日本軍の射撃によるものではない」 電力を失ったから。これリポートの答えです。

2013-10-26 12:17:44
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

日本軍にレーダーを破壊されたから、という話もありますが、そちらは事実ではありません。5インチ砲射撃指揮レーダー1基が破壊され、SC-1捜索レーダーの架台に孔が空いた(ランドグレン修正で14インチ三式弾によるものとされている)のだけが、敵弾によるレーダーの被害の全てです。

2013-10-26 12:19:38
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

しかし、装甲を撃ち抜けないまでも、上構を袋叩きにして電路系を寸断し、戦艦を無力化して後退に追い込んだだけでも大した戦果ではないのか? 遺憾ながら、それもまた「神話」の一部に過ぎません。

2013-10-26 12:22:38
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「通常、敵の行動が原因でない被害はダメージ・リポートに含まれないが、本リポートでは、発砲の衝撃による電路故障がサウス・ダコタの深刻なハンディキャップとなったことを鑑みて、特に言及するものである」

2013-10-26 12:24:33
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「上構の電路に広範な被害が生じた。 射撃指揮、艦内通信、無線、レーダーの機能が多く喪失し、艦の戦闘力、わけても夜戦戦闘力を顕著に減殺せしめた。サウス・ダコタ電路工事表には、修理を必要とする35種類の電路が列挙されている」

2013-10-26 12:26:01
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「大多数の事例において、電路系の被害は特定の命中弾とは無関係である」 「交戦中、3分間にわたった射撃指揮及び艦内通信の電源喪失は、発砲による破壊が生じさせた電路のショートが原因である」

2013-10-26 12:27:10
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

簡単に説明すると、自らの発砲の衝撃で電路の誤作動が生じ、ショートした。もちろん軍艦ですから、間髪入れずに復旧システムが立ち上がりますが、その重要な一部、自動母線切替スイッチとフィーダ線及び主発電機のブレーカーの設計に不具合があり、大混乱を招いてしまったのです。

2013-10-26 12:31:16
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「艦の後部においては、約1分間にわたり全電源を喪失したと報告されている。 このことは最初の命中弾を受けるより前に起こったのである」

2013-10-26 12:32:51
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

日本艦隊の砲弾が命中するより前に、「サウス・ダコタ」は暗闇に包まれていた。3分間――戦場、それも彼我近迫する夜戦での長い3分間――「サウス・ダコタ」は装甲が分厚いだけの死にかけたアヒルとなっていたのです。

2013-10-26 12:35:10
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「6 大損害ゆえに後退したのではない」 既に答えは出ていますね。孫氏曰く、「戦争とは心理の戦いである」。

2013-10-26 12:43:08
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「全捜索レーダーの機能喪失は、サウス・ダコタの深刻なハンディキャップとなった。艦長は以下のように報告している」

2013-10-26 12:44:12
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

「(乗員の)捜索レーダーに対する信頼は驚くほどであった。この艦がSGとSC装置の双方を失った際の、士官と乗員たちが被った心理的な効果はすこぶる重大であった。レーダー装置を失ったことで、誰もが、完全に目隠しされてしまったように感じたのである」

2013-10-26 12:44:59
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

結論: 「サウス・ダコタ」を後退せしめた主因は、日本軍の砲弾ではなく、自らの発砲が招いたレーダー装置の機能喪失が将兵をあらかじめパニックに陥れていたことである。

2013-10-26 12:51:21
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

少し長くなりましたが、以上です。最後にお断りしておきたいのは、 1:私がダメージ・リポート「だけ」に昨夜ざっと2時間ほど目を通しただけで書いた文章であること。 2:リポートには明らかに戦闘詳報その他と矛盾する点があるが、上の理由により、それらについては説明していないこと。

2013-10-26 12:59:28
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

結局、搭載機が燃えたのかどうか、燃えたとしたらどの程度燃えたのかも確認できないので、これについては述べないことにしました。 他にも、疑問点あるいは明らかな誤りが必ず多くあるはずですが、賢明な皆さんのご指摘をお待ちする所存です。

2013-10-26 13:02:19
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

まあ、私のスタンスとしては、せっかく艦娘を通じて艦船に興味を持たれたのであれば、便利なネットという道具を使って、色々な情報を色々な視座から、ああでもないこうでもないといじって見るのも楽しいですよ、ということで。

2013-10-26 13:04:32
有坂純@ターナー展 @thorn_the_socrs

もしかすると、「ワシントン」を持ち上げるために「サウス・ダコタ」がdisられている…?

2013-10-26 13:21:33