大罪戦闘企画

第二九公演《 》
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【邪悪の樹——三ツ牙】企画管理アカウント @treeofevil

少年が、屋敷の廊下を歩いている。 其の手に一つ、ぬいぐるみ。 少年は歩いている。 其の屋敷のとある部屋だけ、ドアが違う。 綺麗な綺麗な鋼鉄の、綺麗な綺麗なドアである。 七つ動物描かれた、綺麗な綺麗なドアである。 ドアは開く。手をかけずとも、独りでに。 其の部屋に在るものは——

2013-12-25 19:07:53
【邪悪の樹——三ツ牙】企画管理アカウント @treeofevil

ふふふふふふふふっ! ——捨てる 楽しいなあ!楽しいなあ! 何もかもが楽しくって仕方がないなあ! ——消える あははははっ! ——其処に 次はどんな演目かなあ! 演者はもう居るんだし、早く始まらないかなあ! ——遺る あははははははははははははっ!

2013-12-25 19:08:11
【邪悪の樹——三ツ牙】企画管理アカウント @treeofevil

《演者紹介:第二九公演》 【強欲】アーネウス (@s_akiyui) vs 【強欲】三目奏子 (@Tokimine_Seo)

2013-12-25 20:51:04
【邪悪の樹——三ツ牙】企画管理アカウント @treeofevil

《まもなく……12月25日21:00より……第二九公演、第三十公演、第三一公演、第三二公演が同時開演致します…… ご観覧の皆様はお席にお着きくださいますようお願い致します……》

2013-12-25 20:52:01
【邪悪の樹——三ツ牙】企画管理アカウント @treeofevil

あっははははははははははははっ! さあ時間だよ! もうそろそろ何も言わなくたって理解出来るよね? 屑みたいな頭でもさ! それじゃあ楽しみにしているからね! 頑張って演じてよ馬鹿な駒! あははははははははははははっ!

2013-12-25 21:01:16
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

ガサリ、ガサリ。落ち葉の道を踏みしめて、前へ前へと進んで行く。ガサリ、ガサリ。周囲を見渡せど見渡せど、視界に映るのは冬の寂しげな木々ばかり。見覚えのある道どころか、何処ぞの街道さへ見えず、本格的に道に迷ってしまったことに溜息が出るのを禁じ得なかった。

2013-12-25 21:15:23
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

ガサリ、ガサリ。それでも微かに舗道された形跡のある森の道を進む。殺風景で寒々しい景色の割に、それほど寒くないのが救いか。いつになったら帰れることやらと頭を抱えそうになるのを耐えて、真っ直ぐ進んで行く。 ガサリ、ガサリ。

2013-12-25 21:15:32
【魔王】 @Tokimine_Seo

革のローファーが、がさりと枯れた草を踏んだ。黒縁眼鏡の奥の黒い瞳でぐうるり周囲を見回して、森の間にできた獣道を進む男の姿を捉える。 「……おにーさん、何してんの?」 手慰みに、手にしたカッターナイフの刃がちきちきちき、ちきちきちき、と不吉な音をたてて出し入れされる。

2013-12-25 21:21:35
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

唐突に呼びかけられて足を止める。驚きはしたが、表に出すほどでもない。その声のした方向へ振り返れば、其処にいたのは一人の少女。 「少々道に迷いましてね」 人好きのする笑みを浮かべ穏やかに告げる。あまり見慣れない服装だが、『傲慢』が好む書物の中でなら見たことがある。

2013-12-25 21:32:19
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

確か、極東の国の女学生の服装、だったか。いったい自身の幾つ下だろうか、と考えかけて思考を止める。さして重要なことではない。 それにしても、まさか人がいるとは思わなかった——いいや、先程までは確かに居なかったのだが。まさかまた面倒なことになるのだろうかと零しかけた溜息を飲み込んだ。

2013-12-25 21:33:10
【魔王】 @Tokimine_Seo

「いい年して迷子なわけ?」 は、と鼻で笑う。ちき、とカッターの刃は収めた状態で止めた。 それから改めて、男の姿を上から下までじろじろと不躾に眺め見る。白衣に鞄。ふうん、と小さく声をもらして。 「おにーさん医者なの?」 男の服装から、そうあたりをつけて訊ねてみた。

2013-12-25 21:40:04
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

「ええ、お恥ずかしながら」 穏やかに、そう返す。鼻で笑われることなどはもうずっと前に慣れてしまっていた。 少女の不躾な視線にも男の笑みは崩れず。問いかけにはただ、ゆっくりと頷いて。 「私はハインリヒ・エーベルハルト。しがない町医者です。……貴女は?」

2013-12-25 21:46:53
【魔王】 @Tokimine_Seo

「三目奏子」 ごくごく簡潔に問いに答えてから、少し考えて付け加えた。 「そっちに合わせるならカナコ・ミツメってとこ?」 口調は投げやり、かつぞんざい。再びカッターを出したり収めたりし始める。ちきちきちき、ちきちきちき。 「あのさぁ」 刃を見つめたまま、唐突にぽつりと。

