福島の小児甲状腺癌について、注目すべき「病理」および「臨床」の二論点

cyborg001(@cyborg0012)さんの連続ツイートをまとめました。 福島の小児甲状腺癌は、原発事故と関係があると考えるべきなのかどうか。 病理と臨床の2つの観点から、チェルノブイリ原発事故後の研究と比較しながら、丁寧に分かりやすく整理なさっています。
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cyborg001 @cyborg0012

福島の小児甲状腺癌について、注目すべき「病理」および「臨床」の二論点を取り上げて、議論します。前者が乳頭癌比率、後者は潜伏期間です。この点でも、チェルノブイリ地域から学ぶことが多くあります。 http://t.co/DZoxCoLP57

2013-11-10 14:29:57
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cyborg001 @cyborg0012

福島とチェルノブイリには四つの病理的、臨床的相似性がある。(1)腫瘍径が同一、(2)男子数が通常よりも多い、(3)乳頭癌比率が高い、(4)潜伏期間が短い。今回のテーマは、(3)と(4)になります。 http://t.co/iPJjcRmiS3

2013-11-10 14:34:22
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cyborg001 @cyborg0012

まず病理について。甲状腺分化癌は病理組織的には「乳頭がん」、「濾胞癌」が大部分を占めます。通常、全症例の6-8割ともっともメジャーなものです。また、乳頭がんにも幾つかの下位形態がある。典型タイプ、充実タイプ、濾胞癌混合などである。 http://t.co/IWlauTuH9t

2013-11-10 14:37:46
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cyborg001 @cyborg0012

まずは基本情報の確認。12回健康管理検査によれば、手術後の病理検査で18人全員が乳頭癌と診断された(乳頭がん比100%)。この乳頭がん比率は通常と比べると、非常に高いと言える。 http://t.co/chdnesTEql

2013-11-10 14:40:21
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cyborg001 @cyborg0012

杏林大学の小児甲状腺癌データによれば、我が国では15才以下の症例で乳頭がん比は74%(濾胞癌は19%)、16-20才では乳頭癌比85%(濾胞癌比は10%)である(以下図)。福島の乳頭がん比100%が通常より非常に高いことが分かる。 http://t.co/orZChGWeEW

2013-11-10 14:43:37
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cyborg001 @cyborg0012

「被曝による甲状腺癌はほぼ全部が乳頭癌となる」ことはチェルノブイリ地域でも報告されている。以下表はベラルーシ、ウクライナと他国の甲状腺癌の病理形態の比較である(他国は大人も含まれている)。前者の乳頭がん比率が非常に高いことが分かる。 http://t.co/lX9HMQOUD8

2013-11-10 14:46:19
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cyborg001 @cyborg0012

福島、ベラルーシ、ウクライナ、および他国の小児甲状腺癌の乳頭癌割合を比較したのが以下の図である。福島100%、ゴメリ100%、ベラルーシ全土94%、ウクライナ93%と被曝群は抜きんでて乳頭がん比が高い(以下図参照)。 http://t.co/gLngTcFyiZ

2013-11-10 14:49:04
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cyborg001 @cyborg0012

濾胞癌の割合については、福島、ベラルーシ、ウクライナの被曝群は他国の通常群よりも低い(以下図)。「被曝による甲状腺癌では濾胞癌は生まれない」という病理学的な法則がある(RET再配列と関係しているとされている)。 http://t.co/QT5Kf6GfbU

2013-11-10 14:51:19
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cyborg001 @cyborg0012

「被曝によって生まれるのは乳頭癌」。福島で乳頭癌が18人中18人全員であったことは、被曝影響を疑う根拠となりうる。この病理学的法則について、もう少し詳しく見ていきたい。 http://t.co/HHDCGcBYEG

2013-11-10 14:53:20
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cyborg001 @cyborg0012

ミンスク国立甲状腺癌センター論文から。(1)ベラルーシの症例で乳頭癌比が高いこと、(2)乳頭癌は被曝由来の甲状腺癌のマーカーであること(3)医療被曝でも同様(4)DNAレベル(分子レベル)の因子が関係していること、が述べられている。 http://t.co/7Uu55cEGmj

2013-11-10 14:57:48
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cyborg001 @cyborg0012

チェルノブイリ原発事故のフォールアウトを受けた諸国でも「乳頭がんが増え、濾胞癌やその他の形態の甲状腺癌が減少した」という一連の報告がある。トルコの論文の要旨を訳出した。 http://t.co/gDDJJlgB8K

2013-11-10 15:00:06
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cyborg001 @cyborg0012

トルコの論文(Ozdemir D. et al. 2012)の原文要旨(Abstract)を以下に示します。 http://t.co/7lSqpDuncy

2013-11-10 15:02:41
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cyborg001 @cyborg0012

