響と電の秘め事(仮)

血の繋がらない双子の弟の忍原浅葱さんが途中まで書いてた原稿を発見したので放流したもの。続きはありません。 響×電ください。
3
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

(忍原さんがいつの間にか書いたと思われる途中までのテキストがあるんだけどどうしようこれ……)

2013-12-26 20:57:02
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

忍原さんが途中まで書いてた原稿を発見したので放流する ※えろいところまでいきません

2013-12-26 21:01:41
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「じゃ、電気消すわよ。みんなおやすみ」 「ん、おやすみ」 「おやすみなのです」 「……Спокойной ночи(おやすみ)」 雷の声に、私を含めた三人分の声が応えて、部屋の灯りが消える。視界が暗闇に閉ざされる。私はその闇の中で、毛布を薄く被りながら、息をひそめていた。

2013-12-26 21:02:26
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

駆逐艦寮は基本的に四人部屋で、四隻で編成される駆逐隊単位で部屋があてがわれる。私たち第六駆逐隊も、当然四人で一部屋だ。部屋には二段ベッドが向かい合わせにふたつ置かれていて、片方の上段が暁、下段が私。もう片方の上段が雷で、下段が電だ。

2013-12-26 21:02:43
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

――つまり、私の向かい側に見えている下段のベッドには、今は電が横になっている。

2013-12-26 21:03:05
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

柔らかいベッドの上で横になっていると、自然と睡魔が襲ってきて瞼が重くなるけれど、私はそれを堪えてしばらく待った。……ほどなく、ベッドの上段の方からふたりぶんの寝息が聞こえてくる。暁も雷も寝付きがいい。それはある意味、私と――電にとっては、非常にありがたいことではあった。

2013-12-26 21:03:15
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

暁と雷が完全に眠っただろうと確信できるまでさらに待ってから、私はゆっくりとベッドを抜け出す。闇にももうすっかり目が慣れていた。足音を立てないようにそっと、息をひそめて、私は向かいのベッドに近付く。 「……電」

2013-12-26 21:03:40
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

そっと呼びかけると、電がぱちりと目を開けた。響ちゃん、と電の唇が吐息のように震える。暗くてはっきりとは解らないけれど、電はたぶん顔を赤くして私を迎えているのだろうし、私もたぶん顔が赤いと思う。何度目であっても、照れくささと、上にふたりが寝ている状況への背徳感は消えない。

2013-12-26 21:04:04
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

いけないことだとは解っているのだ。――だけど。 私は電のベッドにそっと上がる。微かにベッドが軋んだけれど、ふたりを起こすほどの音ではない。ベッドの上、電が身体を起こして、私と向き合う。灯りの消えた部屋の中、私は電とベッドの上で見つめ合う。

2013-12-26 21:04:25
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

――それは私たちにとって、ほとんど唯一といっていい、ふたりきりの時間だから。

2013-12-26 21:04:56
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

私は電の手を掴んで、身を寄せる。電が、恥ずかしそうに目を伏せて、それから瞼を閉じて少しだけ唇を突き出した。電の手をきゅっと握って、私も目を閉じて――電の唇に、私のそれを寄せた。柔らかな感触が、私の唇に重なって、電の手がきゅっと私の手を握り返す。

2013-12-26 21:05:11
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

重ねた唇の端から吐息がこぼれて、頬をくすぐる。私は擦りつけるように電の唇を自分の唇でまさぐる。電が微かに身をよじったのを、手を握って押さえ込む。

2013-12-26 21:06:13
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「んっ、んむ……んんっ、ぷあ」 少し息が苦しくなって、どちらともなく唇を離した。電の潤んだ瞳が目の前にある。響ちゃん、とまた甘やかな囁き声が私の耳朶をうって、私の理性を焼き切っていく。

2013-12-26 21:06:25
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「電」 目の前の愛おしい少女の背中に、抱きしめるように腕を回して、今度は少し強引に唇を重ねた。電は僅かに身を固くしたけれど、すぐに私に身体を預けて、私の首の後ろに腕を回してくる。そのまま、私は電に覆い被さるように、ベッドに倒れ込んだ。

2013-12-26 21:06:35
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「……響ちゃん、そんなに焦らなくても、電は逃げないのです」 「別に……焦っては、いないよ」 覆い被さった私を見上げて、電はくすくすと笑った。確かにまあ、少しがっつくみたいなキスをしてしまったけれど。焦ってるわけじゃない。ただ――電に一秒でも長く触れたいだけで。

2013-12-26 21:06:58
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

電の手が私の頬に触れた。その手に自分の手を重ねて、「……電」と囁く。 「……Я люблю тебя」 それは何度も電に囁いた言葉。たぶんこれからも、囁き続ける言葉だ。 電も、私が何度も言うその言葉の意味は、ちゃんと分かってくれているから。

2013-12-26 21:07:23
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「――電も、大好きなのです」 微笑んで言う電に、うん、と頷いて、私はその唇に三度目のキスをする。

2013-12-26 21:07:58
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

今度は、薄く開いた電の唇の隙間に、そっと舌を差し入れて――おずおずと顔を出した電の舌を絡め取った。私の舌と電の舌が唇の間で絡み合って、唾液がひどく淫猥な音をたてる。駆逐艦の私たちには不似合いな、大人のキス。だけど私たちはもう知ってしまっている。大人のキスの仕方も、その先のことも。

2013-12-26 21:08:34
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

いけないこと。秘密のこと。暗闇の中の、ふたりの秘め事。 「ちゅ……ん、ちゅぅ、ちゅぷ……んぷっ、んっ、む……んんっ」 音をたてて唇を離すと、電がとろんとした顔で私を見上げた。粘膜を絡め合う感触に理性が痺れたときの、蕩けるような顔。私しか知らない、電のいちばん可愛い表情。

2013-12-26 21:09:07
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「響ちゃぁん……」 懇願するように、電が私の名前を呼んだ。私はその頬に触れて、それから首筋、うなじ、鎖骨と順に撫でていく。「ひぅぅ」と電は小さく身を竦めたけれど、私の手を拒まない。

2013-12-26 21:09:54
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「電……ねえ、どうしてほしい?」 意地の悪い言葉を、私は電の耳元で囁いてみる。その間にも、手は電の肩から腋の下、そして脇腹をまさぐる。パジャマの上から、電の細い身体をなぞる。電はそのひとつひとつに声を噛み殺しながら身を震わせて、私を切なげに見上げた。

2013-12-26 21:10:07
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

ねえ、もっと聞かせて、電。君のその声を。可愛らしい、そしていけないその声を。 「……しいのです」 私の手が腰骨をなぞり、太ももまで伸びたあたりで、電が消え入りそうな声で言った。 「なに? ……聞こえないよ」

2013-12-26 21:10:34
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

その口元に耳を寄せて、「もう一度言って?」と囁くと、電は泣き出しそうな、切なそうな、だけど幸せに溶けてしまいそうな顔をして、私の理性を完全に焼き切る言葉を囁いた。 「……響ちゃんに、えっちなこと、してほしいのです……」

2013-12-26 21:10:59
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

「電――」 そう、私たちが知ってしまった、秘密の遊び。暁と雷が寝静まった、ふたりきりの暗闇の中でしかできない、ふたりだけの秘め事は、毎晩こうして交わされる。

2013-12-26 21:11:18
浅木原忍@31日西う25ab @asagihara_s

ベッドがまた、小さく音をたてて軋んだ。けれど、それが上のふたりを起こしてしまうかもしれないというような危惧は、もう私の頭から消し飛んでいた。

2013-12-26 21:11:33