2013年12月13日

ヒトラー『我が闘争』出版中止/最近の「過ぎ去らぬ過去への取り組み」の傾向

まとめました
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ヒトラーの主張は重大な誤りだと示す形での「ヒトラー『我が闘争』出版計画」中止

リンク www.47news.jp ヒトラーの「わが闘争」出版中止 独南部州、生存者に配慮 - 47NEWS(よんななニュース) 【ベルリン共同】ドイツ南部バイエルン州は12日までに、ヒトラーの著書「わが闘争」を、思想を批判する解説付きで出版する計画の中止を決めた。著作権が2015年末で切れ、
F_Tvr(脱原発/自由言論は基本権!) @F_Tvr

完璧に戦後を総括したドイツと、わが国とは決定的な差がついていることを改めて確認しました。RT @minadukiG 【ヒトラーの「わが闘争」出版中止 独南部州、生存者に配慮】 http://t.co/3tzTp9BtVy

2013-12-13 01:31:48
水無月 @minadukiG

@F_Tvr おはようございます。私も、彼我の差を実感しました。

2013-12-13 07:20:07
もうれつ先生 @discusao

@minadukiG @F_Tvr <思想を批判する解説付きで出版する計画の中止を決めた>←統一後の「禊は終わった、やっと愛国を培う時期に来た」的動きからの「寝た子を起こすな」運動とも読めました。 http://t.co/FMmspfgJKy

2013-12-13 08:03:11
水無月 @minadukiG

@discusao 記事中の「ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の生存者らが計画に懸念を表明、これに配慮した」の解釈が難しいですね。額面通りなのか、それは口実で裏があると見るのか…。 @F_Tvr

2013-12-13 08:08:12
もうれつ先生 @discusao

@minadukiG @F_Tvr そうですね。被害者の代弁の身振りで検証本の出版を阻止しているとも充分考えられますし。

2013-12-13 08:18:30
水無月 @minadukiG

@discusao 「検証本の阻止」という点からだけ見ると、私の知ってるドイツ的理性からの反応とは少し違う気もしたのですが、そもそも私自身が知っていると言えるほどドイツを知っているわけではないことに気づき、ペンディング中なのです…。 @F_Tvr

2013-12-13 08:22:28

ドイツにおける「過ぎ去らぬ過去への取り組み」検証本紹介

もうれつ先生 @discusao

佐藤健生&ノルベルト・フライ編集『過ぎ去らぬ過去との取り組み――日本とドイツ』収録「ドイツから見た日本の取り組み」(ハンス・マーティン・クレーマ)の概要を連ツイ http://t.co/77vz6lfD67

2013-12-13 19:25:15
もうれつ先生 @discusao

クレーマの現状認識①:90年代より、ドイツが「過去との取り組み」を自己評価する際、日本の取り組みに比べ優れているといった独日比較の論調が目立つようになった。

2013-12-13 19:26:21
もうれつ先生 @discusao

クレーマの現状認識②:それ以前にはなかった傾向である。独日比較は客観的説明と本質主義的推測の二段構えで、地理的・歴史的違いを検討するのが前者、思想的差異を考察するのが後者である。

2013-12-13 19:27:19

70~80年代のドイツにおける日本のニュースに「自国との対比による過去との取り組み」という文脈は出てこない。82年の歴史教科書検定事件などはドイツでも大きく報道されたが、「それに比べ我が国の取り組みは…」といった論調ではない。

もうれつ先生 @discusao

クレーマの現状認識③:客観的な説明においては新たな論考が生まれる毎にデータが蓄積され実りある成果となっているが、本質主義的推測――思想の違いについてはプロテスタント的ドイツ対神道的日本といった安直な構図から一歩も抜け出せずステロタイプ化している。

2013-12-13 19:28:06
もうれつ先生 @discusao

@discusao クレーマの解釈①:ドイツでの「過去との取り組み」自己評価に於ける独日比較の流行は、ドイツ統一が大きく流行している。戦後50年別格であったドイツが、もう一度「普通」の国、愛国を培う国、世界を目指す国になっていいはずだ、という思考の転換となった。

2013-12-13 19:29:06
もうれつ先生 @discusao

クレーマの解釈②:つまり、「我が国の過去への取り組みは習慣的に行き過ぎている。まだまだ足りないという一部の反論はあろうが、だったら日本を見てみろ」ということで、歴史的相対化を目指しているわけである。近頃の「過去への取り組み」は相対化とそれへの反論の繰り返しといった側面も持つ。

2013-12-13 19:29:54

90年代に「独日比較」が発生したのは、オランダ人ジャーナリスト、イアン・ブルマの『戦争の記憶――日本人とドイツ人』がドイツ国内で話題を呼んだことが契機となっているという。同書は、95年の村山総理謝罪の時のゴタゴタや00年の女性国際戦犯法廷、01年の小泉総理靖国参拝や02年日韓ワールドカップなどの折にも引き合いにだされた。
「過去の取り組みが習慣的に行き過ぎている」は、かつての左翼作家マルティン・ヴァルザーの発言。こういった「転向」やドイツ軍の海外派遣が「自虐史観の見直し」的な思潮を大きく後押しし、「日本劣位――ドイツ優位」という論調を形成したという。

