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【その1】発酵万歳!y_tambeさんによる発酵食品のひみつ「酵母・乳酸菌」編

発酵食品、身の回りに本当にいっぱいあるね! そして美味しいね! y_tambeさんが、発酵食品の歴史やその発酵の仕組みについて話してくれました。 シリーズその1「酵母」「乳酸菌」編です。 続きを読む
科学 酵母 酵素 食文化史 発酵
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Y Tambe @y_tambe
発酵とは何か、と考えることは、発酵食品の歴史を学ぶことでもあるか。

まずはパンからはじまった。酵母発酵のお話。

Y Tambe @y_tambe
例えばパン。パンの歴史はおそろしく古くまで遡り、当初は、大麦や小麦を発酵させずに作った「無発酵パン」だったが、古代エジプトで「発酵パン」が作られる。麦を粉にして水で練って焼いて「無発酵パン」を作ってたとき、焼く前のを半日ほどほったらかしてたら、それが「腐って」酸っぱくなった(続
Y Tambe @y_tambe
承前)で、最初はその、酸っぱくなって泡がでてきた「麦粥」は腐ったものとして捨ててたらしいが、あるとき焼いてみたら、酸っぱさはあるんだけど無発酵パンよりふんわり柔らかく(酵母が作る炭酸ガスで生地が膨んだせい)食べやすい…というわけで古代エジプトでは発酵パンが主流に(続
Y Tambe @y_tambe
承前)で、聖書の「出エジプト」のエピソード。当時、エジプトでは半日発酵させてからパンを作るのが当たり前だったけど、ユダヤの民がエジプトを出るときは、ばたばたしてそんな悠長なことやってる暇がなく、無発酵パンを食べた。(続
Y Tambe @y_tambe
承前)それでユダヤ教では、今も「過越」の時期(3月末-4月初めの1週間)にはイースト入りのものは食べない。代わりにマッツァーという、無発酵パンを食べるとか。またキリスト教の教会で、聖体拝領の儀式に使う「聖餅」も無発酵パン。
Y Tambe @y_tambe
発酵パンの歴史を見ると、実は最初は「腐敗した」ものとして、捨てられた中から拾われてきたものだ、というのが面白いかも。「酸っぱくなった」というのは、例えば今もカンパーニュとかのライ麦パンとか、大麦パンとかによく見られる、サワードウというパン種を使ったものと共通性が(続
Y Tambe @y_tambe
承前)こうしたサワードウのようなパン種は、酵母だけでなくて乳酸菌も一緒に入ってて、混合発酵するものになってる。また、おそらく最初は「麦粥」をただ放置するだけだったのが、安定化&効率化のため「パン種」を加える方式になったのだろう。