2013-12-25 22:01:21
【魔王】 @Tokimine_Seo

「それ愛想笑い?だったら全然できてないから。きもい」 ちき、刃をほんの少しだけ出して、止める。 意味もなく笑ってる奴がいたら、まず初めに愛想笑いを疑う。そうじゃなかったらそいつは頭がおかしい。その二択。 どちらにせよ、奏子には好ましいものではない。

2013-12-25 22:01:28
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

「ミツメさん、ですね」 目を細める。宜しくだとか、仲良くしようだとか、そんなことは口にしない。出会ってからというもの一度としてカッターから手を離さないミツメには、どちらの言葉も通りそうにない。ならば余計なことは口にしないのが得策だ。

2013-12-25 22:17:27
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

ちきちき、ちきちき。静かな冬の森に、カッターの音がよく響く。その刃の先に意識を留めながら。 「そうですか。不快にさせてしまってすみません」 辛辣な言葉にも、男の笑みが崩れることは無く。声を荒げることも、心を乱すことも無く。ただ静かに言葉を紡いだ。

2013-12-25 22:17:31
【魔王】 @Tokimine_Seo

「……」 胡乱げな目で、ハインリヒと名乗った医者の男を見上げた。相変わらず、気に喰わない笑みは浮かんだままだ。 自分の黒縁眼鏡を取ってレンズを拭き、ふと思い出す。 「……あ。ねえ」 眼鏡をかけ直す。 「あんた、眼鏡持ってない?」 突然すぎる問い。だが奏子は至極真面目だ。

2013-12-26 09:05:46
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

唐突な問いに内心で少々面食らいつつも、ミツメの手元にある黒縁眼鏡を視界に留める。彼女がいったいどういった意図で問うて来ているのかは分からないが。 「いいえ、持っておりませんが……それがどうかなさいましたか?」 嘘を吐くべき話でもないだろうと、正直に述べた。

2013-12-26 09:59:40
【魔王】 @Tokimine_Seo

「医者なんだから持ってるでしょ」 彼の言葉を聞いていなかったかのように、勝手に決めつけ詰め寄る。 「アタシこの眼鏡飽きたんだよね。そろそろ別のが欲しいと思ってたんだけど」 ぢぎぢぎぢぎっ、と勢いよくカッターの刃が引き出される。引き出した刃を、そのまま無造作に突き出した。 「頂戴」

2013-12-26 10:34:41
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

突き出された刃を後ろに飛び退くことで難なく躱す。その瞬間でさえ慌てることなく、穏やかな微笑を浮かべたまま。 「持っておりませんよ。残念ながらね」 理不尽なものだ、と内心で愚痴る。持っていないのに持っていると決め付けて、その上それを頂戴、とは。

2013-12-26 10:59:34
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

無理を通せば道理が引っ込むとでも思っているのだろうか。全くもって理解し難い。どうやらまた人の話を聞かないタイプに遭遇してしまったらしい。つくづく己は運が無い。はてさてどうやって逃げおおせるかと思考を巡らせ、チラリと地面を見遣り。 静かに目を細め、ミツメの次の攻撃に備えた。

2013-12-26 10:59:51
【魔王】 @Tokimine_Seo

「何で持ってないの」 荒げずとも内心の苛つきが滲み出た言葉を吐き、思考はぐるりと巡る。刃物を出しても持ってないと言うなら、本当に持っていないのか。 うーん、と代用を考える。 「んじゃあハサミとかメスとか?とりあえず刃物。ない?」 カッターの薄刃はやはり頼りない。

2013-12-26 11:11:11
【魔王】 @Tokimine_Seo

包丁も持ち合わせているがあれは家庭用だ。脅す材料にはできても「奪う」手段としては信頼性に欠ける。 医者からしか奪えなさそうなものをつらつらと考える。 「あとはぁ、輸血用具?クスリ?金?医療技術?」 退いた分の距離を詰めながら、カッターの薄刃を向けながら、じりじりと近づいていく。

2013-12-26 11:11:17
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

ミツメの言葉には返事をせず、ただ曖昧に微笑む。彼女の医者像が分かった気もするが、とりあえず面倒なことだけが確かなら他はどうでもよかった。 彼女の言う通り、ハサミは有る。だが、メスは無い。そもそも手術用で、滅菌処理が必要なメスを持ち歩く輩は頭がどうかしている。輸血用具も同上。

2013-12-26 12:00:54
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

金と薬と医療技術は渡したくないし三つ目に至っては渡せる物でもない。もしかしたらば、そう言った奪う能力があるのかもしれないが——距離を縮めて来る彼女に警戒しながら、男は考える。 逃げ切ってしまえば無関係だ、と。

2013-12-26 12:03:31
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