2013年12月22日

即興小説深夜特急「かえるちゃんのともだち」

深夜の24:00から25:00の間に即興小説を連続Tweetするひとりぼっち企画「深夜特急」第二段。「かえるちゃんのともだち」です。学生時代に上演した30分上演版の元になった90分版を小説化。 ◆獣の仕業HP【獣Web】 http://kemono.xxxxxxxx.jp/
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立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる1◆「かえるちゃんのお医者を、取り返してきたよ」  ユミは人生で一番びっくりだった。車に轢かれそうに時も口の中から団子虫が出てきた時もユミはそこそこびっくりしたが、朝起きたら自分の家に知らない男がいるなんてそれを軽く超える衝撃だった。 #深夜特急24

2013-11-24 00:03:18
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる2◆男はあれ?と言う顔をして 「と・り・か・え・し・て・きたよ!」「いやそこは聞こえとるのですよ」と悠長に突っ込んでしまった自分の関西の血にも驚いたがこの男が超爽やかな声とは裏腹の薄汚い身なりに戦いてしまってかえるちゃんって何って言うか私出身千葉じゃん! #深夜特急24

2013-11-24 00:06:02
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる3◆ユミは目が覚めた瞬間にベッドの横にいたその男の姿をもう一度観察した。日に焼けた肌、ぼさぼさの頭、アオシマみたいなカーキのオーバコード。破れたジーンズ。裸足(靴を脱いでくれてありがとう!)手には清潔そうな白い布が握られている。 #深夜特急24

2013-11-24 00:09:44
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる4◆顔は私より五歳下くらいかなとか言う諸々がぱっと見で全然分からなくくらいの全身に付きまった泥は何だよそれ! 「…え?現場の方?」 「なにいってんのーかえるちゃん」 大きな塊の乾いた土がぼろぼろと男の足元から玄関まで続いていた。 #深夜特急24

2013-11-24 00:11:09
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる5◆「ちょっとぉぉ、昨日掃除したばっかりだよぉあああ頭痛い」 「大丈夫?」男は心配そうに駆け寄り額に手を当てた。 「ちょっと触んないで下さい誰ですかあなた!あ、すいません」 「ああ熱がある。待ってて体温計、持ってくるからね」 #深夜特急24

2013-11-24 00:11:42
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる6◆ 男は勝手知ったるように真っ直ぐにユミの部屋の隅にあるユミのMac(なんと床置きされている)に向かっていきキーボードを持ち上げてその下にある体温計を見つけ出した。そして振り向き様に体温計をぴっと掲げた。 「はい、これ」 #深夜特急24

2013-11-24 00:12:31
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる7◆ダーツのセットポジションみたいでちょいと格好良い。 「脇に挟んでちょーだい」 「なんかすみません」 「かえるちゃんさあ」  かえるちゃんってもしかしてあたしのことか? 「ちょっと片付けたほうがいいんじゃない?出したらしまうしまって出してまたしまう」 #深夜特急24

2013-11-24 00:14:09
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる8◆「うううううるさいな」 「ま、とりあえず会社は休んだほうが」 「でもなあ」 「プロジェクトは昨日リリースだったし次のキックオフは確か三日後じゃない、残りの納品物整理は、ん、みさきちゃんにやってもらえば・って彼女には何か指示をしておいた方がいいな、 #深夜特急24

2013-11-24 00:15:37
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる9◆あの子みさきちゃんに頼り切ってんじゃない。コピー機の紙詰まり自分で直さないですぐかえるちゃんに頼むし、あと知らないと思うけどね、あの子かえるちゃんが外出の時は五時ぴったで帰ってるからね!しかもネイルサロンでな!そんじゃ携帯借りまーす」 #深夜特急24

2013-11-24 00:17:16
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる10◆男はまた迷わず携帯電話を見つけ出した。マジで君、人の物すぐ見つける選手権がテレビチャンピオンで開催されたらダントツ優勝だね! 「よ、チャンピオン!いや褒めてない褒めてない」 「何がぁ?」 「私の携帯勝手に使わないでくださいって言ってます!」 #深夜特急24

2013-11-24 00:18:52
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる11◆「もう電話繋がるから大きな声出さない」 「だからその電話があたしのだって言っとんじゃい!」 「あ。もしもしお疲れ様ですイノウエですけれどもー」 ユミはまたびっくりした。ユミの携帯で話し始めた男の声は間違いなくユミ自身の声だった。しかも「会社用」の #深夜特急24

2013-11-24 00:20:11
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる12◆「みさきちゃん代わってもらってもいいかなーうんうん」 携帯から流れる保留音「もりのくまさん」がユミの耳にも聞こえた。 「どした?」男が笑いかける。 (♪あるーひ もりのなーか) 「いいえ…」ユミもつられて笑ってしまう。 (♪くまさーんに であーった) #深夜特急24

2013-11-24 00:22:41
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる13◆「僕はね、このくらいは出来て当然なんだ、ほんとだよ、あ、おつかれっすーイノウエでーす。朝早くごめんねえ」  そして男は休暇連絡をし納品書受領書の作成指示して保守に不安がるみさきちゃんに瑕疵対応がまだないから大丈夫とアフターケアもバッチリで、 #深夜特急24