以下二つの論考は比較的新しい<客観的説明>の成果

04年キッテルの論考:アメリカの保護を受けた日本は、東ドイツとの競争に立つ連邦共和国と異なり、過去の清算を促す外圧があまり大きくなかった。また、戦後政治家を比べても、ナチス下の圧迫や暴力を経験したものが多かったドイツに対し、日本の保守政治家・社会主義政治家は、そういった人材が少なかった。そして、日本の左翼にとっては「過去の克服」よりも反アメリカの運動のほうが重要であった。
ヘットリング&シェルツの論考:ドイツの戦争犯罪の特異性。その抑圧・絶滅機構という点で前例のない犯罪性。日本のそれは、大部分は第一次世界大戦などの過去と地続きの「戦闘行為」に含まれる。

もうれつ先生 @discusao

続いて、『ドイツ戦争責任論争―ドイツ「再」統一とナチズムの「過去」』ヴォルフガング・ヴィッパーマン http://t.co/3ySgIB2FLv

2013-12-13 19:31:00
もうれつ先生 @discusao

@discusao 1996年にダニエル・ゴールドハーゲン著『ヒトラーの意に喜んで従った死刑執行人たち』がドイツ国内で巻き起こした論争を、その10年前の「歴史家論争」と比較して論じた書。

2013-12-13 19:31:30
もうれつ先生 @discusao

@discusao この本もゴールドハーゲンの客観的説明を大いに評価する一方、<「ドイツ人」が19世紀以来、あるいはそれ以前から抱いてきた「抹殺的な反ユダヤ主義」>という思想的根拠が実証的でなく推測に終わってることを指摘している。

2013-12-13 19:31:58

ヴィッパーマンはゴールドハーゲン論争(「普通のドイツ人」たちの犯罪性を暴くゴールドハーゲンとそれへの強い批判)の議論を五つに分類。その根源には、取り組みをより深化させようとるする精神と、それに対抗して様々な事象を援用して相対化を図る勢力のせめぎ合いがあると見る。
1.「全体主義的な独裁制か?」~全体主義論を梃子に第三帝国を旧東ドイツと比較し、ナチズムの犯罪を相対化・矮小化しようとするもの(アウシュヴィッツと南京事件、ヒトラーと昭和天皇との比較で、日本はマシであるとか、大義があっただとかいうのと同義)
2.「悲劇的な中間位置か?」~ドイツの地理的条件からくる免責は可能か。この場合地理的条件は免責に止まらず、再統一後「強国」となったドイツのナショナリズムに訴えかける(「八紘一宇」の植民地支配を、極東に位置する日本の地理的条件に求めるのと同義)
3.「強いられた戦争か?」日本における戦争責任論争に通じる。「ヒトラーはスターリンの絶滅戦争に対して機先を制しただけである」という主張が、アマチュア歴史家の間だけでなく、軍事史研究家のJ・ホフマンによって提唱され、ノルテやW・マーザーによって支持されていった。さらには、ルーズベルトこそが、ヨーロッパを戦争に駆り立てたのだ、と主張する者も。
4.「ヒトラーはアウトバーンをつくった。だから第三帝国にも良い面はあったのだ」という床屋政談(『韓国は日本がつくった』みたいな論)
5.ゴールドハーゲン論争の意味:1~4は反ゴールドハーゲンの論者たちのステロタイプ化した批判の分類(つまりゴールドハーゲンによる再反論の整理)であったが、5番目はゴールドハーゲンへの批判。彼の主張はおおむね支持されるべきであるが、その本質主義的推測「抹殺的な反ユダヤ主義」には説得力が弱いという趣旨。

参考文献:

「加害者の動機づけ――ブラウニング・ゴールドハーゲン論争に関する一考察」ニック・ザングウィル

http://www.l.u-tokyo.ac.jp/philosophy/pdf/eth03/Perpetrator_Motivation.pdf

「過ぎ去ろうとしない過去――書かれはしたが、行われなかった講演」エルンスト・ノルテ(1986年の「歴史家論争」の火種となったレポートの抜粋)

http://www.hum.nagoya-cu.ac.jp/~bessho/Vorlesungen/VorMaterial/Nolte1985Vergangenheit.pdf

後日追加分(「保守的なミュンヘン」「キリスト教社会同盟(CSU)」という文脈)

もうれつ先生 @discusao

ヒトラー『我が闘争』、著作権満了に伴いバイエルン州にて「批判的解説付き」で出版予定であったが計画中止となった件の続き。日本ニュースは↓ http://t.co/FMmspfgJKy

2013-12-24 19:54:35
もうれつ先生 @discusao

「科学的注釈付き『我が闘争』」を企画したのはミュンヘン現代史研究所(ICH)で、計画中止と出版された場合の訴訟を明言したのはミュンヘン州首相のホルスト・ゼーホファー及び労働大臣のクリスチーネ・Haderthauer(読めんよ)らしい。ともに保守政党キリスト教社会同盟(CSU)

2013-12-24 20:14:45
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