[公開読書] コミュニティを問いなおす—つながり・都市・日本社会の未来—【第2章〜第3章】
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[公開読書] コミュニティを問いなおす—つながり・都市・日本社会の未来—, 2009, 広井良典, ちくま新書 http://t.co/AGWNBYDE6w
2013-11-14 02:23:02第2章 コミュニティの中心—空間とコミュニティ(P66〜P93)
「コミュニティの中心」という視点
第2章 コミュニティの中心—空間とコミュニティ ●「コミュニティの中心」という視点 コミュニティの中心とは「地域における拠点的な意味をもち、人々が気軽に集まりそこで多様なコミュニケーションや交流が生まれる場所(P67)」である。北欧の代表例:教会。日本では昔のお寺がそれにあたる。
2013-11-14 02:23:19現代において、コミュニティの中心になるところはどこか。黒川紀章(建築家)は都市の中心の歴史的変容を主張している(2006)。 番号:都市の基本的性格→その中心 1:神の都市→神殿 2:王の都市→宮殿 3:商人の都市→広場(プラザ)
2013-11-14 02:24:114:法人(企業)の都市→大企業の本社や銀行、百貨店など 5:個人の都市(生活の都市)→「中心のない都市(都市には中心なんてない!)」
2013-11-14 02:24:255について広井の見解。 統一的・一元的な意味でのコミュニティの中心は、これからの都市には確かに困難(不要)かもしれない。しかし、見知らぬ人々が気軽に訪れる場所としての拠点は必要だと思われる。
2013-11-14 02:24:51現代の「拠点」になり得る場所とは、黒川がいう「共有空間」「中間領域」になるだろう。 「バラバラに自立し拡散する個人を都市へつなぎ止めるのが『共有空間』である。…古典的なコミュニティ再生論を信じて、広場や公園といった公共空間を創出することだけでは、コミュニティの再生にはほど遠い。
2013-11-14 02:25:14個人と建築や巨大な都市との間をつなぎ共生させる何らかの空間装置『中間領域』『共有空間』が必要ではないだろうか。……東京にもニューヨークにも、都市空間の中に、ふと立ち寄れる身近な休息地や、地域や職場のそばにある安全なシェルターとしての公共空間・共有空間が、あまりにも少ない。
2013-11-14 02:25:24都市の中の個の孤独を救う道はあるのか、都市の中の個と個の不信感を取り除くことはできるのか(黒川, 2006)」(P70) 広井は、現代における広い意味での「コミュニティの中心(または拠点)」になりうる場所を探るためアンケート調査をしている。
2013-11-14 02:25:37コミュニティ政策に関する市町村アンケート調査(2007年5月実施)
●コミュニティ政策に関する市町村アンケート調査(2007年5月実施) Q:「コミュニティの中心」として特に重要な場所は? A:1位 学校、2位 福祉・医療関連施設、3位 自然関係、4位 商店街、5位 神社・お寺
2013-11-14 02:26:15学校が上位なのは、明治以降そこは地域コミュニティの中心だったから妥当であろう。福祉・医療関連施設が上位なのは、日本の人口構造が高齢化に転じているためだろう。ここからも、かつて学校が地域で果たしていた役割を今後は福祉・医療関連施設が担うことの重要さが浮かび上がってくる。
2013-11-14 02:26:25近隣住区論との都市計画の関係
●近隣住区論との都市計画の関係 20世紀の都市計画に大きな影響を及ぼした近隣住区論(C・A・ペリー)は、小学校1つを必要とする人口が近隣住区の適切規模であり、学校が住区の中心にあるべきとされた。これは世界各国に影響を与え、日本は1971年に自治省が類似の通達を出している(P73)
2013-11-14 02:26:37「コミュニティの単位」—日本における地域コミュニティの原型とは
●「コミュニティの単位」—日本における地域コミュニティの原型とは ところでコミュニティの範囲や単位はどのように考えればいいのか。アンケートによると、それは「自治体・町内会」、次いで「小学校区」と答える人が多かった(P75)。
2013-11-14 02:26:57日本のコミュニティの原型を考えるための歴史的変遷。 【1871(明治4)年】戸籍法制定:1区を「1000戸の戸籍からなる場所」とした。歴史的に自然村(近代以前の村)1つには神社が1つあった事から、それを引き継ぎ1区に1つ「郷社」という神社をおいた。だが性急な編成だったため失敗した
2013-11-14 02:27:10【1878(明治11)年】新戸籍法(群区町村編成法)制定:戸籍法の見直し。郷社氏子制を廃止。 【1889(明治22)年】市制・町村制:自然村(近代以前の村)を大字(おおあざ)・小字(こあざ)という小さい単位に格下げした。同時に行政区分上の自治体を形成。
2013-11-14 02:27:30【1906(明治39)年】神社合祀(じんじゃごうし):全国の神社の編成・統合。南方熊楠(生物学者)は「自然、コミュニティ、スピリチュアリティ(八百万の神)が一体となった地域社会が解体される」として、これに反対。
2013-11-14 02:27:41こうして、コミュニティの原型の神社(鎮守の森)は合併され減少してきた。神社を中心とする地域コミュニティが順次集約・統合される事と平行して行政上の自治体が代わりを担うようになったのである。
2013-11-14 02:27:50ちなみに、昭和の大合併(1953-61)や平成の大合併(1999-2010)で自治体数は減らされたが、それは農村から都市への人口大移動と平行して進んだので、少なくとも都市に関しては、神社や「鎮守の森」は地域コミュニティからは消滅してしまったと思われる。
2013-11-14 02:27:59地域コミュニティづくりにおけるハードルと展望
●地域コミュニティづくりにおけるハードルと展望 アンケート調査結果 (1)ハードルだと思う事 小規模町村:若者の流出・少子化による人口減少、地域経済・雇用衰退 大都市:現役世代の帰属意識が職場>地域、新住民と旧住民の距離が縮まらない ※大都市の方が意識・ソフト面の課題意識が顕著
2013-11-14 02:28:29(2)地域コミュニティの主体だと思うところ 「自治体・町内会」「住民一般」の割合がほぼ並んで多い。次いで「行政」「NPO」。ただし、人口30万人以上の都市に関してはNPOの割合は自治体・町内会、住民一般とほぼ並んで高い。
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