葉推詩選:2013-2014年、冬。

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葉月野 @hadukino_tc

暴力はため息の形をしていた 中てられた私も 思わずため息を吐いた どこまでも連鎖して 集まり 重なって 寒風になった 平和への願いは こうして止むことがないのだ #twpoem

2013-12-05 20:56:52
葉月野 @hadukino_tc

無我夢中が空しさに 空しさが痛みに 痛みが苦しみに 苦しみが悲しみに 最後は 何も感じなくなる 無から抜け出すのに 必要な燃料がどれほどか 見当もつかない 立ち上がれますか もういちど #twpoem

2013-12-06 18:28:28
葉月野 @hadukino_tc

信じてもいないことで 思ってもいないことで 生きてはいけないように がんじがらめにする 絆は 繋がるためじゃないのか 縛るためなどではなく ましてや 首を絞めるものでもなく #twpoem

2013-12-06 23:22:33
葉月野 @hadukino_tc

落ち着いたデザインのしっかりした大きなトートバッグを500円で手に入れてご満悦なきみは、さっそくコートと服と靴と靴下を買って詰め込んだ。食品コーナーで98円の清涼飲料水を飲みながら、幸せで膨らんだバッグを肩に下げたぼくも少しはおすそ分けをもらえたのか聞いてみようか #twpoem

2013-12-07 17:58:59
葉月野 @hadukino_tc

焦がれていた 青空の薄皮を突き破り 剥き出しにして 腹の中から噴き出した 黄昏の秘密を暴こうと だけど連日の雨は冷たく 近づくことを拒んだ 止むのを待つか 濡れようとも突き進むか 偽りの選択肢を 見抜く術は持っていなかった #twpoem

2013-12-08 00:28:26
葉月野 @hadukino_tc

誰かに打ち明けたい 君には言いたくない 傷つかないよう祈る 心を引き裂いている 明日が止まればいい 苦しまなければいい 君に見られたくない 矛盾する哀願を抱え 眠れない夜を迎える #twpoem

2013-12-09 00:02:45
葉月野 @hadukino_tc

大事に抱え込んでいる苦痛を 早く手放してしまいたいのに 怖いとも思う 怖い なぜ、ただ 恐れだけが広がる どうにもならない という 無闇に膨らんでゆく不安 愛おしいものが 苦しめているものなのか 本当の原因は 別の場所なのだろう 例えば この胸を抉った奥底あたりに #twpoem

2013-12-09 06:43:02
葉月野 @hadukino_tc

窓枠が舌打ちをした 無礼な風にイラついたのか 薄暗い部屋から 起き上がることもできない 無様な僕にムカついたのか 夜明けが近づく 単調な仕事へ追い立てる 世間の風が 今度は 窓を殴って威嚇した 生きるための闘争心が 我が身を削いで 塵になった体を巻き上げるのも 風 #twpoem

2013-12-09 22:22:30
葉月野 @hadukino_tc

冷たい雨が秋の名残を散らせた 軋んだ関係も流してほしい 不要なものに自らなる これが正解だと言い聞かせて どこに行っても 不満しか出てこないのに 完全な理想形を期待するしかできない 濡れて踏みしだかれた楓の葉が せいいっぱいに救いを求めて 拒絶された手のようだった #twpoem

2013-12-10 17:25:01
葉月野 @hadukino_tc

冬の雨で冷え切った 夕空に陽が差した 救われたと思った一瞬 何も とかしてくれてはいない 錯覚した自分の心以外という 悲しいことに気付いた日 #twpoem

2013-12-10 17:30:57
葉月野 @hadukino_tc

いまこの目に映る景色のうち 他人の悲しみをたいして認識できていないように 他人の笑顔の表層しか憶測できないように 自分の痛みを視野に受け入れている人はそういない ずれた期待など持たなければ そこまで苦しむこともない #twpoem

2013-12-10 19:31:38
葉月野 @hadukino_tc

真っ二つに裂かれた月なら 相反する苦悩に乱れる心奥を 解ってくれる 縋るように見上げた夜はただ冷たく 月光はただ冷ややかだった 答えなど出して欲しくはない そう気づいたのは 暖かな部屋に戻ってからだった #twpoem