「飲むパン」ビールからアルコール発酵の話へ

Y Tambe @y_tambe
んで、パンから派生して生まれたと言われてるのがビール。原料はどっちも麦だし、ドイツなんかでは「飲むパン」とも言ったりするとか。
Y Tambe @y_tambe
今は、麦と麦芽とホップあたりから直接ビールを作るけど、これはドイツとかあの辺で始まったものだそうで、それより古く、エジプトなどでは、いちどパンを作ってから、そこからビールにしたとか。
Y Tambe @y_tambe
ビールの場合、パンと違って「アルコール発酵させた飲み物」にするのだけど、そのために大事なのが「麦芽(モルト)」の働き。麦芽に含まれてる酵素の働きでデンプンを分解し、予め麦芽糖(マルトース)などまで小さくしてやる。そうすることで酵母が利用しやすく発酵が進みやすくなって、酒になる。
Y Tambe @y_tambe
ちなみに、麦芽でデンプン処理した段階で止めて出来るのが「水飴」ね。あれも酵素の働きによるもので、植物(=麦芽)の酵素を利用したもの。茶葉の発酵とかになぞらえるんなら、捉え方によっちゃ「デンプンを麦芽で『発酵』させた」と言えない事もない(…さすがにちょっと無理あるか)。
Y Tambe @y_tambe
まぁともかく、デンプン質の「麦」を、いったん「麦芽」で甘〜い水飴に変えて、その後で「酵母」で発酵させると「ビール」になる。大体のお酒はこれと似た図式で考えることができる。例えばワインやラム酒は、あらかじめ糖の多いブドウやサトウキビからスタートして、アルコール発酵させる(続
Y Tambe @y_tambe
承前)そして、ビールでは「麦→麦芽処理」して行ってた「デンプンの糖化」の部分を、「米→コウジカビによる発酵」で行わせてるのが日本酒。簡略化して「麦→水飴→ビール」というなら、「米→甘酒→酒」という感じ。
Y Tambe @y_tambe
ちなみに、もやしもんなんかで「酒の原型」として取り上げられる「口噛み酒」は、最初の「デンプン→糖」の部分を、ヒトの唾液中の酵素(アミラーゼ)でやっちゃう、というものね。「お米を噛んでると甘くなる」というあれ。
Y Tambe @y_tambe
最初の「デンプン→糖」を行うのは、麦芽、コウジカビ、唾液、とさまざまだけど、要はこれ、みんな「デンプンという貯蔵型の炭水化物から、直接、栄養源に出来る小さな糖を作る」ために、酵素反応を行う、生物のしくみを応用してる。カビや唾液は消化吸収のため。麦芽は発芽生長時の栄養に変えるため。
Y Tambe @y_tambe
で、そうしてできた「糖」を栄養源として増殖し、最後にアルコールを「排泄」する酵母を使って発酵させるのが酒類での発酵。「排泄」って言葉悪いかもしれないけど、もやしもんでも、まさに「酵母の排泄物」みたいな描き方してたりする w
Y Tambe @y_tambe
酵母が「アルコールを排泄する」とするならば、もう一つ別の重要な発酵微生物がある。それが「乳酸を排泄する」乳酸菌のグループ。酵母はS. cerevisiaeという一種類の真菌(カビの仲間)に対して、乳酸菌は「発酵の最後に乳酸を作る細菌(バクテリア)」の総称で、種類は非常にたくさん。

「乳酸を排泄する」 乳酸発酵とは。

Y Tambe @y_tambe
乳酸発酵は、非常に多くの食品に関与してる。ヨーグルト、漬け物、キムチ、鮒寿司 etc etc。最初に挙げたパンのサワードウなんかもそうだ。
Y Tambe @y_tambe
ただ、これが日本酒になると、乳酸菌の混入は「腐造」といって、恐ろしい大敵になる。日本酒は、酵母によって糖からアルコールを作るから酒になるけど、そこに乳酸菌が入ると、糖から乳酸ばっかり作られることになり、酒じゃなくて「酢みたいなもん」になっちゃう。
Y Tambe @y_tambe
この日本酒の「腐造」の例なんかは、「発酵と腐敗の違いは何か」を考える上では、いいテーマかも。ヨーグルトとかならば「発酵の主役」である乳酸発酵が、日本酒では一種の「腐敗」になる。つまりはその時々のヒトの目的に合ってるかどうかが、分かれ目に。
Y Tambe @y_tambe
あと「酢みたいなもん」になると言ったけど、食酢を作るのも発酵で出来る(=醸造酢)。この場合は、乳酸でなく酢酸を「排泄物」にする酢酸菌のグループ使えばいい…けど、アルコールから酢酸作るのは、微生物使わなくても割と容易。僕らヒトの体内でも酒飲んだ後はそうなるし、工業的にも容易。

いったんまとめ。

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コメント

ぶたやま @Butayama3 2013年12月7日
まとめを更新しました。
kartis56 @kartis56 2013年12月7日
柿酢なんてちょうど今の時期に作るらしいので試してみるのもいいかも。
きょん @Rosa_centifolia 2013年12月8日
ううむ、深い。まとめありがとうございます。
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