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リヴィング・ウェル・イズ・ザ・ベスト・リヴェンジ #1

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
文学 書籍 ニンジャスレイヤー
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Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 14:35:28
◆予めコンテンツ◆「ゼア・イズ・ア・ライト」◆log http://t.co/uqFjLe3rxB ◆見出し日付をクリックし読むこと可能コンテンツ◆
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 22:04:54
彼は燃えながら落下していた。熱と光。彼にとって生まれて初めての経験だ。そしてこの世で最後の。燃えているのは彼自身である。身体を覆う守りは溶け、剥がれ、燃えながら失せ、光は彼の全感覚器に侵食してきた。コンマ数秒で破滅は彼の感覚の閾値を超え、脳は沸騰し、真空中に跡形ひとつ残さない。1
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 22:11:27
……当然そうなる筈であった。だが彼は消えなかった。彼は不可思議な静寂の中に己を見出していた。まだらの雲の白を、緑を、黄を、黒を、鮮烈な海の青を。回復しつつある彼の視力は、途方もない接近を、彼のニューロンに届けてきた。彼は消えていなかった。……消えたくない。渇望が溢れた。 2
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 22:18:48
「消える必要がそもそもない」無機質な声が彼にこたえた。「余の力をもってすれば、容易きこと。己自身を守れ。お前は既に余であるがゆえ。余を消す事は許さぬ」「誰だ」彼は呟いた。呟くことができた。花火めいて輝く無限の微細パルスが彼の周囲に繭めいた障壁を生み出し、熱と光と大気から守った。3
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 22:28:03
障壁を突き抜けた瞬間、そのポイントの周囲半径100キロメートルに、蜘蛛の巣状の稲妻が拡散した。波紋のように。だが、彼には破滅の美を振り返って眺める余裕などない。彼の中に入り込んだ他者の自我が溶けてゆく。彼は必死にカラテの手綱を握る。質量を持った熱と光を纏う。ニンジャ装束を。4
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 22:33:53
「余はゼウス・ニンジャ」問いに答えた他者の声を、彼のニューロンは反芻した。「余はお前だ。余は私だ……」落下。世界。自己。彼のものであるべきもの。さだめられたすべてのもの。取り戻すべきもの。彼は目を見開く。決意する。 5
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 22:42:05
「……」覚醒したアガメムノンは白い天井を認識した。それから、無意識にかざしていた己の右手を発見する。彼は手のひらをじっと見つめる。身を起こすと、あと数分で夜明けだ。彼の手振りを受け、センサを働かせたUNIXモニタが柔らかい光を放つ。分刻みのスケジュール。昨日は妻の葬儀だった。 6
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 22:42:52
【リヴィング・ウェル・イズ・ザ・ベスト・リヴェンジ】#1
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 22:50:31
「第三コーナー!今ここで、ずっと最後尾にいたサトウルシファーが猛烈な追い上げを開始!ヤバイ!来ている!アアッ!サトウルシファー来る!サトウルシファー来る!スゴイ!あっという間に先頭グループに肉迫!何が起きた!」「タバコ取ってこい」老人はサイボーグ競馬中継から目を離さず言った。7
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 22:55:39
「アーッ!ブラックスゴイマルがまさかのオーバーヒート!これはマズイ!煙が……アーッ!オミウチケン煙にまかれる!先頭グループ総崩れ!なんということか!スゴイ!サトウルシファー出る!まだ出る!まだまだまだまだ出るこれはアーッ!アーッ!アーッ!」「タバコ」老人はフジキドを振り返った。8
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 23:04:16
フジキドは木の台から苦心して身体を起こし、テレビモニタの前で半壊のビーチチェアに寄り掛かって寛ぐ老人を見る。老人は咳き込んだ。「聴こえなかったか?タバコだ」「……」「俺のニンジャ洞察力をナメるな。今日から日常生活ぐらい出来る頃合いだぜ」「……」フジキドは適切な言葉を探した。 9
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 23:11:08
「タバコはどこにある」「知るか」老人は言い捨てた。「なんで俺が探すんだよォ。取って来い。盗って!お前は文無しだ」「……」老人の言うとおりだ。あの日の敗北からフジキドがこの地で覚醒した時、有り金は「何者かに」全て盗まれていたからだ。「外の……どこにある」「探せよ」 10
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 23:18:58
