マスター・オブ・カブキ・イントリーグ #4

(これまでのあらすじ:キョート共和国。かつてザイバツに叛旗を翻し崩壊の引き金を引いた双子アンバサダーとディプロマットは、ザイバツ崩壊後、ガイオン郊外の湖上の庵に従者らと暮らし、傷を癒していた。彼らはデイトレードを生業として、奥ゆかしく人間社会に寄り添い暮らす夢を描いていたのだ!)
2013-12-15 22:10:03
(彼らに迫る謎の特務機関!ニンジャを電脳手術によって調教し兵器化する冒涜的な「オペレイション・マジックモンキー」の真実とは!?湖の上に立つ庵は人間の特務部隊による襲撃を受け半壊!マジックモンキーの1体であるニンジャ「アダマンタイン」が特務部隊と連携し双子を追いつめる!ナムサン!)
2013-12-15 22:18:39
「「イヤーッ!」」双子は庵の上で跳躍し、互いの足の裏を蹴って左右に跳び分かれた。兄であるディプロマットは東!弟のアンバサダーは西へ!しばしの別れ! 1
2013-12-15 22:27:28
湖畔の森に潜む狙撃部隊を先に始末する。「「イヤーッ!」」双子は湖面にわずかに顔を出した岩から岩へと跳び渡り、巧みに東西の湖岸へと向かう。そのシルエットはあたかも、湖面を蹴っているかのように幻想的だ。 2
2013-12-15 22:33:33
「ウオーッ!」後方からはアダマンタインの怒号が聞こえる。『思った通り奴は鈍い』『仮に追ってきたとしても、特務部隊はニンジャの速度について来れない』『連携は乱れ……』『敵は標的を絞れない』双子はテレパシーを維持している。もはや相手の姿は見えないが、すぐ傍で共に戦っている気分だ。 3
2013-12-15 22:37:16
「イヤーッ!」ディプロマットは東の湖畔へと回転着地!間髪入れず、バイオ松林を北東方向へ向かって駆ける!『兄さん、奴が追ってきた場合はどうする』『引きつけて時間を稼ぎ、もう片方が部隊を一掃する』戦闘が始まればノイズは混じるだろうが、この湖の周囲ならばテレパシーはまだ維持可能だ。 4
2013-12-15 22:43:02
疾走を続けるディプロマットは、先の茂みに不快な金属光を察知。敵が鉄条網を敷設している。弟とその視界情報を一瞬共有する。さながらLAN直結されたデッカー部隊の如きジツ!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」茂みを避けるべく、ディプロマットは巧みに回転跳躍し、木の幹を左右に蹴り渡る! 5
2013-12-15 22:49:11
「進入禁止」「奥ゆかしさ」「拝観料」……錆び果てた旧世紀観光カンバンの影に、敵兵の姿!ディプロマットは狙いを定め、松の幹を蹴った勢いで強烈なトビゲリを繰り出す!「イヤーッ!」「グワーッ!」敵は首の骨を折られ即死!西では弟が松の木の上にいた敵スナイパーライフル兵を始末していた! 6
2013-12-15 22:56:21
次の瞬間、闇の中に新たなコマンド・マトイが浮かび上がる!森に潜んでいた小隊が彼を狙う!BRATATATATA!無線LAN直結による座標共有射撃か!「イヤーッ!」ディプロマットは側転を打って回避!『またマトイだぞ!』『こっちもだ、兄さん!』『マトイを掲げたリーダー格を殺す!』 7
2013-12-15 23:02:39
嫌な予感がする。だが迷っている時間は無い。不安感が互いのテレパシー思考にフィードバック増幅すれば身動きが取れなくなる。カラテあるのみ!ディプロマットはマトイを掲げた小隊長のもとへ突き進む!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」隊員二人がヘルメットを砕かれ卒倒!8
2013-12-15 23:12:29
これで敵小隊長への進路上にいた隊員は撃破した。ディプロマットの動きは止まらない。危険な戦法だが、あえて敵の内側に飛び込む事が肝要なのだ。敵はフレンドリーファイアを恐れ射撃不能となる!「イヤーッ!」ディプロマットは小隊長に肉薄しケリ・キック!「イヤーッ!」割って入る何者かの影! 9
2013-12-15 23:20:13
ディプロマットは咄嗟にガード!だが間に合わない!「グワーッ!」棒状の武器で強打され、きりもみ回転しながら強襲ライナーめいた勢いで弾き飛ばされるディプロマット!『01011兄011さ1!1』『0111油断1し10たが1……大丈夫だ!』「イヤーッ!」空中で姿勢制御し辛くも着地! 10
2013-12-15 23:27:04
