140文字まとめ

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うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

ただキャッチボールをしていたのだが何時からか「一投毎に3歩下がる」というルールが設けられていた。段々遠ざかる距離に寂しさを感じる。オレの投げた球は彼の前でワンバウンド。届かない。負けた。駆け寄ってきた彼がオレに一言。「まだまだだね」その大好きな人の口調は大嫌いなあいつに似ていた。

2013-09-03 01:10:46
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

140文字で主守と友沢 ボールも友沢の思いも届かないのだった

2013-09-03 01:11:50
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

「幼い時に父が蒸発したんですけど二つ教えてもらったことがあるんです。『キャッチボール』と『頑張っても駄目な事がある』」「そんなこと言うなよ」「ならオレがもっと頑張ったら好きになってくれますか」「そうかもしれない」そんな事言われたら頑張るしかないじゃないか。本当あんたって酷い人だ。

2013-09-04 22:31:32
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

140文字主←友  友沢を飼い殺したい

2013-09-04 22:32:57
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

「僕は月なんです。兄さんという太陽がいないと輝けない。」確かに進くんは月かもしれないなぁ。いつもは笑顔なのにたまに塞ぎ込んじゃうのは月の満ち欠けの様だし、落ち込んだ時に優しく微笑みかけてくれる君は夜道を照らしているようだし、そして、何より、どんなに追いかけてもつかまってくれない。

2013-09-06 20:50:47
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

彼と猪狩守が練習室から出てくる様を友沢は面白くなさそうに見ていた。猪狩が友沢を横切ると、柑橘系のシャンプーの香りが友沢の鼻を突く。次いだ彼が「友沢お疲れ」と言い、ばさりと頭にタオルをかける。軽口でも叩こうと息を吸う。が、そのままごくりと飲み込んだ。柑橘系のシャンプーの香りがした。

2013-10-01 23:54:26
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

主←友は『恋』と『狡い』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai http://t.co/QReqbtv0ou

2013-10-07 21:48:13
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

オレが何度気持ちを伝えても、子供を宥めるように柔らかに拒絶された。 その癖いつものように柔らかく笑いかけてくるんだから、なんだか許されたような気になってしまうのだ。あんたはあの人を選んだというのに、本当に狡い人だ。でもそんなあんたの狡さにつけ込んでいるオレも、相当に狡いのだろう。

2013-10-07 21:48:31
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

主守は『心』と『嫉妬』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai http://t.co/QReqbtv0ou

2013-10-07 22:30:50
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

ミットの音が唸りストライクが告げられる。マウンド上の彼は大胆不敵な笑みを浮かべもう一球。ミットの音と空を切るバット音が重なる。マウンド上の彼がまた笑う。なんて楽しそうに野球をするんだ。心が湧き立つ。ああこれは嫉妬だ。湧きだたせるのは彼の才能にか、それとも彼を夢中にさせる野球にか。

2013-10-07 22:31:08
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

不憫沢は『病』と『ネクタイ』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai http://t.co/QReqbtv0ou

2013-10-07 23:24:17
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

なんて奇妙で滑稽で病的な図だろう、男同士の結婚式だなんて、馬鹿らしい。そう思いながら、正装でこの場に臨んでいるオレも、相当に馬鹿らしいが。こんな馬鹿らしい式にふさわしく、檀上の二人は馬鹿みたいに幸せそうに笑っている。そんな二人を見て胸が痛むのは、きっとネクタイを締めすぎたせいだ。

2013-10-07 23:24:52
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

照れる猪狩守は『揺れる』と『名前』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai http://t.co/QReqbtv0ou

2013-10-07 23:47:44
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

今日の夕方に追加されたばかりのアドレス帳を眺める。画面には見慣れた二文字と見慣れない二文字が二つ続けて並んでおり、後者が初めて知った彼の名前だった。それをかるくつぶやいてみる。すると、たちまち心が揺れる。胸が高鳴る。顔が赤らむ。これはいけない、キミの名前はなにかの呪文に違いない。

2013-10-07 23:48:22
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

幸せ沢は『楽しみ』と『取り引き』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai http://t.co/QReqbtv0ou

2013-10-08 00:12:10
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

「ベーランで負けた方がラーメンおごりな」何言ってるんだ、今日のベーラン、オレよりも3秒も遅かった癖に。お前はいつもそうやってぼそぼそのパンと彩やかな弁当を交換するように自分に分の悪い取り引きをするんだ。友沢とラーメン食べるの楽しみだなぁなんて言うから今回は大人しく奢られてやろう。

2013-10-08 00:12:45
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

主守は『髪』と『吐息』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai http://t.co/QReqbtv0ou

2013-10-08 22:55:35
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

俺は猪狩から一度たりとも「好きだ」などと言われたことはない。それでも俺は満足している。だって、俺と会う前に前髪を直す仕草だとか、火照りを伺わせる熱い吐息だとか、うるんだ瞳だとか、赤く染まる頬だとか、猪狩の全身が俺に告白するもんだから、今日も「素直じゃないなぁ」とほくそ笑むのだ。

2013-10-08 22:55:52
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

主←友は『花』と『どこ』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai http://t.co/QReqbtv0ou

2013-10-09 00:01:40
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

綺麗な花が咲いていたので、ぷつりと摘み取り、昔やったある遊びを思い出し、一枚ずつ花びらをむしっていく。なんて柄にもないことを。ひとしきり花びらを毟りとると、はぁ、とため息がでた。次の花に手を伸ばす。また毟る。ため息をもらす。あぁ、どこにいけば奇数の花びらの花が咲いているのだろう。

2013-10-09 00:01:47
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

主守は『鋭い』と『投げる』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai http://t.co/QReqbtv0ou

2013-10-09 00:12:19
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

喧嘩をした時はいつも俺が先に折れたし、猪狩もそれを知っている。だから今回もそのパターンだと確信している様だ。しかし今回ばかりは俺は絶対に悪くない。だから絶対に謝らないと決めていた。が、猪狩のいつもは鋭い目つきがどんどん情けなくなっていく様子を見て、俺ははやくも匙を投げるのだった。

2013-10-09 00:12:41
うま子11/23東6む43a @tonikaku_umai

「キミはもう帰りなよ、一般の高校生にはオーバーワークだ。」そう言って投げる彼の鋭いスライダーは、確かに超高校級だ。「やっぱり残るよ、まだ猪狩と一緒にいたいから。」「勝手にしなよ。」そう言って投げた彼の外角高めにすっぽ抜けたスライダーは、一般の高校生の精神が投げさせたそれだった。

2013-10-09 00:24:59