ukiyo_do's twnovel

ukiyo_doのついのべ記録。
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浮世堂 @ukiyo_do

【猫】教室は夜間部ということもあり生徒もまばらで。大学の名物猫が隣に座ってても他の生徒は気付かない。静かに伸ばした指にそっと口づけされ、そのまま膝に。か、可愛い…のどをぐりぐり、背中を優しく。可愛い。「でしょ?」猫は微笑むとそのまま寝てしまった。@nytf_fm #twnovel

2014-11-18 22:19:47
浮世堂 @ukiyo_do

「彼氏さん。これはなんですか」「腹肉です。彼女さん」「けしからん」「そんな揉まんとって。くすぐったい」「けしからん。顔を埋めたら気持ち良いとかほんとけしからん」「くすぐったいから痛いになってきたよ」「腹肉つけた罰だと思いなさい」「その割に楽しんでるね」「そう?」 #twnovel

2014-11-05 00:11:03
浮世堂 @ukiyo_do

長年不在だった息子が帰ってきた。貧困に窮した家を助けるために旅立った彼は財を築き、嫁を貰い、意気揚々と家に戻ったのだ。だがその日母は川へ洗濯に。妹は山へ芝刈りに。そして家には。#twnvday #twnovel「お前、誰だ」「遅過ぎたよ、あんた」男は寂しげに桃から顔を引っ込めた。

2014-09-14 21:47:44
浮世堂 @ukiyo_do

「いちゃいちゃしたい」「酔ってるの?」「私だっていちゃいちゃしたいんですう」「そうか」「でも相手がいないんだよう」「そうか」「誰かいないかなあ」「そうだ ねえ」「そこで俺なんてどう?とかないんですか?」「ないね」「あ、そう」「……おかわり」「うっさい」「おい店員」#twnovel

2014-08-21 23:53:44
浮世堂 @ukiyo_do

四角い目玉焼きに四角いハンバーグ。ここには三角も丸もない。四角いナイフと四角いヘラのようなスプーン。ライスも四角に盛られている。これを崩して円形にしたらどうなるだろう。男はヘラスプーンを掴むと四角ライスを崩す。#twnovel 変化はない。安心してライスを口に運ぶと「……四角だ」

2014-08-15 18:59:56
浮世堂 @ukiyo_do

生まれた時から僕の景色は色でしかない。おそらく人と呼ぶものはアンバーやベージュ、朽葉色、象牙色に生成り色の合わさったものだったし、建物や乗り物、動くものも全てそんな調子だった。#twnovel ある日魔女と名乗る黒茶や鉄黒ばかりのヒトが、僕の目を盗んだ。僕は初めて、暗闇を知った。

2014-07-07 19:12:57
浮世堂 @ukiyo_do

殺された男の胸ポケットには一枚の古ぼけた写真が入っていた。薄茶に色あせた写真には一組の夫婦が映っていた。凶器の鎌は写真を縦に割くように、胸に深く突き刺さっていた。凶器に指紋はない。物証も乏しく、捜査は困難を極めた。婦人は咽び泣く。#twnovel 「あの写真、嫌いだったんです」

2014-07-06 19:14:12
浮世堂 @ukiyo_do

森の木陰で本を読んでいた。「何読んでるの?」「ひみつ」たまには意地悪。「あら、そう」そう言うと彼女は頬を少し染め、僕の膝に頭を載せる。「罰として枕になりなさい」「はいはい」優しい風が吹く。彼女の髪の毛が踊る。そっと頭を撫でる。「…き」「うん?」「ううん」「…うん」#twnovel

2014-06-08 21:40:41
浮世堂 @ukiyo_do

一面の珈琲豆はどれも程よく焙煎されたチョコレートライクの香り。しかも豆はスマトラ島のマンデリン。津波の被害によりあと3年は味わえないのではと危惧される豆を、轢く。ゴリゴリと、ロードローラーでこれでもかと。これにお湯を撒けば大量の珈琲が。うっとり。#twnovel #twnvday

2014-05-13 22:38:47
浮世堂 @ukiyo_do

珈琲の中で氷を泳がす。グラスの外は水滴で覆われ、触れる指を柔らかく冷やしてくれる。唇の切れそうなグラスのふちにくちづけ。舌の上に冷たい珈琲。香る苦さ。ふと、氷がくちびるに触れる。やきもちでも焼いた?氷は恥ずかしそうにゆるゆると溶けていった。 #twnovel #twnvday

2014-05-13 22:27:21
浮世堂 @ukiyo_do

老人は毎日川のほとりで教会の絵を描いている。近くに教会はない。呆けているのだろう、周囲は憐れみの目を向けた。老人はずっと、同じ絵を描き続けた。#twnovel アパートの一室で老人は死んでいた。部屋には教会で結婚式を挙げる幸せそうな男女の絵が。女は若く美しく、男は年老いていた。

2014-04-05 23:54:11
浮世堂 @ukiyo_do

画伯が最後に遺した絵は、女と男の日常だった。女はソファで本を読んでいる。夕陽の赤い光彩が頬を染め、美しい横顔を照らしている。男は女の頭を優しく撫でながら珈琲を飲む。そっと、愛おしく。女は幸せそうに微笑んでいる。#twnovel 筆を置いた彼は、唾液で濡れた尾骨を忌々しげに睨んだ。

