当方は総理大臣が靖国神社に行くことに賛成で、ガイジンがガタガタ抜かすんじゃねえという立場だが、「アメリカ人だって南北戦争の南軍を追悼してるからいいんだ」みたいな擁護は、実は擁護にならんから慎重にやってくれ。この産経コラムは少し危うい。 http://t.co/Ce0gjSHBUF
2013-12-29 10:41:06産経コラムは「アメリカのナショナルカテドラルで南北戦争の南軍の将であるリーとジャクソンが顕彰されてる。これは奴隷制擁護か?」みたいなことを言うが、アレク・スティーブンスやフォレスト将軍みたいなガチな差別派が顕彰されてるならともかく、この2人を奴隷擁護の象徴のように言うと恥かくぞ。
2013-12-29 10:44:56そもリーもジャクソンもバージニア人だろう。サウスカロライナやミシシッピとは違うんだから。南部連合にだって、悩みに悩んで最終局面でやっと加入した州でしょう。あと、リーは個人的にはまったく奴隷制の擁護者ではありません。
2013-12-29 10:48:56"I wish that I owened every slave in the South, for I would free them all to avoid this war." これが南北戦争会戦直前に、後の南軍総司令官、ロバート・E・リーの言ったことですよ。
2013-12-29 10:52:04「南部にいる奴隷すべてを私の所有にできればいいのに。そうすれば戦争を避けるために、彼らをすべて自由人として解放してやれるんだが」(ロバート・エドワード・リー)かあ。この人は本当に能力のない人だったが、本当に「いい人」だったんだなあ。泣けてくるほどに。 #nanboku
2013-12-28 11:14:44リーがこのように、個人的に奴隷制に好感を持っていなかったのはかなり明々白々で、それでも彼が南軍を率いたのは、彼が建国の父、ジョージ・ワシントンと、独立戦争の英雄、“ライトホース・ハリー”・リー将軍の子孫という「バージニアから逃げられない血統」の人だったからというだけの理由ですよ。
2013-12-29 10:56:39「実は奴隷制の理解者ではなかったリーが、その“血の運命”に従って、実は意に沿わぬ南軍の指揮官をやっていた」という事実は、アメリカにおいてあまりにもな「美しき悲劇」として語られてることなわけよ。彼はその意味でほかの南軍の将とは決定的に違い、よって彼への顕彰は奴隷制擁護を意味しない。
2013-12-29 11:01:10ジャクソンは西郷隆盛と桐野利秋みたいに、リーと「セット」で語られる人というだけのことでナショナルカテドラルでの顕彰になっているとは思うんだが、ただ彼はほぼラディカルなまでのキリスト教徒で、制度として奴隷制へ明確に反対してはいなかったが、黒人の教育、福祉に非常に熱心だった人。
2013-12-29 11:07:20ジャクソンは、「黒人に教育は不要」だとされていた当時の南部にあって、黒人への読み書きソロバンを教える日曜学校の普及に、非常に精力的に取り組んでいた人で、少なくとも「奴隷なんてシバキ上げとけ」みたいな意見とは明確に一線を画していた人です。
2013-12-29 11:10:08リー、ジャクソンなんて、日本ではマイナーも極まれりな人だが、アメリカでは豊臣秀吉とか西郷隆盛くらいに有名な人で、当方がつらつら書いてきたようなエピソードの認知度も非常に高い。特にリーとは、まさにただの「反乱軍の将」ではなくて、南北戦争の矛盾、悲劇の体現者でさえあるわけ。
2013-12-29 11:13:57「リー将軍を国立施設で顕彰するアメリカは奴隷制を擁護してる」なんて言説は、アメリカでは笑い話にもならんようなことです。産経は「いや、そういう意見もある」とワシントンポストを引くが、仮にも保守紙がこんな「ポトマック河畔のプラウダ」を参考にするなよ。あそこはそういう新聞なんだよ。
2013-12-29 11:18:41たまに南北戦争関係のこと、要するにアメリカのアイデンティティに関することを呟いて予想外の反応を得ると思うんだが、本当に日本式の「右翼」と、アメリカ式の「右翼」は、概念がもうまったく違う感じになってきてて、面白くもあり、不安でもありなんだな。