2013-12-10 21:53:00
葉月野 @hadukino_tc

また明日が 来る その次も またその次も 吐きそうな夜を挟んで 繰り返す不安な日々 埋めても 塞いでも 空にしても 頭をもたげる みな同じなのか 誰も耐えているのか 今夜も #twpoem

2013-12-10 22:54:26
葉月野 @hadukino_tc

人生を見失って手がかりにするものはどこを探せばいいのか。見た目は何の変哲もない朝を心得たように歩いてゆく人たち。後をついてゆけば少なくとも彼らと同じ目的を私ももらえて、今日を生きる理由にできるのだろうか。 #twpoem

2013-12-11 08:30:16
葉月野 @hadukino_tc

アプリのメジャーで何を測ればいいか思いつかない。星の位置を確かめることもめっきり減った。夜風に問い掛ける機能もない。問いかけたとして無意味な言葉を繰り返すだけだろう。掌に収まるツールの使い道を決めるのも、生きざまを決めるのも自分。だけどいいナビアプリはないかな #twpoem

2013-12-11 17:55:48
葉月野 @hadukino_tc

痛みを抱えたままでも旅は続けなければならない。長い旅路で拵えてきた羅針盤は時折ずれた方向を指し示す。ただし間違いでも正解でもない。道半ばで倒れても終わり。どこかに到着しそこで終わりと思えば終わり。今はここで終わりにしたいと考えている。新たな旅に心動かされるまでは。 #twpoem

2013-12-11 18:09:48
葉月野 @hadukino_tc

ついこの前まで秋色コーデだったのがもう、クリスマス。忘年会対策に栄養ドリンク。風邪予防に抗菌マスク。目線の端々に飛び込んできて意識に刷り込まれる。車内広告で季節の移り変わりを知る生活。 #通勤詩ましょ #twpoem http://t.co/kE8KCBrfPw

2013-12-13 06:51:16
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葉月野 @hadukino_tc

眠りから覚めてまどろみから抜け出すまでの一分の間に考察を終えた人生は身体を起こした瞬間に無意識へと遷移する。「夢も見ずにぐっすり眠った」という実感だけが残っているとき意識のどこかに残っている虚無感の正体はこれである。 #twpoem

2013-12-15 21:28:50
葉月野 @hadukino_tc

今朝発生した人身事故の影響で銀座線は上下線ともに運転を見合わせています。続いて寒波の到来で本日は全国的に冷え込むでしょう。無機質なキャスターの声。無機質に進入してくる電車のランプ。吹き込んでくる寒風に身を揺らして耐える行列。困り、焦り、苛立ちが交わるホームを照らす。 ♭1

2013-12-18 21:30:02
葉月野 @hadukino_tc

何故か薄暗いホームの中ほど、改札階へと降りる階段の真横で止まった先頭車両。周りに集まる警官、救急隊員。急ぎ足に振替輸送先を探す人、利用客の質問に応対する駅員。天気予報と同列の価値しかない情報のように扱われる一つの死。不確定条件下におかれて最適解を探す沿線の人々。 ♭2

2013-12-18 21:30:34
葉月野 @hadukino_tc

年の瀬も押し迫り選択した答えは正解だったのか。なんだか今日は電車込んでたなあと就業前の世間話に紛れる。首が回らなくなったのかそれとも抗議かと他人の人生を勝手に想像する。仕事が始まれば忙しさに忘れてしまう。帰りの電車。足元を血が流れたことに思い至ることもなく。 ♭3

2013-12-18 21:30:53
葉月野 @hadukino_tc

生きろとも生きていればいいことがあるとも言えない。いつも逃げ出すことばかり考えている私は救いの手を待ちわびる。おぼろげにも覚えていない幸せの形を何かと比較しながら。苦しみを避けようともがいて不安を打ち消せないまま毎日を疲れて生きている。 ♭4

2013-12-18 21:52:44
葉月野 @hadukino_tc

朝を迎え入れる 夜眠りにつくまで 連続する縦軸と編みこまれてゆく横軸 時折ほつれ千切れつつ 広がり続ける足元を自分なりにせばめても 踏み出すのは始まりの一歩 調子はどうだい 明日を忘れて今日を生きる力をかき集める 変わらない日常を重ねるように (明日世界が終わっても) #pw冬組

2013-12-22 09:14:31