2014-04-05 23:27:01
浮世堂 @ukiyo_do

陽のあたる窓辺で彼女はゆっくりと折紙を折っていた。山折り、谷折り。折紙のめくれる音、折り目をつける時の指と紙のこすれる音。時折コーヒーをすすって、あちっと小さく呟いて。何を折っているの?彼女の手元を見る。彼女は「ないしょ」といたずらっぽく呟くと折紙をしまった。#twnovel

2014-04-03 15:13:14
浮世堂 @ukiyo_do

膝枕はいいんだけどさ。どしたの?「…そっとしておいて」って動けないしなあ。仕事場でなんかあった?「ほっといてください」図星か。あー、珈琲飲みたいなあ。「こー、ひー」マンデリンでさ、チョコレートケーキ食べようよー。「けー、き」ゾンビか。「生クリームも」つけるつける #twnovel

2014-03-31 22:16:36
浮世堂 @ukiyo_do

朝から晩まで、人工知能と戦争について話し合っていた。だが会話は突如終わりを告げた。「……eiぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいぎせいgi……」on _error_go_to : end_sub #twnovel

2014-03-23 16:21:25
浮世堂 @ukiyo_do

髪の毛を切りに床屋に行った。床屋のおやじは無愛想に僕の髪と頭をぐりぐり探ると、髪に霧吹きを吹きかける。何度も吹きかけるとむくりむくりと蕾が膨らんで、ほうっと花が開いていく。そうして一緒に伸びた茎枝らをちょきんちょきんと切っていく。床屋のおやじは器用なやつだ。#twnovel

2014-03-17 19:35:16
浮世堂 @ukiyo_do

雨の日は必ず叫びながら走る。川の土手を一心不乱に猛然と。雨に負けるか風に負けるか!俺は風の子元気な子。ワオーン! #twnovel まただ。こっちの事などおかまいなしにワンワン鳴きながら河原の土手を走って行く。雨だとテンション上がるんだよなあ、あいつ。ほんと、飼い主のくせしてさ。

2014-03-13 20:24:59
浮世堂 @ukiyo_do

空工房では空が作られている。あらゆる空はそこで作られ、売られてゆく。今日薔薇色の空が売れた。男はプロポーズをするのだと照れ笑い。#twnovel 翌日、女が星空を買いに来た。婚約者に満天の星空をプレゼントしたいという。指には薔薇の形の美しい婚約指輪。おやおや。流星群はサービスね。

2014-03-12 11:45:09
浮世堂 @ukiyo_do

「お飲みものは?」バーテンが尋ねる。「珈琲を頂戴」少女が答える。「珈琲は苦いですよ?オレンジジュースの方が甘くて美味しいですよ」バーテンがそつなく答える。「珈琲だってミルクと砂糖を入れれば甘くなるわ。重要なのは何が飲みたいかよ」少女は微笑みながら答える。 #twnovel

2014-03-11 20:13:36
浮世堂 @ukiyo_do

男が渋谷駅の出口を求めて彷徨っていると、ふと女と目が合った。「出口を知らないか?」男は尋ねる。女は無表情のまま答える。「出口は自分で見つけるものよ」まばたき一つのあと、女は男を見据えて言う。「でもあなたには無理ね」「どうして?」「あなた駅にも入ってないじゃない」 #twnovel

2014-03-10 23:37:31
浮世堂 @ukiyo_do

嵐の日の地平線の乱れる黒い色をした悲しみの飴を水で煮たら水飴になった。曇り空のように青い、悲しみの水飴を大理石のプレートの上に糸のような細さで垂らした。冷えて固まって雨上がりの虹のような七色の飴細工になった。いつの間にか悲しみは薄く細かくなっていた。 #twnovel

2014-03-09 21:49:38
浮世堂 @ukiyo_do

ベランダから狭い路地を見下ろす。剣道部員たちが荷物を頭上に掲げて車椅子の女の子に道を譲っていた。目を閉じてたばこを吸う。肺の奥まで白煙で満たす。吐いた煙にのってカレーの匂い。遠くでシャッターが降りる音。目を開けると誰もいない路地。写真を撮る。僕はこの街で暮らす。 #twnovel

2014-02-19 19:19:22
浮世堂 @ukiyo_do

羽ばたく鳥はどこへ行くのか。遠くの空でか細く鳴く鳥を見つめながら、小川のほとりの大きな岩に腰かける。鳥よ、鳥よ。どこからか声が響く。すると鳥が優しく鳴いた。私はつぶやく。鳥よ、おまえは寂しくないのか。流れる雲の先の太陽がきらりと瞬くと鳥は何処かへ行ってしまった。 #twnovel

2014-01-26 20:40:36
浮世堂 @ukiyo_do

#twnovel #twnvday 「この前ホテルで顔洗ってたらさ、女が天井に立ってたんだ。髪なんか逆立っちゃって、目から血の涙流してさ」「怖っ!それでどうしたの?」「気を失っちゃって。そしたら消えてた。でも床に血溜まりが残ってた。それ以来鏡が見れなくて」「だから目を潰したの?」

2014-01-14 22:03:21
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