茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第1122回「文科省無視して、ペンローズを読もう」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第１１２２回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日竹内薫（@7takeuchi7）と喋っていて、思ったこと。

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もぺ（１）竹内薫（@7takeuchi7）が、ペンローズの『Cycles of time』を翻訳した。新潮社から出る。これは恐ろしい本で、最初はエントロピーの比較的やさしい解説だが、後半、ccc (conformal cyclic cosmology)の、数式だらけの文になる。

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もぺ（２）私が脳に興味をもったきっかけは、ペンローズのThe Emperor's New Mindを１９８９年に読んだことだが、その時、ペンローズは、「数式が一つ増えると、読者が半分になる」と出版社に警告されたという。それ以来、頭の中が数式でできているペンローズも、自粛してきた。

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もぺ（３）ところが、Cycles of timeで、ペンローズは開き直ったというか、数式使いまくり。それで、今回竹内薫が訳した新潮社の本も、数式をそのまますべて載せているという恐怖の本で、はっきり言って、後半は、一般読者はよくわからないと思う。これは、快挙だよね。

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もぺ（４）アベノミクスで、デフレ脱却なんだから、日本をずっと覆っていた、知のデフレも、そろそろ脱却したい。竹内薫が嘆いていた。最近は、大学生がブルーバックスで勉強しているのだという。ブルーバックスって、小学校高学年や中学生の時に、読み始めるべきものである。

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もぺ（５）ぼくたちの頃は、小学校高学年から、高木貞治の『解析概論』や、ロゲルギストの『物理の散歩道』を読み始めたもので、もちろん文科省のカリキュラムなんてガン無視である。それで、各学年のレベル、進度に合わせたわかりやすい内容を、みたいな日本のメディアの猫なで声は、クソだと思う。

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もぺ（６）ここで連ツイのタイトル明らかにしちゃうけど、「文科省無視して、ペンローズ読もう」。今回新潮社から出るCycles of timeの訳本（邦訳タイトル忘れた）を、中学生くらいから読んでほしい。中身全部わからなくてもいいから、とにかく、お守りとして持っていて欲しいと思う。

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もぺ（７）日本の教育の国際競争力がないことは、最近もう白日の下に晒されてしまって、「文系トップ」の東大法学部なんて、法律の専門学校に過ぎない。そんなクソな日本の教育システムが変わることを待っていても仕方がないので、それぞれの現場で、自衛するしかない、と私は思う。

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もぺ（８）目先の利く保護者の間では、すでに文科省主導の「小さく前にならえ」の日本の教育を捨てて、丸ごとインターナショナルスクールや海外大学への移住の動きが始まっている。しかし、それはすべての人に出来ることではないから、とりあえずは新潮社のペンローズ本を買って、自衛して欲しい。

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もぺ（９）辻静雄さんの生涯を描いた『美味礼賛』では、当時、日本にほんもののフランス料理がなく、まがい物がまかり通っていたとある。その意味では、日本の大学（特に文系）には、ほんものの学問がない。だから、文科省のチイチイパッパ教育無視して、ペンローズを買って読むしかないのである。

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以上、連続ツイート第１１２２回「「文科省無視して、ペンローズ読もう」でした。