F/T13 サンプル『永い遠足』PPトーク(11/17,21,22)小泉明郎・千葉雅也・岩井秀人/松井周

サンプル『永い遠足』/F/T13 主催プログラム 作・演出:松井周 http://www.festival-tokyo.jp/program/13/the_long_field_trip/ ◎Twitterでの感想まとめ→ http://togetter.com/li/591054 <ポストパフォーマンストーク> 続きを読む
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フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

一昨日初日が開けましたサンプル『永い遠足』、密度の高い作品を味わった客席の興奮さめやらぬまま、松井周×小泉明郎のトークが行われました。以下まとめを連投します。#FT13_ensoku

2013-11-19 11:10:36
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松井×小泉トーク #FT13_ensoku】①小泉さん感想:普段演劇をあまり観ないので、サンプルも初めて観ました。体育館に車が入ってきて、それらが解体されながら演劇がはじまる。時間軸、心理描写が解体されたまま展開していき、最後に回収されていくのがすごい。刺激を受けました!

2013-11-19 11:11:00
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【松井×小泉トーク #FT13_ensoku】②小泉:どういう経緯でこの作品をやることに? 松井:越後妻有の夏の野外公演と、F/Tでやることが決まっていて、テーマとして生態系を扱いたいというのがあった。というわけで生産、消費、分解の3パターンのサイクルを、山車に表した。

2013-11-19 11:11:16
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【松井×小泉トーク #FT13_ensoku】③(承前)演劇はその場で起こすことだから、長いスパンをそのまま表現できない。だからステージ(山車)がぐるぐる回って、生産、消費、分解を繰り返す。言い方があれですが、観客自身が分解された糞のような存在になるというか。

2013-11-19 11:11:37
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【松井×小泉トーク #FT13_ensoku】④松井:あとは(今回参照した)オイディプス。知らないうちに罪を犯してしまった主人公がコロス、市民によって追いつめられていく話ですが、誰かがしょうがないって言ってあげればいいのになって思って。一つの物語を周りから強制されるのが気持ち悪い

2013-11-19 11:11:55
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【松井×小泉トーク #FT13_ensoku】⑤小泉:自分が変わっていく、その逆のベクトルで運命があって、その差がドラマを生む。その中でその「別にいいじゃん」はどこに位置する? 松井:常に「いいじゃん」を入れることで、どんな物語も脱着可能でありたい。コスプレ感覚。

2013-11-19 11:12:09
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【松井×小泉トーク #FT13_ensoku】⑥小泉:劇中でも母親と子供の関係とか、普通じゃない関係が描かれている。自身のプライベートは関係している? 松井:自分の暮らしもどこか演劇的に思っているふしはある。子供は子供を演じていると思うし。

2013-11-19 11:12:21
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【松井×小泉トーク #FT13_ensoku】⑦(承前)遺伝とか逃れられないことを自分でいさめるためにも、常に解体できるという感覚を持っていたい。小泉さんの作品で特攻隊の彼氏がいたおばあさんに話を聴くビデオがありますよね(『二重投影 #2—彼女の祈りが通じたとき』)。

2013-11-19 11:12:32
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【松井×小泉 #FT13_ensoku】⑧承前)おばあさんに特攻隊の帽子を被せて、昔の彼に対しおばあさんが今の気持ちを語るんですが、画面が二分割されて、おばあさんが聞き手にも答え手にもなる。おばあさんが特攻隊の彼の気持ちを語ることで、フィクションとドキュメンタリーを行き来する。

2013-11-19 11:13:07
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【松井×小泉トーク #FT13_ensoku】⑨小泉:現実に物語のフレームを与えるということですね。体育館に山車をおくのも、空間と時間にフレームを与えていて、それが演劇のはじまりになる。実にうまいやり方だと思う。一見めちゃくちゃなものをまとめられるか、それこそ手腕にかかっている。

2013-11-19 11:13:21
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×小泉トーク #FT13_ensoku】⑩松井:今回美術も会場のありものを使っている。ツタが絡まっていく植物のように成長していく作品だと思う。 小泉:映像は編集して作るからこそ作品の「終わり」が決まるけど、演劇はここで終わり、という瞬間がある?

