2013年11月29日

ネット発レイシストを語り手にした小説『セヴンティ』の自作解題

樺山三英と読者の対話
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岡和田晃_新刊『いかに終わるか』『再着装(リスリーヴ)の記憶』 @orionaveugle

相互に内容的調整をしたわけではないのですが、「メタポゾン」10号の樺山三英「セヴンティ」、忍澤勉「新しい核の時代とタルコフスキーの視線」、そして拙稿は、“文学”と社会状況の連動、という視座において、見事に照応していますね。そこに川勝徳重氏の徹底して反時代的な劇画がいい感じで入る。

2013-11-26 11:59:31
nos @unspiritualized

#nowreading 樺山三英『セヴンティ』 ネット発のレイシストを語り手にした史上初の小説では?!大江健三郎の『セヴンティーン』への2010年代からのオマージュにもなっている。アクチュアル。

2013-11-27 23:50:50
樺山三英 @kabayama3A

@unspiritualized 恐縮です。このテーマはいずれ、もっとまとまったかたちで扱いたいと思っています。まあ発表する場があるのか、という懸念もあるのですが…。

2013-11-28 17:38:55
nos @unspiritualized

こちらこそ恐縮です。たいへん興味深く読ませていただきました。実際、小説とやや似通った中年レイシストも実在していて、預言性に驚きました。今後、幾度も参照されることになる、時代に刻まれた作品だと思います。創造性と勇気に拍手を送りたいです。@kabayama3A

2013-11-28 20:11:16
nos @unspiritualized

貴重な機会なので、ふと思ったことも書かせていただきます。『セヴンティ』では、主人公を強迫的に動かす思念について、一種の妄想、こう言ってよければ<病>として書かれているように読みました。これについて、僕は現在、現実に起きている事態と比べてしまうんですね。@kabayama3A

2013-11-28 20:13:59
nos @unspiritualized

いま現在、表層つまり言動において主人公とほとんど同様のレイシストは山ほどいる。では、彼らは<病>なのかー、と。例えば28歳で会社勤めで既婚者のレイシストもいる訳です。つまり、樺山さんや僕のような<健康>な人間です。@kabayama3A

2013-11-28 20:17:33
nos @unspiritualized

<病>を持たない<健康>な人間がレイシストであり、ヘイトスピーチを叫ぶ。このような現実は、小説を追い越しているのだろうか。あるいは小説はそのような現実、そのような<健康>をこそ、あえて<病>というメタファーとしたのだろうか。@kabayama3A

2013-11-28 20:20:42
nos @unspiritualized

作品の骨格に関わることなので、お答えいただかなくとも結構です。僕としては、こういうことを考えるきっかけともなったので、得難い読書体験となりました。@kabayama3A

2013-11-28 20:21:40
樺山三英 @kabayama3A

返信ありがとうございます。たいへん的確な指摘をいただいて、うれしいです。少し長くなるかもしれませんが、お答えしようと思います。まずあの短編の文体についてですが、これは参照元である大江健三郎「セヴンティーン」の強烈な影響下にあることをご承知ください。@unspiritualized

2013-11-29 01:01:13
樺山三英 @kabayama3A

大江健三郎の初期作品は、総じて異様な迫力を持っていますが、そのなかでも突出して異様なのがあの「セヴンティーン」という作品です。nosさんの言葉を借りれば、ほとんど<病>の状態に近く、妄想と現実の垣根が無くなっている。@unspiritualized

2013-11-29 01:01:35
樺山三英 @kabayama3A

大江がなぜ、あそこまで破格な文体を呼び寄せたのか、というのすごく興味のある問題でした。他の作品では、多かれ少なかれ自身に似た主人公を設定してきた作者が、あの時期にだけ試みた例外だったわけで。@unspiritualized

2013-11-29 01:02:06
樺山三英 @kabayama3A

その後の経緯もあってか、大江はこの文体を封じ、再び自分の似姿に近い語り手を採用するようになります。ただこのモチーフ自体は伏在していたのではないのかと。近年のレイト・ワークスのなかでも、三島由紀夫の問題に絡めて、再提出されているようにも思えます。@unspiritualized