2013-11-24 00:24:01
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる14◆でどうしても対応が分からないときはいつでもメールでも電話でもくれればフォローするからと決め台詞を言い放って通話を切って電源も切った(フォローする気ないじゃん) と、ここでユミはある可能性に気付き男に尋ねた。 「あなたもしかして、うちの会社の方ですか」 #深夜特急24

2013-11-24 00:25:24
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる15◆「すいません、わたし今の会社に入って日が浅いものですから存じ上げなくてすみません」 「かえるちゃん、違うよ僕は」 「かえるちゃんって何ですかそれはあたしですか!?」 「かえるちゃん!そうだよ!僕だよ!忘れたのかい!?」 「うるせえええ!」 ぴぴぴぴぴ #深夜特急24

2013-11-24 00:26:20
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる16◆ぴぴぴぴぴぴぴぴぴ、体温計の音がした。 「三十七度八分。微熱だね、美味しいもの食べてゆっくり寝れば治るから」  男はユミから体温計を抜き出して、目を細めながら台所に向かった。 「今度は何ですの」 「ご飯、作ってある」 「もう、警察を呼びます」 #深夜特急24

2013-11-24 00:26:45
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる17◆「なにいってんだか」男は台所へ消えていった。  ユミは携帯を拾い上げて電源ボタンを長押しした。緩慢な機種ロゴ画面、ICカード読み込み画面、いつもそうだよ、携帯はいつも勝手に繋がってくるくせに、肝心なときはこんなにものろい、いつもいつもいつも。 #深夜特急24

2013-11-24 00:27:08
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる18◆「あたりまえだよ」ユミは台所に向かって叫んだ。「朝起きて知らない男がベッドの横に…っていうかあたし、すでに犯されているのでは、あああ!」 ジャージのズボンのゴムを広げて下着を見ると緑のパンツ。あれ緑だったっけ。だった気もするしそれ昨日だった気も。 #深夜特急24

2013-11-24 00:28:15
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる19◆なにせよ自分がその日どんな下着を履いているかって以外と覚えていないものだなあ。そうしていたらふと。和食の暖かい匂いがした。何故だろう、ユミは振り返ることができない。 男が心底呆れた顔で戻ってきた。手にはおぼんを持っている。 #深夜特急24

2013-11-24 00:29:00
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる20◆なにやってんの性癖?オトナニナッタネエと言いながら手際よく床に食器を並べていった。紛れもない日本の朝食だった、鯵の開き、納豆、炊立てのご飯、油揚げの味噌汁、ほうれん草のゴマ汚し。すべての器から湯気が立ちこめている。 #深夜特急24

2013-11-24 00:30:07
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる21◆「ねえ最初この部屋に来た時から思ってたんだけどね、かえるちゃんちにはさ、テーブルとかラックとかせめて段ボールとか、「台」的なものはないの?三十前の女の一人暮らしとして寒すぎるんだけど」 ユミは男の言葉を最後まで聞かずに男の出した食事に貪りついた。 #深夜特急24

2013-11-24 00:31:28
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる22◆おいしい!こんなちょう美味しいもの自由が丘のカフェでだって食べた事ない! 男がその様子を見て声を出して笑う。あ、この人笑顔が子犬みたいで若干可愛いかも。ちょっとキスされててもいいかも。でも歯がすげえガチャガチャだからやっぱり厳しかった。 #深夜特急24

2013-11-24 00:32:44
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる23◆「おいしい?」男が首を傾げて聞いた。 「ひゅうう、ちょう、おいしい、天才」 「よかった、喜んでもらえて」 「っていうか、マジで誰ですか」  ユミの言葉にはさっきのような刺々しさも不安感もなかった。それくらいご飯が絶妙においしすぎた。 #深夜特急24

2013-11-24 00:33:21
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる24◆それにとても懐かしい優しい味がして今までの嫌な気持ちがみるみる溶けてしまう。ユミはよく意味は分からなかったけれど、ああこれって郷愁?なんて思っていた。 「僕?僕は」 男がまた抜群の笑顔を見せた。 「僕は、かえるちゃんの、ともだちだ」 #深夜特急24

2013-11-24 00:35:05
立夏◎獣の仕業/58.0/29 @ritsu1125

かえる25◆ところ変わって自由が丘のとあるカフェではいつも店主の暢気な歌声がする。それと、女の自慢話も。 (♪げんこつやまのたぬきさん おっぱいのんでねんねして) (♪だっこしておんぶしてまたあした) 「だかぁね、あたし言ったのよォ、そんな安い女じゃないわって」 #深夜特急24

2013-11-24 00:41:18
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コメント

立夏◎獣の仕業/57.5/26 @ritsu1125 2013年12月22日
即興小説深夜特急「かえるちゃんのともだち」 をまとめました。遅くなって大変申し訳ありません・・・(側転からの土下座)リアルタイムで追いかけられなかった方もこれで一気見!約100Tweetの長編ですがお時間あるときにぜひ~mm
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