アニメ残ギャグ物語（TV『地球へ…』OP秘話＋α）

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

看板は、北久保です。アニメ残ギャグ物語PART3イッキマ～スッ！(←アムロの中の人)で、今回はTVシリーズ「地球へ…」 YouTube - Toward the Terra - Opening 2 - Jet Boy Jet Girl: http://bit.ly/aFmeIU

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

何時もながら事件は制作現場で起こるんダジョー。さっきのURLは、ようつべ でも見つけるのがかなりムチュカチイTVシリーズ「地球へ…」のシーズン2期OPのリンクである。以下「地球へ…」OP2と略すが、コレも俺の仕事である。又してもクレジットはされて居ないが、そこはソレ 事件だから。

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

予め 言っとくが、今回は話が長い上に 相当 専門的ナ物語になる(出来る限り解り易く解説はするが)。途中で飽きる方もいらっしゃるだろーが、ガンガッて 付いて来て欲すい。さて、「地球へ…」っつー作品は 漫画原作である 竹宮恵子 の代表作である。なして 俺がこのOPをヤる事に成ったか？

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

理由は「他に仕事が無かったから」。働かざる者 喰うべからず、つーか、何か仕事しなきゃ生きてけ無いんダジョー。まさかBLOODを撮った後で喰いっぱぐれるとは。むー。で、何か仕事探して 友人 結城 信輝 に電話した。北久保「おー結城ぃ 今 仕事探してんだけど、何か無いか？」結城～

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

済まん済まん、だいぶ時間が空いてしまったが。結城「オー、丁度 頼みたい仕事が有んだけどサー」もつべきモノはホモ イヤ、友である。しかし、得てして こーゆーバヤイは「危険」が伴う。案の定、スケジュールはO.A迄 三週間(←兎に角 危機)。背に腹は変えられん。ヤリますたよ「地球へ…」

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

でだ、ねこまたやさんから「そも音合わせモノ」は いきおい指定が細部まで至る点と「スポッティングシート」の説明をば無しに怪しい解説はしちゃイカンよ、とのご指摘を頂いた。その点に関しては 今から詳しく呟くので、皆んな 覚悟して付いて来る様に。で、スポッティングシートって「何よ？」～

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

皆んな、OPとかEDとかPVっつー様な音合わせモノは、何で映像と音がシンクロするのか？っつーと、ミュージシャンの創って来た音楽を ビデオ編集 通称「V編」と呼ぶのだが、この段階で DATかCDのデータを「タイムシート」に その音のリズム、ヴォーカルやサビが何処に入るか記入した物。

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

タイムシートって言えば、アニメーターや演出家が原画、動画、仕上げ、撮影処理 等を指定記入する物ネ。コレにサウンド ヴォーカルのタイミングを予め記入した物をスポッティングシートと言う。多くの演出家はこのシートを見て音キッカケ ヴォーカルキッカケに合わせて各カットの秒数指定をする。

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

でだ、結城信輝の紹介で「地球へ…」監督のヤマサキ オサム(山崎 理)さんと速効 打ち合わせ。北久保「で、どんなOPにしたいんですか？」ヤマサキ監督「とりあえず「地球へ…」の原作を読んで頂いた上で 曲と原作にマッチしたOPにして欲しいんデスが」…と、誰でも言ういつもの要望が。むう。

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

とりあえず俺は「マンガ少年」連載中にチラ見した位なので、原作を全部借りて読む。「地球へ…」ファンの方には申し訳無いのだが、俺には余り理解出来なかった。しかし、この原作と歌を手掛かりにこのクソ短時間でO.Aに間に合わせなければ成らない。兎に角、時間が、無いのヨ！しかし 今回の敵～

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

敵は、このスポッティングシートだったのヨ！制作くんが俺に渡したタイムシートには 確かにスポッティングが記されているのだが、タイムシートのスタートからラスト迄、全て音で埋まっている。しかも総秒数が93秒(⁉)になっている。北久保「あの、コレ、90秒じゃ無くてイイんですか？」～

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

通常のアニメのOPは、皆んな90秒と相場が決まって居る。TVシリーズの基本的フォーマットだ。制作くん「ソレが 90秒に収まり切らなかったみたいです」しかしこのスポッティングにはもっと基礎的な大問題が有った。北久保「でコレ、「クッション」が入って無いんですケド…」制作くん「は？」～

