茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1124回【一番真面目な人こそ、人を笑わせる】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第１１２４回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今朝、目が覚めたときに思ったこと。

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いひ（１）Little BritainのMatt LucasとDavid Walliamsが日本にきたとき、Mattが言っていた。どうしてお笑いを始めたのか。「他人に笑われるから、笑われる前に笑わせてしまおうと思って。」そうなんだよね。笑いの背後には、実は生のひりひりがある。

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いひ（２）ＴＢＳでやっていたドリフの教室コントだって、いかりや長介の先生の問題に志村けんや加藤茶が茶化して答えるのは、勉強が苦手で授業の時間が苦痛な子どもたちにとっての、救いであった。ＰＴＡにはにらまれたかもしれないけど、子どもたちはあれで息をついていたんだ。

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いひ（３）昨日、しきりと萩本欽一さんのことを思い出していた。以前日記でも掲載した（http://t.co/5GG9ZsdPbz）が、地デジ化のイベントの時のこと。檀上に居並ぶお偉方を見ながら、「茂木さん、あれかねえ、日本では、団体の長にならないと偉くならないのかねえ」と欽ちゃん。

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いひ（４）「萩本さんも、団体つくればいいじゃないですか」と言うと、欽ちゃんは、「いやあ、ぼくは、そういうのは苦手だから」と言った。それから、「芸人だとか言って、普段は軽く見られているのに、こういう時だけ、呼び出されて、便利に使われるんだからねえ」とおっしゃった。

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いひ（５）以上は楽屋話。「地デジ大使」として檀上で挨拶する段になると、欽ちゃんの芸人ぶりは完璧だった。「街を歩いていると、欽ちゃん、地デジの、見ているよとよく言われるのですが、それで、地デジに変えた、という人は、今まで二人しかいません。だいじょうぶでしょうか。」と笑わせる。

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いひ（６）二度目のイベントの時は、欽ちゃんは、「地デジが終わると、アナログは、ざーっと砂嵐になるんでしょ。それを見たい、というので、わざと地デジにしない、という人が、私の周りで何人かいるのです」と言って笑わせていた。わたしは、同じ地デジ大使だったが、欽ちゃんスゲーなあと思った。

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いひ（７）萩本欽一さんが凄かったのは、地デジそのものはいいとして、ＮＨＫ会長、民放連会長、電器メーカーの代表、みたいな団体の長がひな壇にずらーっと並ぶような、いかにも日本的なキャンペーンのあり方に、ちくりと風刺を利かせつつ、ちゃんと地デジ大使としての役割を果たしていたことである。

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いひ（８）ふり返って思うのは、一番真面目な人こそ、人を笑わせる、ということ。一見マジメぶって、正論を吐いているやつほど、信用できないものはない。その背後に、大きな卑劣や、ずるがしこさが隠れていることが多い。あの時の欽ちゃんはかっこよかったし、ロックンロールだった。

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いひ（９）社会のあり方や、人間の卑劣さについて大きな悲しみや怒りを抱いているものは、「笑い」に活路を見いだすことがある。「アホの坂田」が本当に「アホ」なのか、一つ考えてみると良い。金正男氏がディズニーランドに行ったりしてバカのふりをしているのは、一体なぜだと思うか。

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以上、連続ツイート第１１２４回「一番真面目な人こそ、人を笑わせる」でした。