茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1106回「呪文の、秘密」

脳科学者・茂木健一郎さんの12月1日の連続ツイート。 本日は、最近ちょっと思ったこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1106回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、最近ちょっと思ったこと。

2013-12-01 09:46:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

じひ(1)英米系のニュースはFlipboardで見ている。それで、今朝ぱらぱらと読んでいたら、googleが、USBに指す認証システムを開発したというニュースの中で、ユーザーはセキュリティと便利さだったら、便利さの方を選ぶものだ、というような文章があってにやりとした。

2013-12-01 09:48:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

じひ(2)コンピュータのパスワードがイヤだな、と思うのが、それが「呪文」としての性格を満たしていないからではないか、と前から思っている。数字とアルファベットの大文字小文字が混ざった任意の文字列というのは、人間にとって、「呪文」としてのクオリアというか風合いが足りない。

2013-12-01 09:49:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

じひ(3)扉が開いたり、海が分かれたりする呪文は、日常の中で頻出する言葉であってはいけない。そうなると、「誤動作」してしまう可能性があるからだ(「おはよう」が、空からタライが落ちてくる呪文だったりしたら、面倒くさいよね)。だから、日常語にない文字列であるというのが大前提。

2013-12-01 09:51:14
茂木健一郎 @kenichiromogi

じひ(4)一方、呪文は、喋った時に、いい感じで主体に伝わってくるものであって欲しい。ドラクエの呪文としては、ホイミやベホイミが人気があるように思うが(というか自分の好み?)これらの音は、口に出してみるといい感じ、というか、何か独特のクオリアがあって、「効く」ような気がする。

2013-12-01 09:53:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

じひ(5)『天空の城ラピュタ』では有名な滅びの呪文「バルス」がある。これ、日常語にはぎりぎりないが(パルスとかはあるけど)、口に出してみると、いかにも効きそうな気がする。だから、「バルス祭り」も生じる。あれが、「うっちょろぺんきーぱっぱっぱー」みたいな呪文だったら祭りにならない。

2013-12-01 09:54:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

じひ(6)以上のような視点から見ると、現状のインターネットやコンピュータのパスワードの任意文字列には、大いなる課題があるというか、もっと、それを記入した時に、魔法の呪文を使っているようなクオリアが立ち上がるものであって欲しい、と今朝、コーヒーを飲みながらなんとはなしに考えていた。

2013-12-01 09:55:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

じひ(7)ところで、人と人との関係でも、「心の扉」を開く、魔法の呪文があるような気がしている。時々、友人や出会った人に言われたことで、「わかっているじゃん」「ぎくつ」「そう来るか」というような言葉に出会うことがある。考えてみれば、人間、お互いに相手に呪文をかけているようなもの。

2013-12-01 09:57:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

じひ(8)好きな人と話している時、人は、相手の心を開く呪文を探っている。入社面接で、居並ぶ役員たちの心を動かす呪文は、すべての求職者が知りたいことであろう。あるいは、誰かを説得しようとする人が求めているものも、その人の認知システムの中に深く入り込む、ある文字列である。

2013-12-01 09:59:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

じひ(9)相手の心を動かす魔法の言葉は、パスワードと同じように、日常の中に転がっているものというよりは、その人が余り聞いたことがない言葉で、しかも、耳にするとそれなりの納得感というか説得される感覚がある、そんな言葉である気がする。このあたりに呪文を探るためのヒントがあるだろう。

2013-12-01 10:00:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1106回「呪文の、秘密」でした。

2013-12-01 10:00:46