従軍牧師は許されるのか?~石川明人著「戦場の宗教、軍人の信仰」について
- gryphonjapan
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石川明人『戦場の宗教、軍人の信仰』(八千代出版)は壮絶な本だった。軍人(含自衛隊員)と信仰の関わりを、キリスト教の観点から分析したもので、軍ヲタ、キリスト者、宗教者だけでなく、私のような反戦平和左翼、《ちゃちな想像力からひねり出した小奇麗な平和主義》を持つ者こそ読むべきであろう。
2013-10-28 22:32:56第1章はアメリカ軍の従軍チャプレン制度について述べる。従軍する宗教者の行いが、事実として人を殺す軍人の行動に何故慰めを与えうるのか。《軍から聖職者を追い出せば戦争がなくなるわけでもない。そのようなことをしても、孤独な兵士が残されるだけである》これもまた悲しい現実である。
2013-10-28 22:37:16米国の陸軍チャプレンは、Spirituality、Accountability、Compassion、Religiousleadership、Excellence、Diversityの6点を真義としている。この頭文字を取るとSACRED、「聖なる」となるという。
2013-10-28 22:39:58第2章は本邦自衛隊員のキリスト教連帯組織である「コルネリオ会」についてである。戦後の日本のキリスト教界は良くも悪くも「反戦平和」だったが、牧師たちの反戦への情熱が自衛隊への過剰な批判になり、傷つけていたことも描かれる。胸を痛めざるを得ない。
2013-10-28 22:44:45第3章は内村鑑三、第4章はクリスチャン特攻隊員林市造、第5章は『戦艦大和ノ最期』の著者である吉田満の、信仰と戦争観である。《お母さん、でも私の様なものが特攻隊員となれたことを喜んで下さいね。死んでも立派な戦士だし、キリスト教によれる私達ですからね》(林の手紙)
2013-10-28 22:47:35《人間は平和を祈りながら戦争をし、戦争をしながら平和を祈る。この矛盾に見えるものが、まさに現実の人間の姿であり、私たちが営む戦争の一側面なのである》今、宗教界にはこうした思想をクリティカルに踏まえ平和を考えることが突きつけられている。
2013-10-28 22:52:27一点指摘すると、帯に橋爪大三郎先生の推薦文があるのだが、まあ私は橋爪先生に恨みはないのだが(『はじめての構造主義』とかいい本だし)、ふしキリ以後キリスト教界隈では非常に評判が悪いので、この推薦文がかえってキリスト者を尻込みさせるのでは、と思わなくもない。ともあれ必読の書である。
2013-10-28 22:57:53「レ・ミゼラブル」で司教は、下位の司祭が死刑囚の告解役を断ったとき「そうだな、彼の仕事じゃない。自分の仕事だ」と言ってたっけ。 / @bowwowolf 《軍から聖職者を追い出せば戦争がなくなるわけでもない。そのようなことをしても、孤独な兵士が残されるだけである》
2013-12-06 08:25:14いまレ・ミゼラブルがゲッサンで漫画家されているので、先ほどかいた部分を紹介。「死刑囚のために祈るのこそ、司教(司祭よりえらい人)の仕事だ」と。 (この司教が、銀食器を盗んだジャンバルジャンを「あげたものだ」とかばって、彼を改心させる) http://t.co/lDPL8XUcY8
2013-12-06 08:42:04【メモ】読売新聞2013年12月1日の書評欄「本 よみうり堂」にて星野博美氏の同書書評が載っていた。ちょっと今見つからないのだが、1週遅れで掲載だったかも。
うーむ読売新聞の書評欄「本よみうり堂」は12月1日付で 石川明人「戦場の宗教、軍人の信仰」を紹介していたが、ネットに紹介されてないな。1週遅れだったっけ?
2013-12-06 08:10:43おまけ 書名の検索結果から
2013年10月の新刊『戦場の宗教、軍人の信仰』続々と書評掲載 「佛教タイムス」10月17日・24日合併号、「中外日報」10月26日発行分、「クリスチャン新聞」11月24日発行分、『月刊住職』12月号に掲載されました。
2013-11-29 15:15:41新聞書評。読売がいろいろ。石川明人『戦場の宗教、軍人の信仰』(http://t.co/Jcpn4YhVE7)の星野博美評は素直な内容紹介だが、「信仰を持ち、平和を願いながらも戦争や軍事に関わる人の姿に目を向ける」と面白さを伝えている。
2013-12-01 10:55:30"書評・パブリシティ情報12月2日 読売新聞 戦場の宗教、軍人の信仰 石川 明人:著 八千代出版 " http://t.co/2kvWUmS2aF
2013-12-02 18:43:52「戦場の宗教、軍人の信仰」読了。軍事よりは宗教学を勉強している人に読んでみて欲しい一冊でした。キリスト教における信仰について、事前知識が無いとちょっと読むのが大変かも。
2013-12-06 00:03:57