「デイドリーム・オブ・ジ・インフェクション」その1・その2

ニンジャスレイヤーの二次創作。インフェクション視点でソウカイ・シンジケートの歴史を振り返る話です。続きはコメント欄。
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hatikaduki @hatikaduki

「デイドリーム・オブ・ジ・インフェクション」

2013-11-27 22:34:09
hatikaduki @hatikaduki

夕刻。ネオサイタマ・セントラルステーション。1

2013-11-27 22:34:59
hatikaduki @hatikaduki

到着した列車から、ミリタリーブルゾンを着た復員兵がどっと吐き出された。手荷物を抱え、表情は一様に暗い。2

2013-11-27 22:36:11
hatikaduki @hatikaduki

電子戦争が終結し、戦地から帰還することとなった彼らは、しかし目の前の死よりも先の見えぬ未来に怯えていた。復員列車が終点のセントラル駅についた今、彼らにはもはや行くあても目的地も残されてはいないのだ。3

2013-11-27 22:37:10
hatikaduki @hatikaduki

長きに渡った戦争に疲弊したネオサイタマ市民のなかに混じっても、彼らは異質な存在であった。彼らはひと月前までは殺し合いを行なっていた者たちで、フトコロに銃器を隠し持っているものも多い。4

2013-11-27 22:38:52
hatikaduki @hatikaduki

彼らの間に漂う不安の雲は、ふとしたきっかけで何か別の恐ろしいモノに変わるのではないか。彼らの帰還はそんな漠然とした恐れを、ネオサイタマ市民に、そして復員兵たち自身にも感じさせるのであった。…その時である。5

2013-11-27 22:39:58
hatikaduki @hatikaduki

「ハァーッ!ハァーッ!どけい!ハァーッ!」6

2013-11-27 22:40:44
hatikaduki @hatikaduki

セントラル駅の人ごみを縫ってひとりの男が走ってきた。その目は恐怖に見開かれ、仕立てのいいコートを羽織ったその体は…おお、ブッダ!薄紫色のニンジャ装束に包まれている!7

2013-11-27 22:41:46
hatikaduki @hatikaduki

彼の名はインフェクション。虚弱体質であった彼は無作為徴兵システムの登録を免れていたが、ある日高熱を発しそれを境に特異な力を身につけた。通常の人間を遥かに凌駕する身体能力と、キネシスによって人間の神経に働きかけ神経節沿いにおぞましい斑紋を浮かび上がらせて殺すビョウキ・ジツである。8

2013-11-27 22:42:59
hatikaduki @hatikaduki

自分は人間を超えた存在…ニンジャになったのだ。そう直感したインフェクションはいままで自分を役たたずと蔑んできた人間をすべて殺し、さらに恐怖のビョウキ・パフォーマンスによって数名のヤクザを手下にすると、ネオサイタマ裏社会に進出しようとした。その矢先だ。9

2013-11-27 22:44:59
hatikaduki @hatikaduki

ボディーガードに連れていたスモトリ・ヤクザ二人は既に殺された。非常に正確なスリケン投擲によるものだ。(スリケン…!まさかニンジャ?ニンジャナンデ…!?)自分以外にもニンジャがいたのか、なぜ自分がニンジャに襲われなければならないのか、考えてもわからない。10

2013-11-27 22:47:17
hatikaduki @hatikaduki

追っ手は素早く狡猾で、ニンジャの身体能力をもってしても執拗な追跡を引き離すことができない。人ごみに紛れてみたがやはり無駄であった。「…!イヤーッ!」飛来したスリケンを危うく回避!インフェクションは路地裏に逃げ込んだ。(土地鑑はある、ここでなら捲けるはず…)KABOOOOM!!11

2013-11-27 22:49:02
hatikaduki @hatikaduki

「グワーッ!!」ナムサン!起爆トラップだ!「ア、アバッ」(なぜ、いつの間にこんなものを…まさか最初からここに誘い込まれていたというのか?全力で逃げているつもりだったのに?)「ドーモ、インフェクション=サン」追跡者が姿を見せる。「バンディットです」12

2013-11-27 22:51:22
hatikaduki @hatikaduki

「ドーモ、バンディット=サン、インフェクションです。イ、イヤーッ!」ヤバレカバレでビョウキ・ジツを放つインフェクション!だがバンディットを捉えることができぬ!「イヤーッ!」「グワーッ!?」そして死角からの攻撃!バンディットではない!13

2013-11-27 22:54:11
hatikaduki @hatikaduki

インフェクションの受けた衝撃はあまりにも大きかった。打撃の重さだけではない、新手のニンジャの放つ強大なニンジャ存在感による物だ。現れたのはミラーめいたニンジャ装束をまとったニンジャ。バンディットと比較してもその身に宿す強者のオーラは格の違う物であった。(バカな…!バカな…!)14

2013-11-27 22:58:09
hatikaduki @hatikaduki

「いつもながら見事な手際だ、バンディット=サン。カラテ無きサンシタ相手とは言え」「ハッ」「戦争が終わり、ソウル憑依者は増加している。だがこのようなヨタモノの跳梁を許してはならん」頭上で会話する2者。ダメージは実際重篤であり彼の意識は薄れつつあった。(カラテ…カラテとは…)15

2013-11-27 23:01:11
hatikaduki @hatikaduki

その時、ミラーめいた装束のニンジャの携帯IRC端末が着信音を鳴らした。「お疲れ様です、ラオモト=サン」聞かぬ名だ。インフェクションの命運を握っているのはそのラオモトと言う人物なのであろうか。16

2013-11-27 23:04:59
hatikaduki @hatikaduki

インフェクションの意識は闇へと沈んでいく…「ハイ、予定通りに。…ハイ、ハイ。…ハーヴェスターとのアポイントメントは0101001001110000 17

2013-11-27 23:12:03
hatikaduki @hatikaduki

0000011000110101010ア、アバッ」インフェクションはうめいた。「意識が戻ったのかね?」白衣をはおった姿が二つ、そのうちの一人がインフェクションの目をのぞき込み答える。その周りには沢山のモニターと計器類。「い、いえ。そ、そ、その兆候はありません」 18

2013-11-27 23:15:42
hatikaduki @hatikaduki

インフェクションの体は麻酔された上で拘束台に固定され、目はうつろで焦点が合わない。その剃り上げられた頭部には生々しい手術痕、そして沢山のコードとつながった何らかの器具がかぶせられている。 19

2013-11-27 23:17:37
hatikaduki @hatikaduki

「これはもうダメかもしれないねェー」言って腕組みをする長身痩躯の男。彼こそが非合法組織ソウカイ・シンジケートの擁する狂気の科学者、リー先生だ! 20

2013-11-27 23:19:06
hatikaduki @hatikaduki

ここはリー先生の冒涜的な研究を行うための秘密ラボだったのだ!いったいいかなる恐ろしい手術がインフェクションの脳になされたというのであろうか!?「おや、誰か来たようだよ」新たな人物!その来訪はインフェクションの身に何をもたらすのだろうか!? 21

2013-11-27 23:20:54
hatikaduki @hatikaduki

「デイドリーム・オブ・ジ・インフェクション」その1終わり その2に続く

2013-11-27 23:22:48