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森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
「「天使に翼はない」、カトリック天使学者の見解」--お外で必死こいてお仕事していたら、海法の人 .@nk12 からこんなニュースのURLが送られてきました。http://t.co/6KOrFlbwDp
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
大本の発言を見ないと、どういうニュアンスなのか今ひとつわかりませんが、別段ビックリするような発表でもなくローマ・カトリックでは、大昔から天使についてはそんな感じの見解です。(むしろ、「クリスタル製の花瓶で屈折した太陽光に少し似ている」みたいな具体的な形容が出てきたことがびっくり)
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
というわけで、つい先程お仕事が一段落して帰宅しましたので、息抜きに天使の翼がらみのお話など。まず、旧約聖書の中に、天使の翼についての記述は全く存在しません。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
え、「イザヤ書」のセラフィムと「エゼキエル書」のケルビムは?!という驚きの声があがりそうですが、少なくとも執筆当時、あれらは別に天使(御使い)ではなく、神に仕える聖獣かなんかだったというのが聖書学者のお話です。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
もっとも、紀元前2世紀頃から増殖し始めた偽典外典の類で翼を持つ天使がぽろぽろ出てきはじめまして、偽ディオニシウス・アレオパギタ(実際には五世紀頃のシリアの学者の変名)の『天上位階論』でセラフ、ケラブが天使の上位位階とかされるわけですが、まあ要するに政治文書です。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
@alkali_acid 745年の教会会議で聖書に出ていない天使たちにNGを食らわせて以来、基本、カトリックではミカエル、ガブリエル、ラファエル(聖書外伝「トビト記」)以外の天使を同格扱いにしてますね。カテキズムでも、うまくぼかしつつこの三天使をちょっと持ち上げてるくらい。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
イスラエル王国を脅かした新アッシリアやバビロニアの神々の影響があり、ケルビムやセラフィムのような有翼の存在が天使(御使い)と同一視されるようになったと言われていますね。ただし、これはユダヤ教のお話であって、ローマで花開いたキリスト教会の伝統とは断絶している感じです。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
何しろ、キリスト教絵画において、翼を持った天使の姿が最初に出現したのは4世紀以降と言われているわけです。(このあたり現在も思い出したように調査中ですが、ひょっとすると2世紀あたりに遡れるかも知れません……どちらにせも時期的空白があります)
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
天使の体については、4~5世紀のラテン教父アウレリウス・アウグスティヌスが天使は物理的な肉体を持たない、精神的な存在だと言っておりまして、ローマ・カトリック教会の神学では概ねこのような扱いです。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
ちなみに、アウグスティヌスは「創世記」で神の子(ユダヤ教では天使扱い)が地上に降りて、人間の女との間に子供をもうけたという記述もガンとして認めず、あんなものは空中を漂っているデーモンなのだと断言しております。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
ちなみに、スコラ哲学を大成した一三世紀のトマス・アクィナスも、『神学大全』の中で天使の体は人間の魂同様に質量を持たず、神を愛している限りは不変であると書いています。カトリック文献だと概ねこんな具合で、翼がどうこうについて論じたものはあまり見かけません。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
それはそれとして、中世末期から近世にかけて、ラテン語聖書を読めない庶民のために日曜祝日に開催された神秘劇では、普通に翼を持った天使が出てきます。先のニュースでも触れられていますが、「一般的に広まった天使のイメージ」は布教の上でうまいこと使われてきたわけですね。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
閑話休題。キリスト教の天使が翼つきで描かれるようになったのは、ギリシャ、ローマの有翼神の影響と言われています。具体的にはニケであるとか、エロートとかですね。ポンペイの壁に描かれたエロートの姿などは、ヨーロッパの天使画そのまんまです。(ポンペイが埋まったのは一世紀)
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
ちなみに、さっきエロートと言ったのはエロースではあなく、その複数形です。こういうのがいるのですよ。 http://t.co/YyQz4P5eZ4
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
数年前に盛んに開かれたポンペイ関係の展覧会でやたら見かけられた有翼神の群れがこのエロートです。これも日本語文献にあまり出てこないので、調べるのがたいそう面倒であった思い出。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
ポンペイのフレスコ画の一例。構図的にも思い切り……です。 http://t.co/MQUTiHTUAy