2013-11-29 01:03:43
樺山三英 @kabayama3A

前置きが長くなりました。すみません。以上は「セヴンティ」の語りが<病>めいたものになる「文学的」な理由なのですが、nosさんがお尋ねなのは、そうした語り口が、現代のネトウヨ的な心性に合致するのか、ということですよね。ご指摘の件はよくわかります。@unspiritualized

2013-11-29 01:08:09
樺山三英 @kabayama3A

ここでは詳細は書けないんですが、自分は仕事で、右側の人たちの対応をすることがあります。なので、ここ六、七年で彼らの顔触れがガラッと変わったことには本当に驚いています。街宣車に黒服の人たちはむしろ少数で、普段着の買い物帰りみたいな人たちが大多数です。@unspiritualized

2013-11-29 01:09:20
樺山三英 @kabayama3A

そういう普段着の人たちが、大勢で群れて聞くに耐えない罵声を叫ぶ。こうした光景はやはり端的に不気味で不快です。ただ、自分が本当に恐ろしいと思うのは、こういう人々の情念を誘導し、政治的に利用しようとする勢力があることです。その構造です。@unspiritualized

2013-11-29 01:10:10
樺山三英 @kabayama3A

「セヴンティ」の主人公はたしかに<病>を抱えていますが、それは大江的な自意識の病ではありません。むしろ構造的に準備された<病>だと思います。具体的に言えば作中の「施設」によって作り出され、埋め込まれている<病>です。@unspiritualized

2013-11-29 01:10:34
樺山三英 @kabayama3A

主人公はおそらく自分が「施設」のモルモットにされていることがわかっている。にも関わらず、それを認めることができない。だから「愛国心」による自発的な協力だと言って自分を騙す。彼の<病>は、そうやって固定されていく。<病>がどんどん構造化されていく。@unspiritualized

2013-11-29 01:10:52
樺山三英 @kabayama3A

自分が書きたかったのはたぶん、そういった不毛さです。あれは近未来の日本が舞台ですが、これに似た不毛な構造は、今日むしろよく見かけるように思います。あの原稿を書いたのはちょうど昨年の今頃なのですが、この一年で、より加速化しているのではないかと。@unspiritualized

2013-11-29 01:11:17
樺山三英 @kabayama3A

nosさんの言葉に即して言えば、<健康>な人間がヘイトスピーチを叫ぶ、そのような状況、およびそれを強いる構造こそが<病>なんじゃないか。というのが自分の考えということになると思います。ちょっとまどろっこしい説明になってしまいましたが。@unspiritualized

2013-11-29 01:11:32
樺山三英 @kabayama3A

ずいぶん長くなってしまいました。すみません。本来こういう自作解説めいたことはするべきではないんでしょうが。nosさんの指摘が、とてもクリティカルに作品の中枢を突いていてくれたので、思わずやってしまいました。ご笑覧いただけたらさいわいです。 @unspiritualized

2013-11-29 01:12:03
nos @unspiritualized

@kabayama3A ご丁寧にありがとうございました。ここまで語っていただくのは甘えすぎのようで、申し訳ないほどです。初期の大江の主観と客観が圧搾したような文体については、まさにあれでなければ『セヴンティーン』はない。テロリストとは何なのかという問題に直結する大事なご指摘です。

2013-11-29 08:10:07
nos @unspiritualized

@kabayama3A そして、<施設>、つまり<病>を作り出す構造について、大変納得がいきました。この視座で、<施設>と<ネットワーク>の関係は何なのか、「白蟻」とは何かー等々。二読、三読して味わいたいと思います。

2013-11-29 08:14:50
nos @unspiritualized

@kabayama3A 『セヴンティ』は、現在、現実に進行している事態について、小説の想像力でどうとらえるか、言葉においてとらえるかを、端的に示してみせた作品です。その意味でも大江健三郎『セヴンティーン』としっかり重なっていると言えるでしょう。

2013-11-29 08:17:42

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