火砲小話3本立て~タウビンの40.8mm自動擲弾銃・タングステン節約型45mm硬芯徹甲弾・自動無反動対戦車砲

赤軍試作火砲関連の小話を3つ ・タウビン技師の40.8mm自動擲弾銃 ・タングステン節約型45mm硬芯徹甲弾 ・無反動砲で機関砲で対戦車銃な「RPTR」
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タウビンの40.8mm自動擲弾銃

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

自動擲弾銃というとMk19あたりがメジャーで、なんなく60年代に歴史が始まった武器なのかなあと思うところですが、実は1930年代にソ連のタウビン技師が40.8mm自動擲弾銃を開発していたようですよ、というお話 http://t.co/ZEO6uY0aoD

2013-11-03 20:13:55
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

タウビン技師が自動擲弾銃を考案したのは1931年8月。モシン小銃用の40.8mmディヤコノフ小銃擲弾系統の弾頭を使用するもので http://t.co/stY5Qf03LB これに超短い薬莢をつけたものを使用した http://t.co/Idj8JDpPQv

2013-11-03 20:21:53
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

タウビンの自動擲弾銃の開発はじっくりと進められたようで、1933年から1937年まで毎年のように少数が試作された。当初は50-60発/分だった発射速度は、一時はベルト給弾化と外部動力併用で440-460発/分にまで伸びるも、最終的にクリップ給弾で100発/分というものに落ち着く

2013-11-03 20:26:16
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

タウビンの自動擲弾銃 いくつかの試作品 http://t.co/7ixgg2H6Mt これは高角射撃ができず迫撃砲のように使えないことが欠点と見られたようで http://t.co/cU4uFphLAA 高仰角を取れるスタイルのものも作られる

2013-11-03 20:28:50
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

高仰角射撃が要求されていることからもわかるけども、タウビンの自動擲弾銃は50mm軽迫撃砲と立場を争うものだったらしい。射程はタウビンの自動擲弾銃が1200-1300mであるのに対し50mm軽迫撃砲は800mだったので、タウビンのほうに分があった。直射できる利点もある

2013-11-03 20:33:49
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

弾頭重量は……タウビンの自動擲弾銃の弾は今一つよくわからないけども、ディヤコノフ小銃擲弾が360g程度なので、恐らくその程度のはず。50mm軽迫の弾は862-922gなので2.5倍程差をつけられている。でも発射速度は32発/分に対して100発/分だから、最終的な投射量では勝る

2013-11-03 20:40:51
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

1932年の試験では、タウビンの自動擲弾銃は以下のように評価された 「作動は完璧で、容易に擬装でき、発射音は微小である」 ただし冬季試験では、深い降雪地で用いると不発弾率が90%に達することが指摘された。もっとも、この問題は程度の差こそあれど他の迫撃砲でも同様だった

2013-11-03 20:46:50
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

1938年、タウビンの自動擲弾銃はドニエプル河の砲艇でも試験された。砲艇への搭載にあたっては20mm ShVAK機関砲用の砲架が流用できた。「完璧に動作し、精度は良好、発砲炎が小さいため射手の視界が妨げられることもない」と好評価を得た。水面に対しては信管は問題なく作動した

2013-11-03 20:55:41
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

これほど好評価を得たタウビンの自動擲弾銃がなぜ採用されなかったのかは、今一つよくわからない。50mm迫撃砲よりも高価であったからとか、軍内に50mm・82mm迫撃砲を推すグループとの政治的駆け引きに負けたからだとも言われるけども、こうなると私にはよくわからない

2013-11-03 21:00:48
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ただタウビンの自動擲弾銃が実戦に全く出なかったというと、実はそうでもない。1940年1月頃、冬戦争でカレリア付近に少数が実験として投入されているらしく。零下40度に達する日もあったにも関わらず、作動は極めて良好だったらしい。もしかするとガス式でなく反動利用式だったことの恩恵かも

2013-11-03 21:06:02
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

これ以後、タウビンは航空機関砲の開発に移ってしまったようで、これで戦前の自動擲弾銃の開発は終わってしまう。ソ連における自動擲弾銃の再誕は、1968年のAGS-17を待たねばならない

2013-11-03 21:10:38

タングステン節約型45mm硬芯徹甲弾

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ははあ…… 硬芯徹甲弾は希少高価なタングステンを多用することが問題になるけども、ソ連では「弾芯の前半分だけタングステン合金、後半は硬化鋼にする」なんてことも一応試してたのね。これでタングステン使用量を5-6割削減できたと。弾芯重量は3割減だけど貫通力は2割減程度で済むみたい

2013-11-04 14:17:06
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

この実験は45mm硬芯徹甲弾で行われたんだけども、45mm硬芯徹甲弾はもともと当初の要求に対してオーバースペックなところがあった。だから、このタングステン節約型弾芯でも要求には適合したみたいです。ただ、これが実際採用されたのかはよくわからないですが

2013-11-04 14:19:48
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ソ連は弾芯にタングステン合金でなく硬化鋼を使うAPCR(もはや硬芯とは言えない)試していて、その場合は通常徹甲弾と変わらないかむしろ劣るほどの貫徹力しか得られなかったのと比較して考えると、なかなか興味深いです

2013-11-04 14:21:43
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

あとは、このタングステン節約型弾芯の実験にかかる経緯が興味深い。前半分だけの弾芯を製造する設備なんぞ無いので、完成品の普通の弾芯を前半分だけ切り取って使おうと試みるんですが、当然ながら「タングステン合金の弾芯を切ろうとする」と一体どうなるか……そう、切れないのです

2013-11-04 14:28:39
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

普通のカッターでタングステン弾芯を切ろうとしても、当然カッターは負けてしまうし、相手には傷もつかなかった。次に、ロックウェル硬度計のダイヤモンド圧子を取り外して(!)カッター代わりに使うことを試みる。途中まではうまくいったものの、歯としては小さすぎて1.5mmまでしか削れず

2013-11-04 14:32:19
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

最終的には、その1.5mm削れたタングステン弾芯を木槌で打って(!)概ねカッティングラインに沿って割ることができた、と。なんともはや……当代最先端の兵器開発チームであるはずなのに、なんかこう、その……

2013-11-04 14:39:28