@kaede01mizukiさんの「村の婦人生活」「保健婦の手記」感想

医療問題を考える上で、地域保健活動は外せないと思います。貴重な資料だと思いまとめさせていただきました。
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楓瑞樹 @kaede01mizuki

石垣純二編『保健婦の手記』(生活教育の会 1958)に集録されている手記は『生活教育』(生活教育の会)に掲載されていたもので、この本自体はその再録ではあるものの、内容は昭和30年代当時の保健婦の様相がしっかり描かれている。

2013-10-28 13:07:30
楓瑞樹 @kaede01mizuki

少し読み進めているのだけど、この手記の中で岩手県を例に取ったものが数点入っており、岩手の農山村の状況がよく表されている。貧しさと一言で表現するもその貧しくなっている原因について保健婦が分析しているところは、かなり実状をとらえたもので、そうした対応の中に民俗との関わりが多少みられる

2013-10-28 13:10:16
楓瑞樹 @kaede01mizuki

一つにやはり嫁の座の問題。これは私もこれまで保健婦に限らず生活改善活動の中でも大きく取り上げてきたものであるが、保健婦にとっての嫁の座の問題は、単に家族個々の問題というよりも、保健衛生を進める上で嫁の座をめぐる諸問題が身体危機に瀕することを危惧している部分にある。

2013-10-28 13:12:59
楓瑞樹 @kaede01mizuki

例えば、保健婦が嫁の出産介助を申し出ても、姑がそれを拒んだり、夫が「家の恥」といって忌み嫌うことなどが出てくる。この背景には、個々の家庭の事情もさることながら、嫁という存在に対しての認識が保健婦側と家族側とで異なり、それによって生じる摩擦がある。

2013-10-28 13:15:49
楓瑞樹 @kaede01mizuki

嫁は「子を産めばいい」「労働力」と見なされており、たくさん生んで丈夫な子が生きればそれでよいという考えがまかり通っている。その中で嫁の発言権などはない。嫁は家に従順でならなくてはならない。子を産み育てることこそ役割として与えられているため、難産だからといっておいそれと医者は呼べぬ

2013-10-28 13:19:20
楓瑞樹 @kaede01mizuki

そんな環境が自然とあって、子が死に、母が死にというのが当たり前とされていた。そこに保健婦が介入しようとなると、その意識自体を変えないといけなくなる。民俗としての嫁と家の関係性が保健婦側からは、医療に踏み込めない理由になり得た。

2013-10-28 13:21:41
楓瑞樹 @kaede01mizuki

んー。『保健婦の手記』を読んでいると、保健婦の葛藤がみられる。特に治療して救える命が、迷信や因習によって阻まれているという実態、そしてそれを簡単に否定できない実態があり、保健婦の決意を迷わせている。

2013-10-28 13:48:18
楓瑞樹 @kaede01mizuki

地域で働く保健婦ならではの感情なんだろうなぁ。波風をたたせたくない。自分の村の中での信頼関係、地位を失いたくない一心で、迷信であるから即排除という風にはできない事態がそこにある。

2013-10-28 13:49:54
楓瑞樹 @kaede01mizuki

『保健婦の手記』半分まで読み終えた。はぁ、結構深刻だよな事例が。

2013-10-28 14:10:10
楓瑞樹 @kaede01mizuki

やっぱり家族と病気との関わり、そういう部分で迷信とかが入ってくる場面で、民俗と保健婦は相対することになるんだろうな。でも、保健婦は村にいる以上、その迷信とともに歩まねばいけないこともあり、一方で否定しつつも、それを強要できないことを理解して、身を引くことも考えている。

2013-10-28 14:11:38
楓瑞樹 @kaede01mizuki

こうした保健婦の実態を、冷酷だといえるかどうかはわからないけれど、実質保健婦は地域の中において一つの役割を担っているのだから、村の因習をすべて否定することはできない。もししてしまったら、その村にいることができないのであるから、それこそ保健婦の葛藤だろうな。どこまでを許容するか。

