2011年6月いわき市豊間の音楽イベントから考える「観光地化」

2011年6月11日に、いわき市沿岸部のセブンイレブン豊間店で開催されたイベント「SHARE FUKUSHIMA」について、プロデューサーをつとめたジャーナリストの津田大介さんが、ライブの企画意図や背景などについて語ったツイートをまとめました。 津田さんは、昨今話題の「福島第一原発観光地化計画」にも参加されていますが、本書の計画の背景や、参加者としての思い・考えを理解する上で、重要な振り返りになっていると思います。議論を深めるうえでの一助になればと。 続きを読む
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小松 理虔 @riken_komatsu

震災直後、豊間のセブンイレブンでライブがあったよね。フェスに行くような服装で、豊間の写真を撮って、美しいピアノを聞いてバスで帰っていく人たちを見たときに「なんじゃこれは」と思ったけど、そのうち何人かは、きっと今も関心を持ってくれていると信じたい。

2013-11-26 15:32:34
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu あれは僕が5月の取材でセブンイレブン豊間店訪れた時に金成店長が「ここで何かイベントとかやりたい」とおっしゃったのでそれに呼応する形で実現させたものです。

2013-11-28 14:38:18
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu 当時東北にちょくちょく行ってた僕は東京で色々な人と震災について話すと「真面目な人」ほど東北にボランティアとか行けないという感じがあったんですね。「仕事忙しいから2~3日しか行けないけどそれじゃかえって迷惑だよね」とか「物見遊山に思われるの辛い」とか。

2013-11-28 14:39:21
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu あの時点で音楽のイベントを被災地でやるのは現地の方々の反発があることは容易に想像できたので悩みました。ただ、金成店長が「絶対にここから復興するんだ」という強い気持ちがあったので、それならお手伝いをしようということで僕も決断できました。

2013-11-28 14:43:16
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu なのでイベントプロデューサーとして僕が考えたのは下記のコンセプトです。「チャリティーイベントにしない」「アーティストを現場に連れて行って本気で作品を作ってもらう」「福島を支援したい人の心を満たす」「具体的復興につなげるため現地にお金を落とす」

2013-11-28 14:45:28
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu チャリティーにしなかったのは、それでは持続可能性がないと思ったから。「仕事」として出演者やPAスタッフにもギャラをきちんと払うことで、損益分岐点が見えてくるし、次回以降のことも考えられる(主催者としての僕は持ち出しだけでギャラはもらってません)。

2013-11-28 14:47:08
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu チャリティーにしなかったのはアーティストに本気で演ってもらうことともつながってます。あのときにしかない風景を見て、そこで感じたことを音楽にしてもらうことは、そのときにしかできないことで、それを観客にお金を払って見てもらうことに意味があると思いました。

2013-11-28 14:49:11
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu と言いつつ、現地の方々にどう思われるのか、どういう配慮ができるのかということは色々考えました。金成店長や豊間地区の鈴木区長と話して僕が考えたプランは、被災地ツアーとボランティアとライブを全部セットにするというものです。

2013-11-28 14:51:32
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu バスツアーのお客さんたちが午前9時に豊間に到着後、鈴木区長に豊間地区を案内・ガイドしてもらいました。その時鈴木区長は「どうぞ遠慮せず皆さん写真に撮ってください。その目と写真に焼き付けてください。我々は忘れられることが一番辛いです」とおっしゃいました。

2013-11-28 14:53:31
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu 1時間ほどで鈴木区長による「ツアー」は終わる。当然訪れた側はいろいろやりきれない思いや申し訳ない思いを抱える。それを少しでも解消し、現地の方々の役に立つため、そこからお昼までの2時間ほどツアー客に現地のガレキ拾いのボランティアをしてもらいました。

2013-11-28 14:55:18
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu バスツアーのお客さん100人にガレキ拾いのボランティアをしてもらったと、昼食。その後14時から14時26分の黙祷をはさんで、ライブを2時間ほどやりました。

2013-11-28 14:58:07
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu 豊間に訪れた時、ガイドツアーが終わった時、ガレキ拾い直後は、みんな無口で沈痛な面持ちだったお客さんがライブを見た後は憑きものが落ちたように晴れやかで、しかし「何か福島のためにしなければ」という決意に満ちた顔で帰って行きました。その変化に驚きました。

2013-11-28 14:59:44
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu 小松さんもおっしゃる「実利」を求めることも重視し、この地区にイベントでお金を落とすことを考えました。東京からのバスツアーは1人1万円に料金設定し、100人来たので100万円をボランティア後に「豊間地区」への即座に使える支援金として区長に渡しました。

2013-11-28 15:02:41
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu もう1つ、この場所で営業を続けるセブンイレブンの売上に貢献することも重要と思い、お弁当を大量に用意してもらい、ボランティア後の100人分の昼食を仮設営業中のセブンイレブンで購入してもらいました。後で聞いたら開店以来最高の売上を記録したそうです。

2013-11-28 15:04:10
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu 普通にイベントやったら数百万円くらいはかかる規模のイベントでした。自分で負担するつもりでしたが、それも持続可能性がないと思い、名刺を漁って今まで知り合った様々な方々に支援のお願いをしました。当時は日本にクラウドファンディングがなかったんですね。

2013-11-28 15:06:21
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu 結果、ざっくり300万円くらいの寄付が集まり、費用は様々な方の協力もあって出演者のギャラも払ったうえで200万円に抑えることができました。復興作業の役に立てばということでライブ後仮設のトイレも2つ寄付しました。手元に100万円くらい黒字が残りました。

2013-11-28 15:08:29
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu 僕の持ち出しを除いて生じた100万円の黒字は金成店長に受け取ってもらおうと思って100万円を渡しに行きました。しかし金成店長は「わかった。でもこれはこの地区の子ども達のために使わせてもらう」と言って豊間小と豊間中にそれぞれ50万円ずつ寄付されました。

2013-11-28 15:10:38
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu 以上があのイベントが開催された背景と、どういうイベントだったのかということの詳細と、それがもたらした結果です。考えてみればあのイベントをやったから僕はあずまんの福一計画に実感としてああいうものが必要だと思っているのかもしれませんね。

2013-11-28 15:16:18
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu あのイベントに参加した人たちは、かなり強烈な体験だったと思います。何人かは、ではなく、数十人単位でまだ関心を持ってくれていることは僕は現場にいたものとして確信しています。

2013-11-28 15:17:32
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu 金成店長が福島の各メディアとつながっていたこともあって、本当はNHKや福島の新聞などで大々的に告知して福島の人たちを集めようとしていました。ただ、あの場所は車でないと行けず駐車場もなかったため安全上の理由から大々的な告知を止める方向に変わりました。

2013-11-28 15:19:24
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu あともう1つ、イベント終了後、現地の人から「良いイベントだったけど、またやってくれるのかな」と言われたことがずっと心に残っています。きちんと第2弾、第3弾的なことをやっていきたいと思っているのですが、それはあずまんと拠点を作って実現させたいなと。

2013-11-28 15:21:13
津田大介 @tsuda

@riken_komatsu 長々と書いてしまいましたが、以上です。本当はもっともっと細かい話がたくさんあるのですが、それは今度お目にかかった時にでも!

2013-11-28 15:21:46