2013-11-19 11:13:30
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【松井×小泉トーク #FT13_ensoku】⑪松井:ない。何ヶ月も継ぎ足しながら演劇を作り続けてみたい。小泉:では逆に「物語」は演劇の運命として変わらずにあるものか? 松井:物語は、固まっているけどどこまでも続くもの。あらすじとして要約してしまうと、終わってしまうのでは。

2013-11-19 11:13:42
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×小泉トーク #FT13_ensoku】⑫客席から:舞台美術はどう作っていったか 松井:台本ができる前の相談から。今回の生態系というテーマだったら、曼荼羅とか。山車がぐるぐる回る案も美術の杉山さんから。最初から決まっていることは何もなく、体育館とかありものを強引に味わう。

2013-11-19 11:14:41
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【サンプル トークまとめ】昨日のサンプル『永い遠足』公演終了後は、松井周×千葉雅也(哲学者/批評家)+ドラマトゥルクの野村政之のトークが行われました。以下にまとめますので、連投ご容赦ください。#FT13_ensoku

2013-11-22 12:08:05
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×千葉トーク #FT13_ensoku】①松井:F/Tからギリシャ悲劇をお題にして何かやってくれないかと言われたので、『オイディプス』をやりたいと思った。今回作った雑誌でも「変態」という特集を組んでいるが、アブノーマルという意味だけでなくメタモルフォーゼの意味も含んでいる。

2013-11-22 12:09:10
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×千葉 #FT13_ensoku】②(承前)千葉さんの文章は2009年の『現代思想』「人間/動物の分割線」という特集の中で「トランスアディクション」を拝読したことが始まり。この作品の稽古中にも『動きすぎてはいけない』という本を刊行されたので、それもかなり参考にした。

2013-11-22 12:09:39
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×千葉 #FT13_ensoku】③千葉さん感想:少し泣いてしまった。運命に従うのではなく変えていくということが物理的なレベルで考えられている。家族内の重苦しい磁場や欲望からどう逃れるかということと、科学技術の発展で物理的に変身が可能になったということが共存している。

2013-11-22 12:10:08
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×千葉 #FT13_ensoku】④(承前)一方で、人がその場にいるという演劇的要素をフルに活かした作劇。解散・解放がテーマの一つだと思うが、解散のための劇が、身体によって共有されているパラドックス。泣いたり笑ったり、その場に参加しているということに興奮がある。

2013-11-22 12:10:56
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×千葉 #FT13_ensoku】⑤松井:身体を共有するものとしての演劇、ということは意識して作っている。視覚や聴覚にのみ訴える映画などと違い、五感に刺激を与えたり、人が震えているさまを生で目撃することで振動が伝わると思う。

2013-11-22 12:11:25
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×千葉 #FT13_ensoku】⑥千葉:女性の欲望の問題も一つのキーだと思う。母親は、父の暴力に悩みながらもむさぼり食うような欲望と恋心を抱えている。父の暴力性は茶化されて露呈してこないが、母の暴力性・滑稽さ・不気味さがいろんな断片から溢れ出てくる。それにやられた。

2013-11-22 12:12:07
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×千葉 #FT13_ensoku】⑦松井:原作のオイディプスは父を殺すということがメインに扱われるが、今この時期に父の暴力ってどうやって描けるのかな、と思う。本作品においては父の暴力性は消失してしまった、という感じ。

2013-11-22 12:12:30
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×千葉 #FT13_ensoku】⑧千葉:僕が関心を持つ芸術作品は解放、もしくは分身のテーマを扱うものが多いが、本作品もそう。すべての人物が両義的に存在しているし、その分身みたいな存在がいる。重い磁場から一緒に逃れることによって、仲間と言うか、分身になるような存在。

2013-11-22 12:13:04
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×千葉 #FT13_ensoku】⑨(承前)オイディプス的な運命への回収を批判するなら、ある場面が別の事の隠喩であるかのように見せる手法を別の方法で使わなければならない。すべてが家族の悲劇のメタファーになるのではなく、全ての状況が「進化あっての分身」を示すような。

2013-11-22 12:13:44
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×千葉 #FT13_ensoku】⑩(承前)でも重要なのは、それでも僕らは父親や母親をめぐるトラウマから逃れられないということ。リアリティとしてオイディプス的なものとアンチオイディプス的なものが並立しているし、この作品でも両方が動いていて、その間の部分で泣いてしまう感じ。

2013-11-22 12:14:11
フェスティバル/トーキョー @festivaltokyo

【松井×千葉 #FT13_ensoku】⑪松井:そう言ってもらえるのはすごく嬉しい。僕は引き裂かれている状態にあることが「常態」だと思っている。常にいろいろな方向に引っ張られて変化していくことこそが「間にいる」という感じ。

2013-11-22 12:14:40