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茂木健一郎 @kenichiromogi
連続ツイート第1077回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日ふと思い出したこと。
茂木健一郎 @kenichiromogi
はな(1)20歳過ぎの頃、突然精神分析に興味を持って、大学の学生相談所に行った。カールロジャースのエンカウンターグループにも関心があって、合宿にも参加した。そのあと、スタッフにすすめられて、半年間箱庭をやった。毎週一回、通っては箱庭をつくり、それについて議論する。
茂木健一郎 @kenichiromogi
はな(2)自分では、人の心は、そして無意識はどうなっているのだろうという純粋な知的好奇心のつもりだったが、今思うと心が病んでいて助けを求めていたのかもしれない。いずれにせよ、ユング派の伝統の下日本で特に発達した「箱庭」を実作したことは、私にとって貴重な体験だった。
茂木健一郎 @kenichiromogi
はな(3)時は流れ、数年前、私は、20年以上ぶりに箱庭をつくった。京都の、河合隼雄さんのクリニックで砂の入った箱に向き合った。クリニックには、河合さんが世界各地から集めてきた、あるいはみんながお土産で持ってきたさまざまなオブジェや人形が置いてあって、それを使って世界をつくった。
茂木健一郎 @kenichiromogi
はな(4)その時、河合さんと、箱庭療法の実際が、科学におけるコントロールや標準化ということといかに異なるかという話をした。もし、箱庭の効果を厳密に知ろうと思ったら、箱の大きさや、入れる砂の種類や、使う人形、アイテムの種類や数を「標準化」していかなければならない。
茂木健一郎 @kenichiromogi
はな(5)ところが、実際には、河合隼雄さんのクリニックでもそうだし、東大の学生相談所でもそうだったけれども、みんなどんどん人形やアイテムを持ってきてしまって、「コレクション」が育っていく。それでいいのだ、というのが河合先生の考え方で、私も強くそのように感じた。
茂木健一郎 @kenichiromogi
はな(6)人間には、自分の狭さを武器にする傾向がある。狭い人ほど、スペクトラムの中に入らない色を見ることができず、いきがったり、万能感を持ったり、ゲーテの『ファウスト』の中で、硝子瓶が割れてエーゲ海に投げ出される前のホムンクルスのようになる。科学全体にそんな危険があるのだろう。
茂木健一郎 @kenichiromogi
はな(7)統計的に有意であるとか、十分にパラメータがコントロールされているとか、そういうことは確かに大切だし、大いにやるべきだが、しかし一方でそれはトリヴィアルで、単純な理屈だ。根拠のない占いはくだらないが、生の現場が科学的制御主義を超えていることも、また当然のことだ。
茂木健一郎 @kenichiromogi
はな(8)クリニックで河合隼雄さんにうかがった話の中で、一番印象に残ったのは、箱庭をやっていて、突然うわーっと箱ごと窓の外に放り出してしまって、それで治った人がいる、という話だった。箱庭療法の前提を崩すような事件だが、それで治ってしまったんだから、それでいいではないか。
茂木健一郎 @kenichiromogi
はな(9)世の中には、箱庭の砂の種類を何にするとか、人形やアイテムの数をどうするといった類いの話が多い。しかし、生の現場では、箱庭を窓の外に投げてしまう、ということの方が大切。昨日、ちまちました話で少し気が腐ったので、心が助けを求めて、河合さんとの大切な記憶を思い出したのかな。
茂木健一郎 @kenichiromogi
以上、連続ツイート第1077回「箱庭を窓から捨てて、治るんだったらそれでいいじゃないか」でした。

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