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
ちなみに、ローマの有翼神画については、昔こんな記事をはてな日記に投下しました。 http://t.co/kTdrXQm9aa
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
ちなみに、天使の輪っか、といいますか光背も4世紀以降の絵画に出現するものでして、こちらはヘリオスやミスラといった太陽神と、これをモチーフにしたローマ皇帝の肖像の影響らしいです。以前、天使本書く時にさんざん調べたのだけど、関連書にほとんど出てこないのがこの光背で、苦労しました……。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
何も、魔術書だのグノーシス文献だのを毎日のように読みあさっているこの時期にこんなニュースが流れんでも……。(この人の頭の中に「クリスマス」の文字はない)
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
偽ディオニシウス・アレオパギタの『天上位階論』は、聖書を解読したら天上の階級がわかったぜ! というお話。日本語訳も出てます。セバスチャン・ミカエリスの悪魔の階級は、悪魔憑きの修道女から聞き出したというお話。「だって聞いたんだもん」はちょっとずるい。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
『ソロモンの小さき鍵』とかに全然外見が出てないグシオンについて、アレイスター・クロウリーが「奇妙な青い頭の生物」と説明してるのも、「呼び出したらそうだったから」というおいこらな話である。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』9/15予定 @Molice
ベリアルの軍勢についても『小さき鍵』』には80と書かれているのだけど、「1898年に見た時は50しかいなかったよ」とかクロウリーが言ってる。ずるい。

コメント

kawonasi @kawonasi4989 2013年12月25日
偽典に登場するメタトロンは36対の翼に36万5千のを目を持つと描かれてますね。ガルガリンという天使は巨大な車輪に無数の眼がついているというもので、古代の天使だと翼よりも目が天使をイメージさせるものという印象を受けます
涼月(Κλήμης) @suzutuki1980 2013年12月25日
(以下、批判の意図はありません)西方教会の説明のみがここに書かれて居ますが、正教会では今も「九階級の天使」の理解は受け継がれて居ます。
涼月(Κλήμης) @suzutuki1980 2013年12月25日
九品の天使については日本正教会の公式サイトにもまとめられています。 http://www.orthodoxjapan.jp/tebiki/sekaikan02.html ただそう日常的に言及はされません。
涼月(Κλήμης) @suzutuki1980 2013年12月25日
天使に物質的な肉体が無いというのは仰る通り、東西教会共通の古くからの理解で目新しいものではありません。ただイコン等に天使の翼が画かれるのは、「物質の制限を受けず自由にそして速やかに神のみ旨を遂行することを表すため」(公式サイトより)です。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』発売中! @Molice 2013年12月25日
kawonasi4989 『宮殿の書(第三エノク書)』は、偽典というよりもユダヤ神秘学文献ですね。成立も4世紀以降とか結構後です。
森瀬 繚@『未知なるカダスを夢に求めて』発売中! @Molice 2013年12月25日
suzutuki1980 元がカトリックの見解というニュースですので、基本、カトリックのお話をしましたです。
涼月(Κλήμης) @suzutuki1980 2013年12月25日
Molice 再返信をありがとうございます。Moliceさんの意図については仰る通りに拝察しましたが、「キリスト教」という表現が多用されていましたため、第三者向けに述べさせて頂きました。続
涼月(Κλήμης) @suzutuki1980 2013年12月25日
Molice 先に申し述べました通り、批判という意味合いはありませんm(_ _)m興味深いまとめをありがとうございます。
@sbayasi 2013年12月25日
現代における天使の一般像としては「有翼人でなければ天使にあらず」と言っても過言でないほど翼が天使の象徴になってるもんなぁ。
WartimeHCRaft @WartimeHCRaft 2013年12月25日
翼を持つ天使に類似する存在は世界にある程度広まっているようです。アジアでは羽衣をつけた天女の様に。それら翼を持つ天使に類似する存在が何時ごろ成立したのか。という事を調べると分かるのかも知れないですね。
catspeeder @catspeeder 2013年12月26日
ほえー。初めて知ったわ。びっくり。
幻導機 @gendohki 2013年12月26日
ミルトンの失楽園でもそんな話が書いてあったような。個人的には空を飛ぶ事が多いから翼はえてた方が受け入れる時にしっくり来るのかなぁと思ってたりしますが。
ならづけ @nara_duke 2013年12月26日
じ、じゃあネロとパトラッシュは誰に連れてかれちゃったの? (震え声)
Simon_Sin @Simon_Sin 2013年12月26日
天使には翼が無いって事になると、針の上で踊れる天使の数は今まで考えられていたより多くなる、ってことでいいのかな?
MAU @mau_maurier 2013年12月26日
田中純氏によると、初期キリスト教は偶像崇拝を禁じ、有翼を異教の美術として排した。だがそれらの由来が忘れられるにつれ天使に翼を描くようになったらしいです。
酔宵堂 @Swishwood 2014年1月5日
光輪、と云うか光背(あるいは後光)の解釈違い……と聞いたような気もします(と云って脳裏に浮かんだのが巨神兵オーマのアレでしたが
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