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yotakikuchi @yotakikuchi
私的取材ルポ#6【差別反対東京アクション@都庁前】13.10.28 すっかり暮れた午後7時過ぎ。オフィスビルが立ち並ぶ西新宿の都庁前に続々と「反差別」を訴える人々が集まった。その数、ざっと40人。「差別反対東京アクション」実行委員会の手塚空氏は運動の意義をこう述べた。(1)
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「こうゆう素人の人達、街宣に慣れてない人達が普通の言葉で話すことにすごく意義がある」。今回で3回目となる活動に確かな手応えを口にした。マイクを握る参加者は怒鳴るわけでもなく、比較的淡々と自分の言葉で差別反対を訴えた。通りすがりのサラリーマンが飛び込み参加する光景もあった。(2)
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10月15日から始まった都庁前での活動。発端は実力行使のカウンターで知られる「男組」の代表・高橋直輝氏からの提案だったという。主催者名義も「男組」、「差別反対都庁前アピール」を経て最終的に「差別反対東京アクション」に正式決定した。活動は原則、毎週月曜午後7時から実施する。(3)
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手塚氏は活動の目的について「東京都に行政としての具体的対策をとらせること」と明言した。毎週月曜のデモと並行しながら署名活動も実施。都議会に対し差別撤廃に向けた法整備や都市宣言を訴えていく予定だ。手塚氏は「最低でも万単位で提出したい。十万集まったら大きいと思う」と力を込めた。(4)
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さらに今後は都議会議員への直接的な働きかけも強めていく。差別撤廃運動に理解のある共産党・徳留道信議員らを中心にリストアップを進めている。男組メンバーでもある手塚氏は最近の排外デモの現状について「東京ではやりずらくなって地方へ移ってる。ただ地方はやりたい放題」と怒りを込めた。(5)
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行動保守の街宣デモが地方ゲリラ化をみせる中、カウンター側も対抗策を練っている。手塚氏は「来月から男組に新しい街宣車が入ります。カウンターも歩道からだとすぐ警察に規制されますが車からだと規制できない。地方でやっても我々が街宣車で乗り付ける」と“宣戦布告”した。(6)
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その一方で毎週末繰り広げられる“いたちごっこ”に対する複雑な胸中も明かした。「理想としては色んなところに僕らが駆け付けるより、歩いてるおじさんや普通の方が『ヘイトスピーチするな!』という流れになってほしい。その場に居合わせた市民が抗議することが理想」と述べた。(7)
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北海道出身の手塚氏は現在22歳。東京大学文学部思想文化学科倫理学専修課程に籍を置く秀才だ。普段の生活を尋ねると「学校にはほとんど行ってなくて。今は2回目の四年生。卒業は6年目にするつもり」と頭をかいた。今年3月にTwitterでヘイトスピーチ動画を見たことで人生が変わった。(8)
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3月17日の新大久保デモに足を運んだ。「主張の酷さは動画の通りだった。それよりあの時点でカウンターが既に200人位はいた。逆にそれがすごいと思った。見たところ左翼でもない普通の人達が怒ってる。だから僕は勝ち馬に乗ったところもある。『俺にもやれる』って」(9)
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初めてのカウンターは3月31日の新大久保。プラカードを作って自分の想いを表現した。表に『隣人を罵倒することで守られる利益も果たされる目標もない』、裏には『私たちは差別と不寛容を拒否する』。手塚氏は「今思うと恥ずかしいけど」とはにかんだ。雑踏に立ち「目を覚ませ!」と叫んだ。(10)
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大学はつまらない。家でだらだら過ごす日々。自分を変える何かを欲していたのも事実だろう。「自分と社会とのコミットの仕方が分かった。こんなにも直接つながっていることが分かった」。自分を突き動かした何かに素直に従った。その先で、新たな生き甲斐とたくさんの仲間を得た。(11)
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日本における差別問題について手塚氏は危機感を募らせる。「レイシズムは基本的に悪化していくと思う。経済的に後退していくし単純労働としての外国人も増えてくる。彼らに矛先が向くのは欧州を見ていても分かる。ヘイトクライムも出てくると思う。でも誰かが止めなきゃいけない」(12)
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改善の糸口さえ見えない日韓問題については「全く興味ないです。カウンター活動には関係がない」と断言。「差別問題は国内問題であって外交問題じゃない。差別はマイノリティの問題でなくマジョリティの問題。今、在特会の差別をどうするのかに外交は関係ない。待ったなしです」と強調した。(13)
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日本人として日韓問題は当然憂慮する。だが、そのことと差別運動に対するカウンターは全く別問題だと手塚氏は主張する。参加者のスピーチに目をやりながら彼はつぶやいた。「僕は無職ですし、今は余裕があるからこれだけやれてるんだと思います。仕事に就いたら今みたいにはできないと思う」(14)
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「でも在特会がデモに出る限り罵倒し続ける。何らかのカウンター活動は一生やめれないと思う」―。私が手塚氏の存在を初めて意識したのは10月12日の川崎デモだった。その時、私は出発前の行動保守の集会を取材していた。「ちょっと部外者が騒いでます!」。公園の外で誰かが叫んだ。(15)
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機動隊と共に駆け付けるとキャスケットを被った一人の青年が拡声器で怒鳴っていた。「差別をやめろ!差別をやめろ!」。行動保守メンバーと機動隊との間でもみくちゃになりながら、彼は「差別をやめろ!」と叫んでいた。デモ終了後の川崎駅。私は再び彼の姿を目にした。(16)
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家路に向かう行動保守メンバーに向かって再び「差別をやめろ!」と叫んでいた。好奇の目を向ける通行人に囲まれながら彼はまたしても機動隊に抑え込まれた。顔は興奮で紅潮し、息は荒かった。マスクもサングラスも付けてない彼の顔を私ははっきり覚えていた。それが手塚氏だった。(17)
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「北海道に比べたらへっちゃらでしょ」。外気に身を震わせながら尋ねると「そんなことないですよ。僕、体弱いんで。今は週末以外は休めるからいんですけど。パワー貯めとかないときつい」と神妙に言った。別れ際、「やっぱ学校つまんない?」と再び聞いた。22歳の東大生は笑ってうなずいた。(終)
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