この記事だけを見て，短絡的に「9000万円『も』払われているのか！」と思ってはいけない

弁護士中所克博 @K_Nakajo

この記事だけを見て，短絡的に「9000万円『も』払われているのか！」と思ってはいけない。～～～東電の賠償支払い、４人家族で９千万円　９月までの平均 - 朝日新聞デジタル (http://t.co/zt3JQlJGcP) http://t.co/UcAUlHs8fH

弁護士中所克博 @K_Nakajo

原子力損害賠償紛争審査会第36回会合で配布された資料の場所はココ　→　http://t.co/YqjMHKf1EN

弁護士中所克博 @K_Nakajo

原紛審配布資料を見ると，「帰還困難区域　東電による賠償実績（平均値）」として9000万円の金額が挙げられている。だが，うち4170万円を占める財物賠償部分には「※5」があり，「複数の土地・建物を所有している者も含まれている」と注記されている。

弁護士中所克博 @K_Nakajo

1枚目の表は，「賠償額の試算に当たって設定したモデル」と「帰還困難区域東電による賠償実績（平均値）」を並列させている。パッと目には，想定モデルと比べ，実際は遙かに多い賠償を行っているように見える。だが，モデル一家の方は複数の不動産を所有していない設定の筈。比べてみせるのは変。

弁護士中所克博 @K_Nakajo

朝日の記事を最後までよく読むと，「和解した例をみると，集合住宅のオーナーや広い敷地を持っている富裕層が多いため，モデルケースよりも多くなっている」との文科省の補足説明を書いている。それならば，記事全体の内容に沿った表題にすべきだろう。誤解を与えかねない不適切な表題だと思う。

弁護士中所克博 @K_Nakajo

もともとは，文科省の作成資料がズルイ。複数の不動産を所有していないモデル一家の想定賠償額と，複数の不動産を所有している被害者も含む平均賠償額を同じ表に並列させ，比べて見せようとしている。ベースが違うものを比べることは無意味。それを承知の上での作表には，強い作為の臭いを感じる。