悪い男に騙される山城【解】『HAruna's waRD』二章二日目後編
ローテーションで回している仮眠から目を覚ます。毛布を剥いで、部屋を出て館内を歩く事しばし。艦上に出ると、風景が全て白に染め上げられていた。 …霧? こんなに深いなんて。 手すりに捕まって見下ろしても、海面が見えないくらいに濃い。
2013-11-23 19:40:02艦上も全て見通せないくらいにひどい。わずかな話し声を頼りに仲間の姿を探す。 艦首の位置に日向と利根がいた。 2人は同時に私に気付くと、話をやめてこちらを向く。 …何があったの? 2人の性格を考えれば異常が起きてるのはすぐにわかった。 どちらも切羽詰まった顔をしている。
2013-11-23 19:43:57…何ですって? 最上さんが言ったのなら「嘘だ」と笑って返せる程に突拍子も無い事実だった。発したのが日向である以上、信じられない事だけど真実に違いない。 有り得ない。 艦娘としての知識や経験からしても、そんな戦況は聞いた事すら無い。
2013-11-23 19:46:56奴らは海上で動く物があればそれに襲いかかる程度の知能しか無い。一部の明らかに思考をしている固体もいるが、行動方針は同じだ。群れる獣と一緒でしかない。 だと言うのに、大多数で取り囲む? 食堂で話したのなら大法螺吹きだと笑われてしまう。
2013-11-23 19:50:50それは私も感じていた。最初にいた4隻は、私と日向を潜水艦の潜んでいる位置まで誘導しているように思えた。ただの偶然だとしか思っていなかったけども、やっぱり違ったんだ。 統率。 固体の能力で既に脅威である奴らが、戦略を組んだとしたら。 考えたくもない。脅威どころか恐怖を覚える。
2013-11-23 19:54:03海上を見る。索敵する術の持たない私の肉眼では、深い霧しか目に映らない。この向こうに奴らが並んで待ち構えている? さっきの戦闘で受けた傷が痛んだ気がした。 ん。 誰かに呼ばれた気がして目線を変える。右舷の向こう、霧の向こうで誰かが私を見ている。そして私を呼んだ。
2013-11-23 19:58:07私は気付かなかったが…まぁいい。 さて、どうするか…と聞くまでもないな。 この窮地を脱出する方法は1つしか無い。榛名もわかっているだろう?
2013-11-23 19:27:26…帰還方向へ攻撃を集中させて、一点突破。拓いた航路を全力で逃走。 18以上もの数の敵とまともに戦うのは有り得ない。攻撃は最初の突破だけに絞り、後は迎撃と防衛に努めなければ艦はおろか、私達も全滅だろう。
2013-11-23 20:06:21殿と書いてしんがり。列の最後尾を指す。すなわち、今回の作戦では一番危険な位置である。 ダメよ。馬鹿言わないで。日向には絶対にさせられない。 日向の腹部の怪我を思い出す。無理をして、を通り越して無謀でしかない。
2013-11-23 20:10:12@AAC_MOGAMI @ike_hyuuga @harunas_ward そうです、この霧です。私がやります。
2013-11-23 20:15:35悪ふざけでもなんでもなく、日向は至って真剣だった。 絶対に口にはしないだろうけども、彼女は後悔している。進軍を強硬した事を。素直に撤退しなかった事を。 日向に責任は無いわ。あの段階で貴女の発言は真っ当だった。こんな状況予想できるわけがない。責任があるというのなら結論を出した私。
2013-11-23 20:15:44@AAC_MOGAMI @harunas_ward 安心しろ、確認できている範囲では潜水艦はいない。むしろ戦艦がいるぞ。私以外に誰が対抗できる?
2013-11-23 20:23:40@ike_hyuuga @harunas_ward 見えてなきゃいくら撃ててもどうしようもありません!
2013-11-23 20:21:18@Yubari_Yasaka @harunas_ward 私をそこの高速戦艦と一緒にするな。水上偵察機もいるし、何より気配でわかるさ。 夕張、お前の重装備じゃ後から皆に追い着けん。死にたいのか?
2013-11-23 20:25:36私達が動けば間違いなく奴らは一斉に襲い掛かってくる。となると、退路の突破を迅速に行わなければ完全に袋叩き。圧殺だ。 客観的に見れば、先陣は私が切るべき。同時に、もう1人の戦艦である日向は殿が適当となる。 日向が無傷であったのなら、悩む事も無かった。 ダメよ日向。やらせない。
2013-11-23 20:21:56他に手は無い! 一番足の速いのは榛名、お前だ。お前が突破の先陣を行くのは確定だ。なら残った長距離砲は私しかいない。 役割の分担は論ずるまでも無い事だろう!
2013-11-23 19:33:11