2013-12-29 13:40:23日本で「右翼」というと、もう実際には「体制擁護派」「軍拡タカ派」みたいになってきているけれども、「アメリカン右翼」というのは、要するに「国家・政府なんてのは基本的にろくでもないもので、必要悪の一種でさえあり、放っておくと何をやらかすか分からん」という思想なわけだからね。
2013-12-29 13:43:44「小さな政府」の象徴たる「夜警国家」なんて言葉があるが、アメリカン右翼式に言えば「軍隊? 市民の武装権を認めて、いざとなればその自衛団で対応すりゃいい。警察? 村の顔役のオヤジをシェリフに任命して、あと村落共同体内の相互監視で治安を守る」ってな感じで、「夜警」さえいらないんだな。
2013-12-29 13:47:38だから冗談でも何でもなく、「日本の右翼的勢力」が、「強い国家を!」式のことを延々連呼していくと、アメリカン右翼側からは「日本には左翼勢力がはびこってるのか?」という疑念と不安を持たれるということが起こりえる、いや、もはや起きてるのかもしれんのだよ。
2013-12-29 13:51:57何かアメリカには、やたら日本の国益を擁護してくれる「テキサス親父」という人がいるらしいが、当方もアメリカン右翼思想を日本で伝道する「江戸川区オヤジ」でも名乗って活動しようかなあ。
2013-12-29 13:54:39(A級戦犯のいる)靖国参拝と、(南軍兵のいる)米アーリントン参拝は同じなのかという件につき、どうも予想外の反応をいただいたから、先日も言ったことだけど再掲しましょう。
2013-12-29 19:13:04「南北戦争の南軍兵が眠るアーリントンに参拝しても、米国で奴隷制擁護派と思われることはない」というのは、ほんのここ数十年くらいの話でしかない。1865年に南北戦争が終わり、その従軍者が生きてた時代までは、アーリントンの南軍墓地にわざわざ詣でれば差別論者扱いを受けることもありました。
2013-12-29 19:16:27元逃亡奴隷の黒人解放運動家でリンカーンの友人、支持者だったF・ダグラスは「自由のために戦った兵士と、奴隷制のために戦った兵士の命の価値は平等ではない」と言い切り、南軍兵の国家的追悼は不要であると主張してました。そういう意見を薄めたのは、ただ150年という時間経過のおかげのみです。
2013-12-29 19:19:26「戦死した兵士の魂には平等に敬意を捧げるべきだ」というのは、靖国を始め、戦没者追悼施設を語る時に必ず言われることだが、当方は人間ができてないからか、「その戦死者が何のために戦ったかで、命の価値は上下する」というダグラスの言葉には、異様な迫力と説得力を感じでしまいます。
2013-12-29 19:29:34南北戦争の将兵って、「奴隷制の賛否」で北か南かに分かれたわけじゃないからねぇ。「郷土の州を守り隊」で集まった人ばっかり。奴隷制が南北戦争の重要な論点であったことは確かだけどさ。
2013-12-29 11:27:38アメリカ南北戦争の話に戻ろう。ウィキペディアには「アメリカ南北戦争の原因」という記事が英語版にも日本語版にもあって、それがまたうんざりするような文章量なのが一端を示しているように、「それを語るにはまず合衆国の成立から語らねばならぬ」状態なほど、南北戦争の起源は複雑
2013-12-29 12:52:44戊辰戦争の原因を語るに江戸幕府の成立、少なくとも関ヶ原の戦いから語らねばならぬ……っていうのと似てるような、つーかそれ「風雲児たち」だ
2013-12-29 12:54:17そうなんだよ。リーを「奴隷制を守るために戦った南軍のロバート・E・リー」と呼ぶ産経のコラムは、それまでハハハアイドンノーアイドンノーと陽気に笑っていたアメリカ人をして一瞬にして真顔に戻らせ、「おい……お前は、今、言っちゃなんねえ事を言ったな」って日本語で喋らせる力を持ってるんだよ
2013-12-29 18:57:14