日生劇場 ライマン《リア》を観よう!
先日の《トラヴィアータ》2幕レクチャーでムーティは、ジェルモンのヴィオレッタに対する発言や態度は、自分もストレッポーニとの関係を責められ続けたヴェルディの、社会に対する抗議なのだと言い切っていました。オペラの、社会について考えるきっかけという側面は、私にとって大切なものです。
2013-11-07 22:59:26もう明日には《リア》初日ですね。いま婚外子差別を違憲とする最高裁判決への反発が伝えられています。エドマンドの血を吐くような叫びは、そういう私たちの現在への呼びかけでもあります。彼を異質な存在と切り捨てないで、その冷酷な行為ににじむ悲鳴に耳を傾けて。
2013-11-07 22:59:07《リア》視聴コーナー、CD1の5番でエドマンド独白より「なぜ私生児なのだ?俺は兄エドガーより一年あとに生まれたが、同じ血を継ぐものだ。だが俺は、夫婦の寝所とは違う、激しい情熱の炎から生まれた。……頑固な因習に、なぜ俺が従わねば?」 http://t.co/WmpbWT979I
2013-11-07 22:58:28【《リア》を観よう!34】リーガンとコーンウォールが共に暴力性を増していく夫婦だったのに対し、オルバニーは妻ゴネリルの変貌を恐れとともに見守り、非難する。ほとんどの人間が死体となった最終場面、ある意味もっとも現実的な立場に立ってこの悲劇を見つめるのが彼の役目である。
2013-11-07 20:29:27【《リア》を観よう!33】エドマンドが(トムの変装を解いて仮面の騎士となった)エドガーとの決闘に敗れ死ぬと、ゴネリルももはやこれまでと自害する。作品後半において、他の追随を許さぬ彼女の劇的な変貌には注目であり、その「おかしさ」を明確にする基準点がオルバニーだ。
2013-11-07 20:29:13【《リア》を観よう!32】妹の夫の死にも「これで自分が有利になった」と勝ち誇り、自分がイギリスの支配者に!と叫ぶゴネリル。オルバニーは、手段を選ばなくなっていくゴネリルに恐怖をあらわにし、最後に目の前でエドマンドに味方され義妹を殺され、ついにはっきりと彼女を断罪するに至る。
2013-11-07 20:29:00【《リア》を観よう!31】第二部冒頭のここはエドマンドの残酷さがこの夫婦にも乗り移ったかのような暴力的響き。だが、この人倫を超えた行為に、怒りに我を忘れた下僕にコーンウォールは殺される。妻に振り返られもせず「血がたくさん流れる」という言葉を最後に虫けらのように一生を閉じる哀しさ。
2013-11-07 20:28:41【《リア》を観よう!30】二人の夫たちは、最初は妻たちの義父への仕打ちを黙って受け入れているのだが、途中で道が分かれていく。コーンウォールは妻リーガンと共に、リアをかくまおうとしたグロースターを捕え、その目をくりぬくという残虐な行為に自ら手を染める。
2013-11-07 20:27:56【《リア》を観よう!29】ライマンのオペラ《リア》ってどんなオペラなの?ということで、今日は姉たちの夫たち、オルバニー公(宮本益光/与那城敬)とコーンウォール公(高橋 淳/高田正人)について。 http://t.co/0rGqE6Yrec
2013-11-07 20:27:40【《リア》を観よう!29】一幕幕切れ、リア・道化・トムを装うエドガーと、そこに集った全員が理性の糸のきれた発言をする中、ケントはかろうじて主君を護り、救援にきたグロースターへとつないでいく。この場面の哀しみは、ケントという「正気」がそこにあることで際立つ。
2013-11-05 22:57:22【《リア》を観よう!28】リアに忠実な者と言えばもうひとりケントがいる。コーディリアの件でリアの間違いを正そうとし、追い出されても戻ってくる勇気と真心ある家臣。原作に比べて割りを食っている役なのだが、彼という忠臣がいてくれることが、王としてのリアの人望を感じさせる。
2013-11-05 22:57:09【《リア》を観よう!27】普段のロビーですら、ダンス関係者は背筋の伸び方でオペラ関係者とは違うな、と思われる方も多いはず(笑)。ましてやプロのダンサー。その明らかな存在感の違いが、舞台上でどう生かされるのか実に楽しみである。特訓したドイツ語での名セリフの数々も楽しみに。
