- Latina_tan
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「クリストファー・コロンブス」。この名前、皆さんご存知ですね。欧州の白人としては初めてアメリカ大陸に到達した方、と皆さん認識してらっしゃることと思います。
2013-12-29 12:37:24まず彼は通説ではジェノヴァ出身とされます。当時はジェノヴァ共和国ですが、その都市の位置は今でいうイタリアですね。なのでまあ、われわれの感覚からいえば「イタリア人」です。名前もイタリア語表記が存在します。「Cristoforo Colombo クリストフォーロ・コロンボ」。
2013-12-29 12:41:52後に彼はポルトガル・スペインへと移り住み、冒険に出ようとするわけですが…、ちょっと日本人には分かりにくいかもしれないお話をせねばなりません。
2013-12-29 12:43:13彼らは欧州中で、自分たちの言語のお名前でそれぞれに生きていました。領内から出ずに一生を終える多くの人間はそれで良かったのですが、国外に出て、国をまたいで活躍しようという人間は、「ラテン語による名前」も必要でした。
2013-12-29 12:44:38ムリヤリたとえるなら、地元の小学校では「ユタ」「ユタ坊」と呼ばれていた子が、都会の中学に上がるときには「鈴木雄太です」と名乗らなくてはならないようなお話です。 これを言語を超えて行ってました。
2013-12-29 12:47:43ですので、クリストフォーロ君もこれに従いラテン語名を作ります。幸い、「Cristoforo」は元々がギリシャ語・ラテン語を経由してきた名前ですので、そのまんま戻してやれば Christophorus (クリストフォルス)という名前が簡単に出来ます。響きも似てるでしょう。
2013-12-29 12:49:10この名前、「お、前半部分キリストじゃん」と思った方、良いご洞察です。 元はギリシャ語で「キリストを負う者」を意味し、キリストを担いで川を渡った聖クリストフォロスさんに由来しています。聖人由来の名前ですんで、いろんな言語に対応するお名前がありますよー。
2013-12-29 12:52:16姓の Colombo ですが、これも「一目瞭然!」とは行かないまでも、わりあいそのままの形でラテン語に「復元」できるものです。 イタリア語でもラテン語でも「ハト」を意味する単語で、ラテン語形は「columbus(コルンブス)」…はい、皆様お馴染みの語形です。
2013-12-29 12:53:54ですので、各国の有力者に財政援助を頼みにいく彼は、全欧州的には「Christophorus Columbus」(クリーストフォルス・コルンブス)を名乗っていくことになるのでした。
2013-12-29 12:55:16@Latina_tan ラテン語たん! イタリア語のアクセント的には Cristòforo 、t の後の o に強制位置があるので、「クリストーフォロ」さんだと思われます……
2013-12-29 12:55:45そっか、イタリア語だと「クリストーフォロ」ですね…そう、アクセント位置が言語ごとに違うんですよ。ギリシャ語だと「クリーストフォロス」、ラテン語もそれを守って「クリーストポルス」。
2013-12-29 12:59:25あっ、ラテン語だと ph は 「p」扱いしますから、「クリーストポルス Christophorus」ですよね、ごめんなさい。ややこしー。
2013-12-29 13:00:00さて、お名前が二つ出ました、地元用のイタリア語名「Cristoforo Colombo」と、各国営業用の表看板「Christophorus Columbus」。さらにもう一つ加わります、大丈夫ですか。
2013-12-29 13:01:21彼は紆余曲折の末、スペインでようやく援助を取り付けます。この援助を取り付けるまで10年以上もスペインに住んでいますし、スペイン領内ではスペイン語の名前がつきます。それが「Cristóbal Colón」(クリストーバル・コロン)。アクセントで混乱してる私には有難い表記です…
2013-12-29 13:04:44Cristoforo Colombo (生まれ故郷のイタリア語名) Christophorus Columbus (世界に出るためのラテン語名) Cristóbal Colón (冒険の拠点としたスペイン語圏向けの名前) このようにお名前が入り乱れます。
2013-12-29 13:09:43なお、彼は自筆の署名を 「Χpo ferens」としています。前半部分のXはギリシャ語の「Χ(カイ)」、キリストのことですね。「Xmas」と同じ発想です。おそらく「po」はギリシャ語で、「ポ」ではなく「ロ」。「クリストフォーロ」って言いたいんだと思います。
2013-12-29 13:13:12語尾変化が重要になってくる言語では、語尾だけを略記にくっつけるってこと、ありますからね。音楽をたしなまれる方は、Tempo I゜ なんて見たことないですか? あれは primo (第一の)を 1-o と略記したものです。他に「No.」も「Numero」の略記ですね。
2013-12-29 13:14:37コロンブスの自署の後半、ferensのほうはラテン語で、「fero」(運ぶ)の現在分詞、「運んでいる(carrying)」の形です。「キリストを負う者」という名前の意味を意識した署名ですね。語源的にもこのファーとあのファーは一緒ですし。
2013-12-29 13:16:33そうそう、アメリカ大陸といえば、「アメリゴ・ヴェスプッチ」さんってご存知ですか? コロンブスが「あれはインドだった」と主張していたのに対し、彼は「あれはインドではなく、我々の知らなかった新世界だ」と主張した方で、そのお名前は「アメリカ」の由来になっています。
2013-12-29 13:18:44この「アメリゴ」という名前からなんで「アメリ"カ"」になるのかと言いますと…。これもラテン語が絡んできます。「Amerigo」のラテン語形が「Americus」だったからです。
2013-12-29 13:21:43Americus 「アメリゴさんの」 という形容詞が、女性名詞である terra「土地」につくと、terra America 「アメリゴの地」が出来るわけですね。
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