~それぞれの日々~

綺羅(@kiraboshi219)さんによる薄桜鬼の創作小説第3弾です。 ~内容~ 平助の発案で、新選組の歴史を綴っていくことになった。 それぞれが少しずつ書いていく記録、 続きを読む
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🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「よしっ」 自室にいた藤堂は、膝を叩いて立ち上がった。 襖をざっと開け、意気揚々と廊下を踏み鳴らし、大広間へと向かう。 皆が揃う朝食の時刻を、今日一番楽しみにしているのは、 間違いなく藤堂平助だ。

2013-11-26 22:41:22
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「おはよーっ!」 「おはよう、平助くん」 威勢の良い平助の挨拶に、真っ先に答えたのは千鶴だった。 しかも今日はいつも以上に平助の機嫌が良さそうで、見ている千鶴も爽やかな気分になる。

2013-11-26 22:42:34
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

千鶴は毎朝、平助から元気をもらっているような気がして、 自然と笑みが浮かんでくる。 しかも今日はいつも以上に平助の機嫌が良さそうで、 見ている千鶴も爽やかな気分になる。

2013-11-26 22:42:58
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

主だった幹部隊士が全員集まるのは食事時、特に朝だ。 今日は全員揃っている。 平助は自分の膳の前で、ごほんと咳払いをして注目を集めた。

2013-11-26 22:43:15
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「えー、今日は、みんなに提案があります!」

2013-11-26 22:43:37
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「なんだなんだぁ?どうした平助、急に改まって」 「まあいいから聞いてくれよ、新八っつあん」 平助は近藤、土方に視線をやって、許可をもらう。

2013-11-26 22:43:53
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

土方は眉間に皺を寄せながら、「くだらねえことじゃないだろうな」とため息交じり。 近藤は「まあまあ」と土方を宥め、平助の言葉を促した。

2013-11-26 22:44:05
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

千鶴もいそいそと末席につき、行儀よく待機する。 平助は持って来た筆と紙を両手で掲げ、満面の笑顔でこう言った。

2013-11-26 22:44:43
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「新選組の幹部隊士で、順番に日誌を書いてみねえか? 後で見た時、この日は何があったとかわかりやすくするために! 例えば捕物の人数とかさ」

2013-11-26 22:44:55
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

沖田がへえ、と声を上げた。 「いいんじゃない、それ。面白そう」

2013-11-26 22:45:08
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「記録か。有効に活用できそうだな」 斎藤もぼそりと呟きつつ同意を示した。

2013-11-26 22:45:20
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「新八は何に金を使ったかも書いとけよ」 「お酒。お酒。女。って?」 「総司ィ、そりゃねえって!」 原田と沖田のやりとりに、千鶴がくすっと笑うと、平助は千鶴の方を見て言った。

2013-11-26 22:45:42
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「千鶴、お前も書くんだぞ」 千鶴は目を丸くして、少し嬉しそうにはにかんだ。 「私も、いいのかな」 「当ったり前じゃん。おまえも仲間なんだからさ」 平助が同意を求め、皆を見回すが、誰も反対などしなかった。

2013-11-26 22:45:58
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

さらに視線を伸ばし、近藤、土方を捉える。 「いいよな?近藤さん、土方さん」 近藤はもうその気になって大きく頷いた。

2013-11-26 22:46:11
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「なかなかいい案じゃないか。なあトシ。とにかくやってみよう」 「近藤さんがそう言うんなら、俺は反対しねえ」 土方もまんざらではなさそうだった。

2013-11-26 22:46:23
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「では、誰から書き始める?」 「あ、それなんだけどさ。オレ、少し考えてきたんだ」 平助は目を輝かせたまま、次の提案を発する。

2013-11-26 22:46:40
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「今日からのことはすごく詳しく書けるけど、 どうせならさ、新選組の記録にしたいんだ。 だから、皆が覚えてることを少しずつ書いてきて、 それをまとめたら、物語にもなるんじゃないかって思ってさ」

2013-11-26 22:47:03
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

物語、という言葉に、近藤が目を輝かせた。 「うむ、それはいい! では、各々暇な時にでも、日付を入れた記録を記したものを書いていくことにしよう。 順番に並べれば、立派な新選組の物語になるぞ!」

2013-11-26 22:47:23
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「よし決まり。じゃあこの広間に、木箱でも用意して、そこに入れていこうぜ」 「日付ごとに並べるのは、私もお手伝いさせてもらうね」

2013-11-26 22:47:37
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

にぎやかに決まっていく中、土方が一人独つ。 「今日からの記録は誰が書くっつうんだよ……」

2013-11-26 22:47:49
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

その日の昼、 土方は木箱に白紙の綴じ本を入れておいた。

2013-11-26 22:48:06
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

翌朝になって、早朝から外出していた土方が屯所に戻り、 広間の木箱を覗いてみると、 各々が持って来た半紙が何枚か入っていた。 感心しながらそれを手に取り、眺めてみる。

2013-11-26 22:48:28
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「慶応三年六月。 屯所が一時、鬼が島になる。沖田総司」

2013-11-26 22:48:44
🐿 綺 羅 🦭 @thrianta_satin

「慶応三年六月。 鬼と名乗る三人組が屯所に現れた。 久しぶりに土方さんの本気を見た気がする。原田」

2013-11-26 22:48:55
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