読書感想:中村尚樹 『最重度の障害児たちが語りはじめるとき』
関連したまとめ
読書感想
メモ: 最重度の障害児たちが語りはじめるとき | 書籍案内 | 草思社 http://t.co/orRC8VMKoj / 図書館で予約できたので今度読んでみる。
2013-12-07 19:05:14借りてきた。きっちりとではないけど一通り目を通した。資料としてはなかなか面白いと思う。大まかには「これらの障害者の言葉は本物である。しかし常識や偏狭な人々に阻まれ否定・批判されることがしばしばだ」というストーリーで語られている。
2013-12-08 17:43:41『奇跡の詩人』論争にも触れているし、FC(ファシリテイティッド・コミュニケーション)問題と、それに対して行われた検証結果も紹介しているし、その他の類似事例にも取材している。柴田保之教授の“通訳”に関する詳しい検証などは出てこない。
2013-12-08 18:01:14気になった個所 その1
「お子さんと話して、お母さんは途中まで信じていたのに、『妹の名前を書かせてください』と言われて、違う名前を書いた瞬間、『やっぱりこれはうそですね』って。(中略)悲しかったですね」(130ページより、柴田保之氏の語った言葉)
2013-12-08 18:07:32このケースではふたつの可能性がある。(中略)通訳する側に問題がある場合だ。もうひとつは、通訳は正しくても、本人が間違えている場合だ。(中略)当事者は重い障害の影響で、思いこみや(中略)質問の取り違えなどをしている可能性が大いにあるということだ。(同じく130ページから)
2013-12-08 18:13:06気になった個所 その2
中村尚樹「最重度の~」P188で『奇跡の詩人』について、過去の一事例に過ぎないので関係者らに取材はしなかった、というようなことが書いてあるのだがどういう意味なんだろう。次のページから過去の事例紹介を始めてるし、そこでは関係者に取材しているようだけど……。
2013-12-08 21:58:53想像で補って強引に解釈してみるなら、著者は『奇跡の詩人』はどう見ても嘘だと考えており、結論が出ているものを取材するより他の事例を紹介しようという意図で書いたのかも。ただ直前の文章が、乱暴に否定するのはいかがなものか、というニュアンスに読めるので、どうも据わりが悪い。
2013-12-08 22:11:27中村尚樹「最重度の~」P188から引用:ここで、この問題に対する私の立場を述べておきたい。(中略)取材が本業であるジャーナリストとしては、「その質問には答えようがない」と言うしかない。
2013-12-08 22:16:28中村尚樹『最重度の~』P187~188から引用:これらの争点は、それぞれ別の問題であるはずなのに、(中略)批判する立場の人は、ドーマン法はもちろん、FC、そして少年や家族を、怪しげで胡散臭いと感じ取ったのだろう。彼らはそれらすべてを「否定」したのであり(後略)
2013-12-08 22:20:36ここらを改めて読み返してみるに、あの事例はたぶん嘘だったんじゃないかと思うけど、だからと言ってドーマン法やFCまで全部嘘だとは限らないよね、一まとめにして否定するのはダメだよ、いや、嘘だとは言わないけど、あくまで中立だけど、という意味なのかなぁ、もしかして。
2013-12-08 22:25:24ああでもこれだと、『奇跡の詩人』は怪しいです、FCの検証も否定的な結果が出ました、でもFCすべてが無意味ではないし柴田保之先生の“通訳”などは見たところ本当のようなので本物です、ということになるのか・・・。なんだか『奇跡の詩人』問題だけ取材もされず邪険に扱われてるような。
2013-12-08 22:52:55端的に言うならば
立派な経歴の人が実際に詳しく取材した上で本を出しているのだから、何か根拠や深い考えがあってのことかもしれない、と思って読んだのだけれど、単純に「信じている人が書いた本」という印象だったなぁ。
2013-12-08 23:49:12読書感想文
ブログ記事として短めの文章を書いてみました。
ブログを更新しました。 『最重度の障害児たちが語りはじめるとき(中村尚樹/草思社) 読書感想』 http://t.co/pfc2RjANce
2013-12-09 09:38:24全体的に気になったところ
最重度の障害児たちが語りはじめるとき | 書籍案内 | 草思社 http://t.co/orRC8VMKoj / この本に関する納得の行かない点を、もう少しつぶやいてみる。
2013-12-09 20:29:551.すべての事象を持論にとって都合のいいように解釈している。たとえば ”通訳” に誤りがあると受け取れる例があっても、それは対象者の障害がミスを誘発したのかもしれないと擁護する。その一方で、内容が事実か確かめようのない ”通訳” 内容については少しも疑問を差し挟まない。
2013-12-09 20:54:162.批判および否定的意見は、すべて無理解や思い込みから来るものと決めつけている。たとえば、”通訳” が事実だとすると主流の学者や教育者が立場を失う、だから非難に遭うのだと示唆している。その一方で、否定派の学者に詳しく意見を聞くといったことは行わない。
2013-12-09 21:10:37