ミストルティン編外伝:『ロストアロー』

リファイン版: http://seimunoyakata.blog81.fc2.com/blog-entry-199.html エバー・ラスティング・アロー ミストルティン編 まとめ 続きを読む
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2013-12-31 23:59:17
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警告:この■■は■■されています。

2013-12-31 23:59:54
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2014-01-01 00:00:07
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「おやすみ、■■」 「良い年をな」 「うん。お休み。父さん。母さん」 「おやすみなさい!■■■■!」 「うん。おやすみ▲▲」 「初詣は10時だからね!ちゃんと支度しておいてね!」 「……おやすみ。良い年を」 1

2014-01-01 00:02:51
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―それが少年と家族との、最後の会話となった。 2

2014-01-01 00:03:08
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西暦●●●●年、1月1日。 世界は、一度終わった。 3

2014-01-01 00:03:35
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ミストルティン編・外伝 『ロスト・アロー』

2014-01-01 00:03:48
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■■は…少年はベッドから身を起こした。 話には聞いていたが、形容し難い感覚だった。怖い、というよりは悲しいと言うべきか…ともかく、その感覚で仮眠から目を覚ました。 世界が終わる…止まることは分かっていた。だが打てる手は既に打っており、特にすることも無かったのだ。

2014-01-01 00:09:38
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少年が手に入れてきた●●の『枝』はこの世界に定着し、その役目を果たし、結果として世界は停まるだけで済んだ。 そうでなければ本当に終わっていた。 厳密に言えば時間が停止した、というのも正確な表現では無い。この今…●●●●年1月1日●時●分●秒より先の未来はもう存在しない。

2014-01-01 00:15:05
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あの■■■■■はこの世界に侵入し食い荒らし犯し腐らせ滅ぼし消滅させ、未来側から過去側へと侵食してきた。 この世界を樹木に例えるなら、未来へと延びゆく枝の先から喰われてきて、今も齧られ続けている。 『枝』により『ここ』までしか進めないだけだ。

2014-01-01 00:20:05
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アレは■■■■■の中でも停まった時の中では動けないタイプである。そうと分かっていたから、使えた手であるし、この手が使える相手からこそ侵入を許してしまった。 …何にせよアレを消さない限り未来は戻らない。 それは少年の役目だ。

2014-01-01 00:25:05
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●●●●●●●にアレを排除する力は無い。元より毒を以て毒を制する様なモノだ。アレを排除すれば今度は『枝』が猛毒として作用する。 『枝』を託した●●●には申し開きもない。背負えるものなら自分で背負いたかった。今は■い■がいずれ、●●●を■■してくれることを願うばかりだ。

2014-01-01 00:30:05
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だからこそ、自分がアレを確実に倒す。せめてばかりの償いであり、義務であり、使命であり、宿命である。誰かに強制されたのでは無い。自分が選ばねば、誰かに押し付けることにはなっただろうが…それでも自分の選択である。『枝』を背負えぬのなら、こちらを背負うまでだ。

2014-01-01 00:32:05
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2014-01-01 00:33:05
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机を開ける。お気に入りの本や文房具、ハンカチ、ナイフ、懐中電灯、縄……幸い収納スペースには余裕がある。携帯異空間たる『匣』に次々放り込む。 空っぽの部屋の中に残ったのは机、ベッド、壁掛け時計、図鑑、写真立て。 写真立てを手に取り、写真だけを抜くか少し迷ってから、そのまま仕舞った。

2014-01-01 00:35:17
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机とベッドは残す。愛着はあるが使い道が無い。何より2つ合わせて父の給料一月分はする筈だ。弟に残すべきだろう。 図鑑や時計も同様である。『カード』で軽く触れ、自分との『縁』を切る。細かい傷や書き込みが消えていく、どの道、後で自動的に切れる筈であるが、それを任意で行う。

2014-01-01 00:45:05
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まず大丈夫だとは思うが、念の為だ。自分の痕跡には消えて貰わねば困るが、自動的な消滅では机ごと消滅する危険もある。処理を終えると、部屋を出る。二度と開けることの無いドアをそっと閉めた。意外と寂しさは無かった。所持品の大半を持ち出したせいか、それとも前々からの覚悟の為だろうか。

2014-01-01 00:55:05
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隣の部屋のドアを開ける。 ベッドの側にかがみ込み、布団を軽く捲る。年の離れた妹の寝顔。妹だというのに、お姉さん風を吹かせようとするのが可愛らしい少女だ。 大切な妹。 でももう逢えない。二度と逢えない。 その頬に手を延ばしてみようとして、止めた。 しばらく、無言で妹の顔を見つめた

2014-01-01 01:05:26
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…そもそも彼は何故停まった時の中を動けるのか?音や光すら停まっているのに、どうして周囲を認識出来るのか? それは彼の中を流れる時間が"自前"であるからだ。普段、世界に流れている時間とは別物にして同質。移動や認識の際には、周囲にその時間を分け与えて干渉を可能にしているのだ。

2014-01-01 01:10:05
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しかし少年は未だ未熟。目の前の妹に触れることは出来るが、加減を間違い、彼女の意識まで動かす危険がある。 彼女には停まっているうちに兄のことを忘れて貰わねばならない。 何より、一瞬でも起きてしまわれたら…別れが辛くなるだけだ。

2014-01-01 01:15:05
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「さよなら、■■。みんなと仲良くね。僕の分も■■に優しくしてやってね」 手で触れる代わりに、別れの言葉を告げる。 後ろを向きドアを開ける。振り向きたい気持ちを堪え、後ろ手で、ゆっくりと、閉めた。 一階に降りる階段の途中で、視界が曇る。 その場で暫くの間、泣いた。

2014-01-01 01:20:05
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…一階。居間。 両親の寝室から持ち出したアルバムを拡げる。放置すれば写真から自分だけが消滅し、不自然極まりない形になりかねない。アルバム自体を廃棄する訳にも行かない。そこで同じメーカー・同じ型番のアルバムを前もって用意しておいた。順番に新しい物に差し替えていく。

2014-01-01 01:50:46
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少年にとって、幸い、だったのは両親が写真を切り抜くなどのアート的作業を好んでいたことと、ロングセラーのアルバムで種類が統一されていたことだ。自分の映る部分を切り抜いても不自然になりにくく、代わりを探すのも楽だった。ただし量がとてつもなく、写真の横に書きこみも多かった。

2014-01-01 01:55:05
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彼にとって筆跡を真似るのは容易であり、事前に用意した数種のペンで両親の筆跡を寸分違わずコピーしていく。文面は自分の存在を消した上で、「新しい記憶」との矛盾が無いよう曖昧な文言に一部変えた。事前に文面を考え、旅立ちの決意後は写真に取られない様にも配慮していたが、大変な作業である。

2014-01-01 02:00:05
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