北部イングランドでもチェルノブイリ事故後子どもの甲状腺癌が有意に増大した。病理組織的にも、前20年間と、事故後10年では乳頭癌比率が大きく変化した(62%vs. 82%)(以下図)。 http://t.co/o5vWZHHyB9

2013-11-10 15:05:14
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cyborg001 @cyborg0012

ヤブロコフ博士などの『チェルノブイリ大惨事』でも、ギリシア、アメリカなどでチェルノ事故後乳頭癌の割合が増大したことが示されている(以下図)。このように、チェルノブイリ事故は世界中で甲状腺癌の病理形態に大きな影響をもたらした。 http://t.co/sJzGp6vba2

2013-11-10 15:07:36
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cyborg001 @cyborg0012

福島で18人全員が乳頭癌であることは被曝影響を疑わせる一つの根拠となる。その他、性比異常、チェルノブイリとの臨床的相似性を考えても、原発事故との因果関係を考え、健康管理検査を刷新する必要がある。 http://t.co/EhQ6MRVNO1

2013-11-10 15:13:03
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cyborg001 @cyborg0012

こうした警告に対して、福島医科大は耳を塞いでいる。「こんな短期間では癌にはならない」、「潜伏期間が短すぎる」(鈴木真一氏)などなど。ただし、「潜伏期間が短すぎる」という疑問は考察に値する。チェルノブイリ地域ではどうだったのか? http://t.co/JJ8YaQ8VLH

2013-11-10 15:16:07
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cyborg001 @cyborg0012

チェルノブイリ事故時IAEAが「甲状腺癌の潜伏期間は10-15年。潜伏期間が短すぎる」と因果関係を否定。しかし、有名なNature論文にあるように、ベラルーシの研究者も「信じられないが事実なんだ!」と悲痛な叫びをあげていたのである。 http://t.co/l8UExIsaej

2013-11-10 15:19:38
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cyborg001 @cyborg0012

周知のように、ベラルーシなどでは事故後すぐに(翌年から)子どもの甲状腺癌が多発している(以下被曝時年齢と潜伏期間の相関図を参照)。マリコ教授が言うように、「チェルノブイリ地域では事実上小児甲状腺癌の潜伏期間は存在しなかった」のだ。 http://t.co/kwNwtyDpX5

2013-11-10 15:22:30
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cyborg001 @cyborg0012

それでは、チェルノブイリ事故後すぐに生まれた甲状腺癌(86-90年)は、本当に被曝由来だったのか?癌に潜伏期間が存在しないなどありえるのか?もし検査バイアスが原因なら、福島も同様ではないのか?この点は答える必要のある重要な問題だ。 http://t.co/9MjOWHhzWg

2013-11-10 15:27:18
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cyborg001 @cyborg0012

ウクライナを見てみよう。たしかに、事故後すぐに小児甲状腺癌は多発している。10万人発症率では81-85年が0.05人、86-90年は0.11人である(以下図)。事故後すぐに2倍に患者が増えている。これは果たして被曝が原因なのだろうか? http://t.co/NruCV247Tl

2013-11-10 15:30:24
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cyborg001 @cyborg0012

手がかりになるのは、「量反応関係」があるか否かである。86-90年のウクラナイ症例を、低線量地域、高線量地域で見てみよう(以下図)。高線量地域の発生率が2倍以上高いことが分かる(Tronko M. D. et al. 1999)。 http://t.co/tR2XeZbcHl

2013-11-10 15:33:54
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cyborg001 @cyborg0012

もう少し詳しく見てみよう。ウクライナには地域別の初期被ばくデータが豊富にある(以下図)。被曝線量と、事故後すぐに生まれた甲状腺癌の症例数に比例関係はあるのだろうか? http://t.co/KnlSCSsPQL

2013-11-10 15:36:17
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cyborg001 @cyborg0012

以下の図は、ウクライナ地域別の初期被曝線量(mGy)と10万人当たりの小児甲状腺癌発症数)(1986-90年)の分布図である。チェルノブイリ事故後すぐの患者にも量反応関係が確認できる。 http://t.co/aL261ON0qe

2013-11-10 15:38:52
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cyborg001 @cyborg0012

1986-1990年のウクライナの症例では、低線量地域(平均被曝線量14.5mGy、10万人当たり0.09人)、高線量地域(70.7mGy、10万人当たり0.184人)である(以下図)。 http://t.co/dBJgC9pamk

2013-11-10 15:41:31
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cyborg001 @cyborg0012

それでは1990-95年の症例では同様の量・反応関係は確認できるだろうか?以下図(Tronko et al. 1999)が示すように、低線量地域、高線量地域の小児甲状腺癌の発症率には明確な量・反応関係が存在している。 http://t.co/2BOl4KjXh1

2013-11-10 15:43:58
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