「ドーモ、コボルトキングです」敵は小隊長を守るように立ち、アイサツした。その首には、アダマンタインのそれと同じサイバネ首輪が巻かれている。新手のマジックモンキーだ!「ドーモ、ディプロマットです」兄者がオジギを返す。敵小隊は彼らを取り囲むようにしめやかに再展開した。 11
2013-12-15 23:37:35
「戦闘不能に追い込め」小隊長が命じ、マトイが回転する。ただの人間が、半神的存在たるニンジャに、命じるのだ。「任せてくださいよ!俺はこういう野郎をいたぶるのが大好きなんです!俺のショート・ボーで足腰立たなくなるまで叩きのめしてやりますぜ!」コボルトキングは下卑た笑みを浮かべた。12
2013-12-15 23:43:57
「イヤーッ!イヤーッ!」コボルトキングは威嚇じみて演武する。ショート・ボーが闇の中で死の円弧を描く。敵は手練。そして此奴も元はヨゴレニンジャか。ディプロマットはそう直感し、舌打ちする。汗が滲む。しかし何よりも不快なのは敵部隊の動きだ。これはまるで何らかの戦闘演習めいている! 13
2013-12-15 23:53:19
一触即発のアトモスフィア!だがここでディプロマットの視界が一瞬、弟のそれと重なる!同じく西の敵小隊長を始末しようとしていたアンバサダーが、突如、土中から出現した二本の腕に掴まれたのだ!ドトン・ジツ!西側にもニンジャか!「イヤーッ!」コボルトキングが兄の一瞬の隙をついて突進! 14
2013-12-16 00:00:55
「イヤーッ!」右顔面を狙い、コボルトキングのショート・ボーが目にも留まらぬ速さで繰り出される!「イヤーッ!」ディプロマットは咄嗟のブリッジで回避!タツジン!致命的な軌跡が鼻先ワン・インチをかすめる!ショート・ボーは危険な戦闘武器ボーの亜種であり、決してただの棒切れではない! 15
2013-12-16 00:06:42
ショート・ボーはすぐさま別角度から次の一撃に転じる!「イヤーッ!」打擲!「イヤーッ!」回避!「イヤーッ!」打擲!「イヤーッ!」回避!ディプロマットは防戦一方だ!「イヤーッ!」打擲!「イヤーッ!」回避、だが!SMAAASH!背後の石灯篭が砕かれ破片が兄者を襲う!「……ウカツ!」16
2013-12-16 00:15:11
フルスイングで石灯篭を砕き、敵に背を向けた状態から、コボルトキングは背後のディプロマットに対してショート・ボー・ツキを繰り出した!「もらった!イヤーッ!」石破片に気を取られ、攻性ポータルを設置する余裕無し!鉄輪で補強された角材の先端がディプロマットの腹を抉る!「グワーッ!」 17
2013-12-16 00:22:00
大きく姿勢を崩すディプロマット!間髪入れず、コボルトキングが容赦ないボー・カラテを叩き込む!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」ディプロマットはワイヤーアクションめいて弾き飛ばされ、松の木に背中を痛打!ナミアミダブツ! 18
2013-12-16 00:27:05
「有効打です、ドーモ!総員ニンジャ捕獲行動へ!ドーモ!」小隊長が命じる。「そんなもんかよ!エエッ!?」だがコボルトキングの両目はイクサの興奮で狂気じみて輝き、ディプロマットに対しなおもショート・ボーを振り下ろす!非道!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」 19
2013-12-16 00:31:55
何という事だ!コボルトキングは暴力に魅了されてしまっている!「イヨオーッ!」小隊長はコマンド・マトイを高々と掲げ、処罰コマンドをタイプ!禁禁禁禁禁禁禁禁!コボルトキングの視界いっぱいにカブキめいた漢字が出現!「グワーッ!スミマセン!」ニューロンの電気刺激苦痛にのたうち回る! 20
2013-12-16 00:40:55
「シバラク!シバラク!アアアアアアアーッ!」サイバネ首輪はあたかも、伝説のマジックモンキーに嵌められたサークレットめいてコボルトキングの暴走を停止させる!「ヤッタ!確保せよ!」「確保せよ!」ジャキン!ジャキン!他の隊員たちがニンジャ捕獲サスマタを展開しディプロマットを包囲! 21
2013-12-16 00:49:10
「お前たち……何者だ……」メンポを砕かれたディプロマットが、小隊長を睨み歯を食いしばる。「心配は要らん、我々は貴様を保護しに来た」小隊長が電子音声で返す。彼本人の声かどうかなど解らない。「保護、だと……?」「そうだ。貴様らは危険だ。野放しに出来ん。ゆえに保護し、制御する」 22
2013-12-16 00:59:15