2013-10-28 14:14:11
楓瑞樹 @kaede01mizuki

国立国会図書館の蔵書検索を使って「医療、民俗」と打って出てきたタイトルをみていると、これ本当に大丈夫かなって心配になってきた。ほとんどが民間医療……いわゆる前近代的な医療をもとにした民俗論であり、前近代的な医療が民俗というくくりに入り、近代的な医療がそれからはずれるという構図を

2013-10-28 14:24:01
楓瑞樹 @kaede01mizuki

だしていた……。木村哲也氏がその点をどうにか覆そうとしているように見られるものの、近代医療に関する民俗との絡みは全くと言っていいほどない。まぁ、検索の仕方にもよるのだろうけど。助産婦や出産と近代という部分についての文献は多様にあるものの、医療全体を垣間見たとき、民俗の立場は

2013-10-28 14:25:45
楓瑞樹 @kaede01mizuki

より古いものに着眼する傾向がある。

2013-10-28 14:25:58
楓瑞樹 @kaede01mizuki

さてと『村の婦人生活』を読むか。

2013-10-29 17:42:55
楓瑞樹 @kaede01mizuki

手記の研究をしていて思うことなんだけど、書き手が女性が多いからか、農家の女性の地位向上を願う記述が多くみられる。向上を願うといっても、結果的に沿いう見えるだけなのかもしれないけれど、それだけどこも女性、特に嫁の座というものに対してはかなり厳しいらしいなぁ。

2013-10-29 22:04:22
楓瑞樹 @kaede01mizuki

嫁姑の話は結構出てくる。だけど、これって連鎖だなって思ってくるときあるんだよね。姑は昔嫁であったわけで、その時に受けたものを嫁に課すという形で、どんどん悪化していく。

2013-10-29 22:05:27
楓瑞樹 @kaede01mizuki

特に山間僻地の農村における嫁の座を巡る姑との間の問題は結構深刻で、所謂零細農家が多い中で、その日の収入を得られるのはやはり野良仕事と夫の出稼ぎにかかるという部分もあってか、その野良仕事で嫁が請け負う割合の高いこと。さらに出稼ぎから帰ってきた夫との間にできた子どもが生活を圧迫する。

2013-10-29 22:07:37
楓瑞樹 @kaede01mizuki

受胎調節(家族計画)の話をしようにも、嫁が寝ている間に夫が事を済ますということもあるらしく、夫がいない受胎調節指導にはかなり限界を感じているようなことも描かれている。

2013-10-29 22:09:01
楓瑞樹 @kaede01mizuki

コンドームやペッサリーの講習は盛んに行われていて意識が高くなっているものの、ただそれは女性の意識が高いだけで、特に嫁の意識が高いだけで、家族間における嫁の座が変わらなければ、それ自体を受け入れる土壌がない。

2013-10-29 22:10:07
楓瑞樹 @kaede01mizuki

長野県のことを描いた『村の婦人生活』。結構面白い。

2013-10-29 22:48:36
楓瑞樹 @kaede01mizuki

嫁の過労について述べているあたりはなかなか参考になるし、具体的にどのような過労がでているのか、そういうことにも触れている。もしこれが保健婦の手記とあわさってあればもっと具体的に嫁の過労問題について議論できるのになぁ。

2013-10-29 22:51:04
楓瑞樹 @kaede01mizuki

一番印象的だったのが、農業の機械化っていうのはせーので始まったわけでもないし、地域の田圃の地質により機械化が遅れたケースもよくあり、そう言うときは手作業でやらないといけないということ。また、機械化により合理的になったがために、機会に振り回される野良作業というのもでてる。

2013-10-29 22:53:26
楓瑞樹 @kaede01mizuki

@taisho__ キレたらいい方で、自殺とかの問題も多々報告がありますよ。

2013-10-29 22:55:46
楓瑞樹 @kaede01mizuki

@taisho__ 手記類を読んでて何がつらいかって、そういうことが日常茶飯事になっていることですよねぇ。農村社会の厳しさ、社会保障の稚拙さを感じますよ。勿論、女性の地位もそうですが、世間体という狭い社会通念での縛り首は考え物ですね

2013-10-29 23:02:46