似非原路上日記。
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色々あって新宿中央公園でフラフラしてるんだけど、数日前の早朝くらいに、衣服が少々汚れたとある女性に話しかけられ「どうしたのかな」と思って聞いていたら、男性にからかわれていた、ということを拙い言葉で説明された。言葉足らずなので頭の中でかなり補完したが、たぶんそういうことだろうと。
2010-10-16 07:59:31人に話して気持ちが軽くなるなら、それは悪いことじゃないなと思ったので暫く聞いてはいたんだけど、自身の不眠症の気もあって、身体がぐったりと睡眠を求め始めたので、ベンチに横になり始めた。ときどき身体を揺さぶられたりしたけれども、「ごめん、正直もう持たないや」と言い続ける。
2010-10-16 08:03:51そういうことがあってから数日後に、他のお兄さんから話しかけられる。「おい、兄ちゃん」「はぁ、なんでしょう」「あのさ、ちょっと小太りの女の子と仲良さげに話していたじゃない?」「あー、いましたねえ」「あの子さ、お前さんと一緒に来たって言っているんだけど、本当に知り合いなの?」「は?」
2010-10-16 08:05:50その女性は、公園に住む絵描き先生のところで「泊まらせてください」と言ってからそのまま居ついているらしい。何故かわからないが周りの人に「俺と一緒にやってきた」ということを言っている。お兄さんも「なんだー、無関係なのかー、ちょっと頭が弱いみたいだからなー。話できて良かったよー」と。
2010-10-16 08:11:12「お兄さん、とばっちりだよなー」「とばっちりは慣れているので別にいいんですけど、どうかしたんです?」「あのな、あの子の太り方が脂肪で太った感じと違うんだよ。まあボランティアに聞いてみるつもりだけど、アレはきっと妊娠だな」「あっ……それで」「今、お腹を冷やさないようにさせてるけど」
2010-10-16 08:14:00「良かった、誤解が解けて。あそこいったいのおっちゃん、お前さんが連れてきたと思ってるよ。本当にお前さんが連れてきたんだったら、お前さんにあとのことを頼もうと思ったが、それは仕方ねえな」と笑った。「まあ若いんだし働けよー」という別れ言葉で挨拶。少しぼんやりしていると涙が出てくる。
2010-10-16 08:18:11まあ、たぶんおっちゃんのほうが公園暦は長いので、炊き出しのボランティアの方などに繋いでもらうつもりなんだろうなとは思う。流れてきて数日でそういうディープな話にありえない形で巻き込まれるとは、俺は仏陀じゃねえよと思いながら、寝転がったりしたのだった。
2010-10-16 08:25:51路上生活の話でも。自分は公園に野宿し始めたときは、ベンチを利用して寝転がるということをしていたんだけど、朝(7:00頃)になると公園管理者が起こしにくる。それに従って中央の芝生の所に移動。そこで寝転がって日没になるまで過ごす。日没になるとベンチ周辺に移動して眠る。
2010-10-17 12:22:48昨日は、芝生のところで日没までウダウダしていたところ、一人のお兄さんに声をかけられる。「お兄ちゃん、こんなところにいるとヤバいよ。とにかくヤバいよ。一緒に移動しよう。ほら、周りに誰もいないでしょ?」と言われる。自分の知らないところで皆寝ているんだなと思って一緒に移動する。
2010-10-17 12:24:56「みんなで集まって寝ないとマズいんだよ。つい最近もさ、ダンボールを燃やすやつとかいたんだよ。石投げるやつもいるしさ。警察だって、ホームレスの話なんて話半分にしか聞いてくれねえ。俺たち弱いんだよ。弱いけど、みんなで集まってりゃ、簡単に手をだせねえだろ」という話を聞きながら移動。
2010-10-17 12:27:16ホームレスが固まって寝ている一群の場所に来る。仲良く話している人もいれば、酒でべろんべろんになっている人も居る。酔っ払ったおにいちゃんに話しかけられる。「お兄ちゃん、あんたいい男だねえ」と呂律の回らない感じで話しかけられる。「いやあ、お兄さんこそいい男ですよ」と返事。
