茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第1103回「理系男子とつきあうための、女子のためのオタ語入門」

茂木健一郎 @kenichiromogi

続ツイート第１１０３回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、さっきトイレ入っていて、なんとなく思い出したこと。

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りお（１）誰でもそうなんだろうが、ぼくの中にも、複数のぼくがいる。最近よく思い出すのは、小学校の時、蝶の研究していて、女の子たちからキモオタと思われていたな、ということ。たまに電話がかかってくると、「茂木く〜ん。庭にへんなイモムシがいるから、何か見に来て〜」だったり。

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りお（２）理学部物理学科を出ているくらいだから、自分の中にオタは当然いる。法学部行って文系のやつらと交友したり、『生きて死ぬ私』みたいなエッセイ書いたりしてもののあはれ系の私もいるが、基本的に、私の芯のところに、がちっとしたオタがいることは、実は間違いない。

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りお（３）で、自分の過去をふり返ると、オタむき出しだと、やはり世間とつき合いにくいというか、コミュニケーションがうまくいかないから、ある時期から「オタ隠し」に走った、という気がする。最近、そろそろオタ再起動してもいいかな、と思い出しているのは、いろいろ飽きてきているんだろうな。

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りお（４）自分のこと書いてたら本題入るの忘れた。「理系男子とつきあうための、女子のためのオタ語入門」始めます。理系男子って、いいやつ多いのに、オタが邪魔して女子に縁がない人も多い。だから、女子の方で、理系男子が使いがちなオタ語をマスターして、アプローチしてみてくださいね。

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りお（５）オタ語その１「サチる」。例えば、「経済効果があると言っても、そろそろサチるかも」みたいに使う。「サチる」＝saturateする。上限に近いところまで、行っている。Ｓ字カーブの上のフラットなところのあたり。特に生化学関連のオタが使います。二人の関係は、サチらないように！

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りお（５）「高々」。数物系のオタが使うことが多い。例えば、「経済効果といっても、高々１００億円」みたいな感じ。これは、バカにしているんじゃなくて、数値のオーダー（程度）として、上限いっても１００億くらいじゃねえの、みたいな冷静な評価。くれぐれも二人の関係を「高々」しないように。

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今の（６）でした。でも、そのままいきます。

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りお（７）「トリヴィアル」。これ、おれツイートで時々使っているね。ある前提から、ある結論が導かれることが見やすいこと。ファインマンの本の中に、数学者が「それはトリヴィアルだ」と言うのは「証明できる」という意味だというエッセイがあります。逆にnontrivialは最高のほめ言葉。

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りお（８）あと、あまり一般的なオタ語ではないかもしれないけど、ぼくが好きなのは、intractableという言葉。数式いじっていると、到るところにこいつが出て来ます。基本的に否定的な言葉なんだけど、逆に、対象がそれだけ奥深い、ということを示す畏敬系の言葉でもある気がします。

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りお（９）一部オタ語を紹介しました。理系男子にとって、理想の女子は、「高々＊＊じゃん、そろそろサチると思うぜ、せいぜい、＊＊のオーダーだな。それは、trivialだよ。その定式化は、intractableだ」みたいな会話に、うんうん頷いてくれる子かもしれませ。そんなのいるかい！

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第１１０３回「理系男子とつきあうための、女子のためのオタ語入門」でした。彼氏が、デートの最中に「エントロピー」の説明を一時間しても、平静を保っていてくださいね。