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

済まん済まん、寝てもうた。で、「クッション」とは、音物映像をO.Aする時、映像と音が 画面が切り替わった瞬間 同時に流れると 放送事故が起きる。曲のスタートとラストには0,5秒づつの「無音の部分が必要」で、ソノ曲の前後に0,5秒の無音部分を取って置かなければ成らないノダ。～

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

トコリョガ 俺の受け取ったスポッティングには キッカリ音キッカケからシートが記入されている。タダでさえTVフォーマットの90秒から3秒オーヴァーしているのだ。北久保「…あの、このママじゃ放送事故が起きます。そもそもTVフォーマットは90秒のハズ。コノOPは、一体 何秒が正尺で？」

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

制作くん「えぇと、ちょっと 早急に調べます」と言いながら 俺にソノ謎のスポッティングと設定類、原作と 曲＆歌の入ったCDを受け渡された。で、俺は曲に「大雑把に」合わせたコンテを四日間で描いた。で ヤマサキ監督と打ち合わせ。北久保「…以上です。如何でショーか？」ヤマサキ監督「OK」

飯面雅子 サンドアート工房 @iimenmasako

.@LawofGreen 「無音部分」の事を確か「ノンモン」というのですよね。何の略か調べました!! “nonmodulation”

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

で、こっから先にモノホンの地獄が待ち構えて居るのだが、その前に、ちょっと説明。今回の「地球へ…」は、ちょびっツ や サクラ大戦 とは ちと違う。今回 俺は、絵コンテ＆演出 を担当しているのだ。コレがコンテだけの仕事と ドウ違うか と言うと コンテ迄だと そっから先は 演出家の～

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

演出家の裁量に委ねなければ成らない。アニメーションは集団芸能であり、こうした「分業」は 得てしてやむ終えないのだが、本来 絵コンテと演出は同人物が作業するのが 映像の為には好ましい。クラシックに例えれば スコア(楽譜)を書く人と タクト(指揮棒)を振るう人は同人物の方が曲には良い

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

で、早速 自宅に帰った俺は、OP曲「JET BOY JET GIRL」(作曲 TAKUYA 作詞 歌 高橋 瞳)を聴く訳ダガ、打ち合わせの際に制作くんが俺に渡した「新しい曲上がりです」とのCDデータを聴いてギョッとした。北久保『曲のピッチ(速度)が早い⁉ 』慌てて再度打ち合わせ～

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

ヤマサキ監督と制作Pと共に新ヴァージョンを聴く訳ダガ、実は聴く迄も無いのだ。だってCDプレイヤーには秒数カウントが表示されてて、表示された秒数が88秒なんだもん。北久保「どうゆー事スかコレ⁉ 最初の音データもmp3ファイルでカウントしたら94秒48だったし、正確な秒数無きゃ作業～

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

作業するのは不可能ですヨ！」ヤマサキ監督「困りましたねぇ…」困ってんのは俺ダ俺！北久保「なんとか正尺(正確な秒数)を出させて下さい！ソレからクッションの問題も！プロの音屋さんがクッション無しでスポッティングシート提出するなんて有り得ませんヨ！」こうしてスタート段階からグダグダだ！

飯面雅子 サンドアート工房 @iimenmasako

.@LawofGreen 見本のCDと、ライブで使う本チャンのと秒数違う事、私もあった〜。5分と、5分3秒。比率的に少ないので編集で伸ばして貰った。でも、90秒の内の数秒、1秒でも、大変、重要、ですよね。

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

と、こ、ろ、が～、一応、音屋さんから93秒に前後0,5秒づつクッションが付いてトータル94秒 と言う決定事項は連絡が有ったモノの 肝心のスポッティングシートが 何時まで待っても届かない。無論、このドラゴン危機一髪なスケジュールで作業を止める事は致命的だ。止む終えず「仮秒数」で～

佐倉 大 (北久保弘之) @LawofGreen

「仮秒数」で原画チェックを進めながら音屋さんの完パケ(完全なパッケージ)上がりを待ったが、CDデータ上でクッション含め94秒00のデータ(らしきモノ)が届いたのが納品二週間前、しかも スポッティングシート無しでだ！何故だ！何故スポッティングシートが出て来ない‼ もう迷う時間は無い

CK4515 @4515tomr

@LawofGreen ワンクールに一回（EDだと２回）ペースでOPアニメーションがころころ変わるアニメなんてのは大変なんでしょうなぁ。しかもその曲が作品の｢主題歌」とは程遠いものっだったりするとファンはおいてけぼりぼりっすよ。某ジャンプアニメとかー、アニプレッ・・・。