2010-10-17 12:29:36路上生活において朝/昼/夜の滞在場所はだいたい違う。その理由は、簡単なもので、路上生活者が滞在出来る理由は「管理者/利用者/野宿者」で容易に変わるからだ。例えば、新宿駅西口が寝床になるが、それは「利用者」がおらず「野宿者」がいるからだ。「利用者」がいれば「管理者」に追い出される。
2010-10-17 12:36:35新宿公園において、芝生の上で多くの人がそのまま滞在しないのは、たぶん「利用者」がいるからで、その「利用者」というのが、場合によっては自分たちを傷つける奴だからだということを知っている。出来るだけ目立たないような場所に移動する。自分達がたいした存在じゃないことは本人達が知っている。
2010-10-17 12:39:18それは、俺に話しかけてくれた路上生活者の「こんなところにいるもんじゃねーよ、若いし五体満足なんだからちゃんと働くんだよ」という言葉に集約されている。それはともかく、路上生活者は路上生活者なりのネットワークと、切実さ、あるいは優しさによって、仲間達をなんとか救おうとする。
2010-10-17 12:42:49例えば、俺と同じころに、公園に流れ着いたおばあちゃんがいて、荷物と一緒に心底辛そうな顔をしてベンチに腰掛けていて心配したけれど、昨夜見たら、とあるホームレスのテントの簡易ベットで寝袋をかけて寝ていた。それを見たとき、「ああ、こういう風に生きあおうとするんだ」と思ったものだ。
2010-10-17 12:45:18あと、まだよくわかっていないのは、荷物はどうするんだろうということ。今はちょっとした場所に隠してるが、「公共の場所」である以上「私有すること」は剥奪され続ける。簡単に言えば、盗まれようが処分されようが文句は言えないなとは思ってる(それを実行するのが管理者、利用者、野宿者であれ)。
2010-10-17 12:53:28あと、例の「俺と一緒に来たことになっている女の子」は、朝方に誰かからもらったジャケットを羽織って猫を探していた。「ここらで猫を見かけませんでした?」「いやー、見なかったなあ」「なんか、石を投げたらいなくなっちゃったんですよ」と言っていた。まあ……石を投げたら、普通は逃げるよね。
2010-10-17 13:18:12自分の現状に関してご心配頂く事が多く、それにはただ感謝するだけしかないのですが、一方で実感レベルでは、引き払った部屋で金も出せず引きこもっていたときよりはだいぶ体調が良く感じたりするという自嘲的な状態もある……。
2010-10-18 18:55:15夜中に寝るときは固いタイルの上にゴワゴワの段ボールで、秋風に吹かれながら震えるけど、定期的に行われる炊き出しや、仲良く出来た野宿者の方に多く得すぎた食料を分けてもらったり、昼間に日光に当たったり、管理者から逃げるために歩いたりすると、ずっと部屋にいたときより、調子は良くなる。
2010-10-18 18:59:05自分が部屋にいたときは、四日か五日くらいずっと水ばっかり飲んでいたときがあり、下手に動くと体力が減るからって寝ていたんだけど、久しぶりに無理矢理オナニーしたときに凄く手が震えてしまって、「うわ、これ不味い状態なんじゃねえの?」って千鳥足になりながらコンビニへ向かったときがあって。
2010-10-18 19:02:44何が言いたいかというと「路上生活」というのは「わかりやすい悲惨状態」であるが故に、支援しやすく、また応援しやすいという側面がある一方で、孤独死というのは「まだ寝る場所がある」という安心感によってむしろより”死”にスポッと入り込んでしまう状態になることがあるかもね、と思ったりした。
2010-10-18 19:05:59自分の身を心配してい気分を害された方は申し訳ございません。確かに、「何もかも失って放りだされること」も悲惨ですが「中途半端なまま、生存的/社会的基盤を失ってしまう」ことも、その悲惨さが可視化されないままほっとかれて野たれ死ぬ故に厳しいということは考えてもいいのかなと思いました。
2010-10-18 19:15:32そういえば、例の「『俺と一緒に来た』と勝手に名乗っていた女の子」なんですけど、何時の間にか、荷物を置いたまま何処かに行ってしまっていた。結局、俺と野宿者との関係を取り持っただけで消えてしまうというのも、なんか余りにも物語的過ぎて正直頭を抱えたりした。
2010-10-18 19:20:51