原田英男さんによる成形肉などの話

農林水産省畜産部長の原田 英男さんが「成型肉や牛脂注入肉」について整理し、詳しく語ってくれました。 加工によるリスクや実際の加工法、景品表示法などを踏まえて要点が整理されています。
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原田 英男 @hideoharada

【成型肉などの話①】相変わらず「偽表示」の事案が出てますので、改めて「成型肉や牛脂注入肉」について整理します。これらはエビ類の品種間違いより大きな問題。加工過程で生じるリスク(微生物汚染やアレルギー物質混入)と併せて、問題を捉える必要があると思うからです。

2013-11-07 21:00:08
原田 英男 @hideoharada

【成型肉などの話②】食肉などは大きく分けて3つに分類されます。①食肉=鳥獣の肉と内臓。カット、スライス、ひき肉まで。②食肉加工品=食肉の含有率が50%以上の半製品。タレ付き、衣付け、生ハンバーグなど。③食肉製品(加熱調理された肉製品) ①と②は「食品衛生法」の食肉として扱います。

2013-11-07 21:02:06
原田 英男 @hideoharada

【成型肉などの話③】前ツイ②の②の加工肉の処理方法として①テンダライズ=原形保ったまま筋や繊維を刃で切断、②タンブリング=調味料に浸潤、③インジェクション=牛脂や調味液等を混合した液体(ピックル液)を筋肉内に注入、④決着・圧着=肉塊を決着剤で貼り合わせたり端材を練り合わせる処理

2013-11-07 21:03:36
原田 英男 @hideoharada

【成型肉などの話④】こうした加工は、お肉を柔らかくしたり、下味を付けたりするために行われるので、そのこと自体に問題はありません。こうした処理をした加工肉には、加工処理をしたことを食品衛生法に基づいて表示する義務があり、それを守ればいいのです。

2013-11-07 21:05:27
原田 英男 @hideoharada

【成型肉などの話⑤】食品衛生法でこれらの加工肉に表示を求めているのは、加工処理により、微生物汚染が内部に拡大するおそれがあるためで、併せて「飲食に供する際にその全体について十分な加熱を要する旨を記載する」ことになってます。十分な加熱はO157対応の肉の中心で75度1分以上。

2013-11-07 21:07:03
原田 英男 @hideoharada

【成型肉などの話⑥】また、アレルギー物質についても、加工処理の過程で利用される場合があります。消費者庁は「加工食品のアレルギー表示の徹底について」という指導通知で、「飲食店などで提供される食品については、アレルギーに関する情報伝達が適切になされるよう」指導してます。

2013-11-07 21:08:52
原田 英男 @hideoharada

【成型肉などの話⑦】加工肉処理に用いられる材料は主に、牛脂、酵素、コラーゲン、pH調整剤、植物性たんぱく質、酸化防止剤、増粘多糖類などです。アレルギー物質の有無については、例えば口頭で説明するのですが、今回の一連の事案では、奈良の三笠だけが実行して伊賀牛に替えたようですね。

2013-11-07 21:10:38
原田 英男 @hideoharada

【成型肉などの話⑧】なお、飲食業などでの加工肉の表示例は、消費者庁のHPに記載があり、「ビーフステーキ」「やわらかビーフ」などを使用すると1枚の生肉を焼いた料理と誤解され「景品表示法の「優良誤認」に該当し問題」とされてます。「成型肉使用(ビーフ焼き」などとするべきとのことです。

2013-11-07 21:12:52
原田 英男 @hideoharada

【成型肉などの話⑨】一連の事案で調理者が、自分が調理している食材が「成型肉など加工肉」であることに気が付かない、というのは信じ難い話ですが、仮にその認識がない場合、加熱不足による食中毒や情報提供不足によるアレルギー発生のリスクが高まることは、看過できない問題かと思います。

2013-11-07 21:13:58
原田 英男 @hideoharada

【成型肉などの話⑩】今回の一連の事案を受けて消費者庁が11/6公表した業界への要請文にも「成型肉」の景品表示法違反事例が載ってます。→http://t.co/nNHm7kycF5 以上で連ツイを終了します。ありがとうございました。

2013-11-07 21:16:04