孫泰蔵さんが、「二時間のゴッホ」を読んで考えたことのまとめ

孫泰蔵さん( .@taizoson )が、「二時間のゴッホ」(河出書房新社)を読んで、田坂広志氏の講演内容を連想で思いだして考えたことのまとめ amazon  「二時間のゴッホ」  西岡 文彦 (著)   http://amzn.to/95mtIt
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孫泰蔵 @TaizoSon

今朝は「ジャポニズム」から江戸の美学を感じることがあったのでここに書きとめておこうと思う。

2010-10-18 08:07:21
孫泰蔵 @TaizoSon

「私らより上の世代の方々はそうおっしゃるんですよね。」とある鮨屋の大将のその言葉が気になり、隣の客との会話にふと耳を傾けた。「私らの師匠やら先輩の職人やら年配のお客さまたちは皆、太陽のことを『お天道様』って言っておられたけども、ほんと鋭い感覚を持っておりました。」

2010-10-18 08:07:30
孫泰蔵 @TaizoSon

「なもんで、『お天道様』っておっしゃるお客さまはみなさんやっぱり鮨にもお詳しいんで、こちらも身が引き締まるんです。」四ッ谷の鮨屋で隣に座っていた初老の客は、純米吟醸のほろ酔いも手伝ってか少しだけ照れて顔を赤らめていた。

2010-10-18 08:07:39
孫泰蔵 @TaizoSon

「お天道様」っていう言葉には江戸の人々の美学が表れている。「お天道様に顔向けできない」と言えば、人が見ていようと見ていまいと自分を律する倫理、行動の美学であるし、同時に人智を超えた自然への尊敬の念も表している。

2010-10-18 08:07:44
孫泰蔵 @TaizoSon

そういえば、「ありがとう」という感謝の言葉は「有難い」という意味で、英語に訳するならば「Thank you」ではなく「It's a miracle」とでもいうべき言葉だ、と聞いたことがある。素晴らしいことを「天」に感謝するという、これも人智を超えたものへの畏敬の念の表れだろう。

2010-10-18 08:08:35
孫泰蔵 @TaizoSon

また、「かげ」といえば「陰影」だけでなく「光」をも表しており(例えば「おもかげ」は面影と書くが、顔の陰影ではなく顔の特徴という意味である)、遠近法を用いて陰影を写実的に描画する西洋絵画に比べて日本画(特に浮世絵)に陰影がないのは、「かげ」の意識が影響しているそうだ。

2010-10-18 08:08:43
孫泰蔵 @TaizoSon

19世紀後半にヨーロッパを席巻した「ジャポニズム」は「芸術家が受けた影響の大きさでいえばルネッサンスに匹敵する」と言われるほど衝撃的だったそうだが、浮世絵に代表される江戸のものの見方が、印象派に新しい視点を提供し、ヨーロッパの近代を切り拓いたともいえる。

2010-10-18 08:08:50
孫泰蔵 @TaizoSon

ヴィンセント・ヴァン・ゴッホが後期に残した作品群は「西洋浮世絵」とでもいうようなたたずまいを見せている。陰影を廃し、補色を多用し、画家の意識を大胆に反映させる画風は、浮世絵師の広重や北斎の影響というのは有名な話であり、ゴッホも江戸の美学に心酔した一人であった。

2010-10-18 08:08:56
孫泰蔵 @TaizoSon

断片的な記述だが、江戸の美学はかように様々素晴らしく、美しい。もちろん私たちは江戸の影響をたくさん受けているわけなのだが、しかしいったいどれだけ先人の薫陶をきちんと理解し、受け継ぐことができているだろうか。

2010-10-18 08:09:03
孫泰蔵 @TaizoSon

普段新しいものを追いかけ続けている僕にとって、過去からのインスピレーションも非常に新鮮で刺激的だ。歴史についてもっと深く掘り下げてみよう。史実もさることながら、当時の人々のものの見方や価値観、倫理、美学についてとても興味がある。

2010-10-18 08:09:11
孫泰蔵 @TaizoSon

先日ある四ッ谷の鮨屋に行って、西岡文彦著「二時間のゴッホ」(河出書房新社)を読んで、田坂広志氏の講演内容を連想で思いだして、今朝はそんなことを考えた。

2010-10-18 08:09:18