樹木と菌根菌の共生を利用した緑化技術と植生維持の話

大内正伸さんの問題提起をきっかけとして、樹木と菌根菌の共生関係の視点から、緑化技術への応用とその効果、マツ林を維持するために必要な土壌条件等について交わしたツイートをまとめました。
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大内正伸さんによる問題提起

大内正伸 @tamarinSHIZUKU

昔の作品です▶︎宮脇 昭「いのちを守る300キロの森づくり」←偽物の土台の上に本物の森ができるのかい? 「瓦礫の上に木を植えるのはやめようよ。」ををトゥギャりました。http://t.co/07or0rnoMV 11:25 PM Mar 10th, 2012

2013-11-12 16:52:00
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

江戸時代〜戦前に植えた古いマツ林は間伐や落ち葉かきが行なわれていたため根がよく張り、津波に流されずに持ちこた。50年生未満の新しいマツ林は放置されていたため根が浅く根こそぎ流された。 小川真『海岸林再生マニュアルー炭と菌根を使ったマツの育苗・植林・管理(築地書館2012.11)

2013-11-12 17:20:44
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

海岸林はそこに住む人にとって里山であり、落ち葉やマツカサ枯れ枝木などは数百年にわたって大切な家庭燃料として使われた。落ち葉採取は暮らしに密着した習慣だった。その作業が腐葉層を薄くし、結果マツと共生する菌根菌が元気になる。地下部が健全に保たれることで病害虫に抵抗力が出てくる(同書)

2013-11-12 17:30:48
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

現在残っている海岸のクロマツ林の多くは、手入れ不足のために広葉樹が浸入し、灌木やササ、草などが茂って崩壊寸前の状態にある。津波被災地に残っていた多くのマツ林も同じ状態だった。生き返らせるためには、下生えと厚い腐葉土を除き、衰弱している根元に炭の粉を埋めて再生させるしかない(同書)

2013-11-12 17:36:12
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

海岸のマツ林は自然に出来上がった天然林ではありません。しかし、海岸線を災害から守るには、これしか方法がないのです。放っておいて広葉樹にしろという声も多いようですが、今内陸にできはじめた広葉樹林は、前線のマツ林に守られて。ようやく成立したのだということを忘れないでください(同書)

2013-11-12 17:40:16
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

宮脇先生にいまいちばん読んでもらいたい本→小川真『海岸林再生マニュアルー炭と菌根を使ったマツの育苗・植林・管理』(築地書館2012.11) 読まないだろうけどw(なんせ先駆樹種のマツは偽物の木らしいですからw)

2013-11-12 17:45:29
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

森林学は深いんですよ。スギ・ヒノキ人工林は間に広葉樹が入ったほうがいいが、海岸のマツ林にはないほうがいい。それだけの理由があるんですね。伐り株から再生させるカシなどの萌芽更新となると、またちがう技術がある。写真は備長炭焼き体験中の私。 http://t.co/tQ7DMLCvb2

2013-11-12 18:00:50
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植栽木への菌根菌接種の効果と黄土高原の緑化の話

桔梗屋@Deer Culler @r_kikyoya

@tamarinSHIZUKU 小川先生による緑化木への菌根菌接種の効果については、こちらのサイトでも紹介されています。 大同での緑化協力 http://t.co/TMwUriFV0U [PDF]沙漠緑化NPO(GEN)の活動レポート http://t.co/Yq5GupxbNv

2013-11-13 09:35:27
桔梗屋@Deer Culler @r_kikyoya

私は10年以上前、緑の地球ネットワーク(GEN)の活動地域の近くにある自然林の調査に参加した事があります。その時カンバやヤナギ等の先駆樹種が多く自生しているのを見て「天然更新を利用すればもっと効率的に緑化出来るはず」と言った私に、GEN事務局長の高見氏はこう答えました。

2013-11-13 09:56:48
桔梗屋@Deer Culler @r_kikyoya

GEN高見氏曰く、「この地での植生破壊の大きな要因のひとつに山羊・羊の過放牧があります。植林された土地での放牧は政府に禁止されますので、そこに自然林が再生するチャンスが生まれます。同時に我々は果樹の植栽も進めて現金収入を確保し、放牧に頼らなくても生活できる基盤作りを進めています」

2013-11-13 09:58:33
桔梗屋@Deer Culler @r_kikyoya

植林を緑化の「切り札」としてではなく、自然林再生への布石の1つだと捉えることが出来るGEN・高見事務局長の見識の高さに、私は完全に「一本取られた!」という思いでした。

2013-11-13 10:01:17
桔梗屋@Deer Culler @r_kikyoya

その後GENは、放牧を排除するだけで自然林が再生する事を実証する「霊丘自然植物園」を建設し、自然植生の再生過程を継続調査しています。http://t.co/mldkDlTtkq それ以来、私はGENの活動を応援しています。

2013-11-13 10:02:46

海岸林の植生維持に関わる、樹木と菌根菌の共生の話

桔梗屋@Deer Culler @r_kikyoya

@tamarinSHIZUKU 小川先生の講演要旨『被災地での海岸林再生.docx』 http://t.co/Lv9uDqTjlJ に、「マツ林は自然植生から見て偽物という人もあるが、…防災林の意味を理解しない暴言である」とありますが、元の暴言の主は容易に見当が付きますね。

2013-11-13 09:38:47
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

@r_kikyoya なるほど、いい資料をありがとう。ニセアカシアの侵入が松枯れの誘因というのもあるんだね。紀州ではバメの伐採地にヤマモモを意識的に残す伝統的施業があるんたが、残し過ぎもよくないのかな。

2013-11-13 09:52:42
桔梗屋@Deer Culler @r_kikyoya

@tamarinSHIZUKU マツ類と共生している菌根菌の多くは、窒素やリン酸が多い富栄養状態に弱いため、自己施肥によって土壌の栄養状態が改善されれば、マツ林が衰退して他の樹種に切り替わるのが自然の遷移です。それをマツ林に留めておくためには貧栄養状態を維持する必要がある訳です。

2013-11-13 10:15:47
桔梗屋@Deer Culler @r_kikyoya

@tamarinSHIZUKU ウバメガシ伐採地でヤマモモを残すのは、萌芽再生に必要な養分を補う意味合いが強いと思います。ウバメガシ自体は極相的な純林を形成する樹種のようですので、菌根菌に依存しているマツ類のように、富栄養状態に対して極端に弱いという訳ではないような気がします。

2013-11-13 10:22:47
大内正伸 @tamarinSHIZUKU

@r_kikyoya ああ、分かります。ただ施業地を見るとヤマモモ残し過ぎという感じもする。それと海岸じゃなくてやや奥にあるバメは純林じゃなくて択伐で維持されたものなんです。皆伐すると成長の遅いバメは他の木に負けちゃうらしい。ナラ枯れとともに伐り方も問題。後でブログ書きますので。

2013-11-13 10:38:48
桔梗屋@Deer Culler @r_kikyoya

@tamarinSHIZUKU 私はウバメガシ林の知識がほとんどありませんが、落ち葉掻きを伴わない択伐だけで維持できるという事は、富栄養土壌に強いタイプの樹種なのだと思います。マツ類とは共生している菌根菌の特性か、菌根菌への依存度が違うのでしょう。それではブログ楽しみしています。

2013-11-13 11:04:38