フジキドは唸り、歪んだ柱に手をついて、立ち上がった。老人の名はマスター・ヴォーパル。曲がりなりにもフジキドを助けた男である。「俺はお前に債権があるわけよ。わかるか」サイボーグ競馬中継を見ながら老人は言った。「生命保険が降りると、幾らだ?カネにすりゃそれぐらいの恩だ」 11
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 23:29:44
「その手のカネは解約済だ。ずっと前に」「バカか?本当のバカだな?テメエの掛金なぞ知るかよ。スケールの話よ。スケールの!」「……」フジキドは一歩踏み出す。老人は薄く光る短剣をベルトから抜き、威圧的にかざした。「ウェイッ!ナメるな、俺はニンジャだ。刺し殺すぞ病み上がり!行け!」12
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 23:44:02
……フジキドは足を引きずるように荒屋を出、厚い灰色雲を見上げた。遠くの雲に切れ目が生じ、光の帯が漏れ出ている。彼は瓦礫とスクラップと汚い水溜りの中に佇んでいた。ここはドリームランド埋立地。処理キャパシティを超えたネオサイタマの無限のゴミが、この海抜ゼロ地帯に集められる……。13
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 23:51:23
「……フーッ」フジキドは肺で嫌な絡み方をする息を吐き、歩き出した。途中、ちょうどいい鉄棒が突き出ているのを見つけると、これを引き抜き、杖がわりにした。首だけの招き猫が彼を見つめた。どちらを見ても、瓦礫の地平だ。青くシルエットだけが見えるビル群は、カスミガセキだろうか。 14
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-29 23:55:56
ゴミを踏みしめ、カラカラと鳴らしながら、彼は進む。次第に土地の様子がわかってくる。一見、砂漠の砂を鉄くずに置き換えたようなサップーケイだが、炊事の煙がところどころ立ち上っている。煙の根本を注視すると、トタンやビニールシート製の棲み家が発見できる。こんな場所にも住人がいるのだ。15
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-30 00:02:29
「ヒアエー!ヒアエー!裁きの時、来たる!」そして、こうした極限の地にまず居るのはこうした辻説法だ……フジキドは電飾看板「サダシの店カラオケ」の残骸の横で真鍮のベルをうるさく鳴らす男を一瞥した。男は新聞を握りしめ、その記載内容から何らかのインスピレーションを得ている。 16
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-30 00:06:28
「そこのお前は邪悪だ!」男はフジキドを指さし、叫んだ。「罪に塗れておる!反省せよ!今ならお布施は安い」「客入りはどうだ」フジキドは声をかけた。「それ以上近寄るべからず!アー……」新聞の見出しに血走った目を近づけ、男は言った。「民間施設への攻撃を避けた人道的爆撃だ!」 17
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-30 00:12:01
新聞には前線における衝突を伝える記事。男はクシャクシャと音を立てて三面記事欄を、それからオイラン・ピンナップのコーナーを見た。「救いの女神のイコン。お前には見せぬ」フジキドは男が首から下げた空き缶を見た。中には汚れた紙幣やジャンク素子が入っている。説法に一応の需要はあるのか。18
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-30 00:16:59
「食べ物や水はどうしている」フジキドは尋ねた。「それ以上近づくと神罰が下る!」男はフジキドを睨んだ。「配給を欲するのか!罪人にさような機会は与えられぬぞ」「どこだ」フジキドは見渡した。男は西を指さした。積み上げられた車のあたりに、複数のドラム缶焚き火が確認できる。 19
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-30 00:26:15
「ドーモ」「お布施を払わぬか!」「一円も無い」フジキドは杖をつきながら廃車山を目指した。歩きながら、彼は来し方を思った。シズケサ、バイセクター、デソレイション、カコデモン……殺してきたニンジャ達の名が浮かび、消える。アマクダリ。あるいはその衛星組織。あるいはそれ以外の敵。 20
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-30 00:36:17
激しいイクサだ。だが、全体像は茫洋としていた。いまだ正体不明の敵。いまだ正体不明の組織。繰り返される戦闘は、まるでこのドリームランド埋立地に新品のタバコを探すような、あてどの無い行いであったろうか?そして彼のカラテはインターセプターに届かず、キョートとの戦端は開かれた……。 21
Ninja Slayer / ニンジャスレイヤー @NJSLYR 2013-10-30 00:46:42
こうしてぎこちなく歩くのは一人のルーザーだ。ナラク・ニンジャが健在ならば、かの邪悪なニンジャソウルは、今のブザマを嘲笑い、叱責し、或いは失望あらわに罵倒した事だろう。フジキドのニューロンには強制的に隔離された領域がある。その奥に、ナラクの存在らしき影をかろうじて感じるのみ。22
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2013-11-01 20:38:56
リヴィング・ウェル・イズ・ザ・ベスト・リヴェンジ #2 http://togetter.com/li/584457
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