西部劇とマカロニ・ウエスタンにおけるカウボーイハット

蔵臼金助さん解説による、映画で見るカウボーイハットの着こなしについて(かぶりこなし?)。
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

イタリア人は決して、本場ハリウッドの西部劇を貶めるためにマカロニウエスタンを作ったのではありません。 正統派西部劇を愛するあまり、自分たちで作ってしまったけど、呪われたイタリア人の血が作風を変質させてしまったのだ(※注:イタリアン・ジョークだ。本気にするな)。

2013-11-10 11:16:10
蔵臼 金助 @klaus_kinske

コルブッチみたいに意図的にハリウッドとは異なるウエスタンを作ろうとした作家たちもいるけど、本作のジョルジョ・ステガーニのように、ハリウッド製西部劇を模倣して作ったんだけど、仕上がりが何か違っちゃったね...というケースが殆どです。

2013-11-10 11:20:03
蔵臼 金助 @klaus_kinske

主人公たちのかぶるカウボーイハットひとつ採り上げても、それは分析出来ます。 http://t.co/1sVF2SY1WT

2013-11-10 11:20:41
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

監督や俳優が自分の個性を主張し、異なる文化を構築しようとした作品には、本家にないディティールが出てきます。 http://t.co/CCE7lSECkc

2013-11-10 11:23:28
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

イーストウッドが西部劇出演時にかぶるカウボーイ・ハットのブリム(ひさし)は、カールさせずにまっすぐである。 http://t.co/8rSM0355Rc

2013-11-10 11:25:44
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

レオーネの演出指導によるものなのか、リー・ヴァン・クリーフの好みによるものなのか、モーティマー大佐のハットもブリムが曲げられずにまっすぐな形状をしている。 http://t.co/9D8kpnZQwf

2013-11-10 11:27:53
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

フランコ・ネロはブリムを前後に曲げているのが多い。 (写真は『真昼の用心棒』) http://t.co/ZQla101peD

2013-11-10 11:29:40
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

イーストウッドやジェンマとは異なる個性を出したかったのかもしれません。 (写真は『続 荒野の用心棒』) http://t.co/l6DB7ge7GW

2013-11-10 11:31:27
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

アンソニー・ステファンもそうだけど、明らかにハリウッド製西部劇とは異なる作風のマカロニウエスタンに登場する主人公たちがかぶるハットの形状は、ブリムが真っ直ぐなケースが多い。 http://t.co/WUaTVrPLnM

2013-11-10 11:33:41
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

では、ジュリアーノ・ジェンマはどうかと言うと、ブリムをカールさせているハットをよくかぶっています。 http://t.co/BSVYJbbfMH

2013-11-10 11:36:01
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

そして、『続・さすらいの一匹狼』の主人公ブレットがかぶるハットは、もちろんブリムがカールしています。 何故ならば、彼の職業はマカロニウエスタンには珍しいカウボーイだから。 http://t.co/JD2oJuaS0E

2013-11-10 11:39:36
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

カウボーイハットに関して幾つかDMで質問を頂いたので、まとめて【補足】として、追加説明いたしますね。

2013-11-10 15:32:15
蔵臼 金助 @klaus_kinske

1.イーストウッドは“ドル3部作”以降、ハリウッドに戻ってから出た西部劇の中でもブリムの真っ直ぐなハットを愛用しています。なので彼の場合は、演出意図と言うよりは、彼自身のスタイルなのだと思います。 http://t.co/LCDJWIBqgs

2013-11-10 15:33:55
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

「俺は正統派西部劇でよく使われた、ブリムがカールしているハットは被らねーぞ」というわけです。 http://t.co/hXZgfnPATv

2013-11-10 15:34:42
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

時代背景の異なる『真昼の死闘』『アウトロー』などでも、カールさせずに着用しているのだから、徹底しています。 http://t.co/pFNcAOd8Mz

2013-11-10 15:35:30
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

ちなみに、典型的なハリウッド製西部劇のカールさせた、カウボーイハット。 (『ウインチェスター銃73』のジェームズ・スチュアートです) http://t.co/lL9YZgJHKR

2013-11-10 15:43:46
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

ブリム前方を斜めに上に向けてカールさせています。 http://t.co/TP5i0wczxp

2013-11-10 15:44:23
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

あるいは、『ベラクルス』のゲイリー・クーパー、バート・ランカスターのように、ゆるやかに上の方に向けて曲げたハット。 http://t.co/4WwgMEkNQD

2013-11-10 15:45:52
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

ゲイリー・クーパーは、このように上品な曲げ方のハットを『真昼の決闘』でも愛用していました。 http://t.co/yyPAiveirR

2013-11-10 15:46:56
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

B級西部劇の主人公に多いんだけど、このようなカールさせたカウボーイハットは、50年代~60年代にハリウッドで撮られた西部劇に登場する独特のものです。 http://t.co/uc1s9DGwEz

2013-11-10 15:47:59
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

サイレント時代の西部劇スター、ウィリアム・S・ハートは逆にブリムが真っ直ぐ。 西部開拓時代の生き残りがまだいた頃は、こういったリアルなカウボーイハット(トップも平らではない)が使われるのが当然だったのかもしれません。 http://t.co/cTdUuEK9kX

2013-11-10 15:51:10
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

マカロニウエスタンの影響を受けて以降、ハリウッド製西部劇の登場人物のファッションもおおいに変わりましたが、『ワイルドバンチ』の主人公たちは典型的なハリウッド製ウエスタン・ハット。ペキンパーの意地でしょうか。 http://t.co/czdvolqwcg

2013-11-10 15:52:53
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

TVシリーズ“ロンサム・ダブ”以降、ハリウッド製西部劇のファッションは大きく変わり、リアリズムが採り入られるようになりました。 http://t.co/7z6ArKkabY

2013-11-10 15:56:12
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

トム・セレックの『クロスファイア・トレイル』なんかも、とてもリアル。 http://t.co/JNHmgdqG9e

2013-11-10 15:58:25
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

でも、悪役はマカロニ・ハットだw http://t.co/Y3eKTox8Fj

2013-11-10 16:00:06
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