2013-11-05 22:56:56【《リア》を観よう!26】道化には、展開する二つの家族のドラマに対して異質で距離のある存在であることが求められる点は共通している。今回は、「立ち姿ひとつ」でなにか違う存在であることが表せるように、ダンス界から三枝宏次氏をお願いしたのが面白いところ。
2013-11-05 22:56:44【《リア》を観よう!25】だから王の分身のような存在になったり、「世話役」という側面を重視して女性に演じさせたり、また本来は登場しない第二部でも「死」の精のような形で登場したり、ドラマ全体の演出方針によって非常に多様なアプローチが存在する。
2013-11-05 22:56:29【《リア》を観よう!24】道化はもともと宮廷の中で笑いを通してなら誰に何を言ってもいい特権的な存在。《リア》の中でも、リアにもっとも近い御付きの者であると共に、2つの家族の間に展開する悲劇を、外側から距離をもって見つめる立場にもある。
2013-11-05 22:56:18【《リア》を観よう!23】ライマンのオペラ《リア》ってどんなオペラなの?ということで、今日はリアの忠実な御付きたち、道化(三枝宏次)そしてケント(大間知覚/小林大作)について。 http://t.co/0rGqE6Yrec
2013-11-05 22:56:05【《リア》を観よう!22】エドガーは、自分を「トム」と偽って身投げしたいというグロースターにつきそう訳だが、「ここが崖の上」と嘘をついて自殺を阻止、その後も身分を隠して彼を世話していく。盲目の父には息子と気づかれぬままにさまざまに心を尽くすエドガーの心の健気さを歌に聞いてほしい。
2013-11-04 10:51:56【《リア》を観よう!22】ピーター・グライムズが好きな方にはきっとトムの歌は気に入ってもらえるはず。彼が初めて登場する前、嵐のあとの夜の底、静かな空気の動きをフルートの響きがなぞる部分は個人的にとても好きな音楽。
2013-11-04 10:51:44【《リア》を観よう!21】トムの狂気は「ふり」ではあるが、カウンターテナーという男性/声から一歩ずれた声によって、「嫡出の男子の優位」を既定事実とする「普通」の世界に安住することへの拒絶と問題提起をしているとも言えるだろう。
2013-11-04 10:51:26【《リア》を観よう!20】弟に騙され父にも捨てられたエドガーは、自分を捨てた世を忍ぶ「変装」として声も姿も変え、「哀れなトム」として狂気を装う。「正気の世界」の理不尽に耐え切れず、狂えぬまでも狂うふりにより逃避してみたとも。だが逃避先でぼろぼろになった父を助け、同道することに。
2013-11-04 10:51:14【《リア》を観よう!19】《リア》における恋愛要素は、ゴネリルとエドマンドの(そして負けてはしまうがリーガンの)権力と愛欲を混沌と求めあう関係くらい。きれいな色気ではない、色が混じりすぎて毒っぽく黒い「欲」、今回はどんな色味になるか?
2013-11-04 10:51:00【《リア》を観よう!18】(エドマンド周辺のオケの音のクラッシュ具合を聴くと、過剰にピアスをしまくったりトゲトゲなアクセをつけたりして自己防衛してる若者をイメージしてしまう……策士っぽいので表情にすらそんな弱みをあからさまにするようなことはなさそうでもあるけど。)
2013-11-04 10:50:35【《リア》を観よう!17】エドマンド役は、多くの人を手玉に取る演技力と強烈な黒い感情を激烈なオケとぶつけあいつつ表現する強い声が必要である。「なぜ私生児なのか?!」から始まる、最初の強烈な独白、彼の魂の叫びに耳を傾け、なぜ彼がこうせねばならなかったのかを感じてほしい。
2013-11-04 10:50:04【《リア》を観よう!16】エドガーは嫡男、エドマンドは愛人の子ということで、原作のオペラでは省略された部分で、父グロースターはエドマンド本人を前に無神経な発言をしまくっている。兄エドガーを陥れて父の不興を買わせ、その父をも陥れる彼だが、彼を動かしているのは生まれゆえの不当な差別。
2013-11-04 10:49:46【《リア》を観よう!15】ライマンのオペラ《リア》ってどんなオペラなの?ということで、今日はグロースターの家の息子二人、エドガー[トム](藤木大地)とエドマンド(小原啓楼/大澤一彰)について。 http://t.co/0rGqE6Yrec
2013-11-04 10:49:23