「きゃあああああ!?」 山城!!? 「くっ……各艦、私を顧みず前進して……敵を撃滅して下さぁぁぁい!!」 山城……わかった、最上、行くよ……!!
2014-01-03 02:34:37「姉様!!姉様どこ!?返事をして!? ……きっと姉様も戦ってる……!!旗艦の私が、諦めるわけにはいかな い……!!」
2014-01-03 02:37:49「ぐっ……まだ……まだよ……私は、超弩級戦艦……扶桑型の二番艦……西村艦隊の旗艦……山城!! 絶対に、沈まない!!」 山城……駄目だ……これ以上は……
2014-01-03 02:41:14「あ……!?」 布団から飛び起きる。僕は……自分の部屋にいた。 「夢……」 大量の汗をかいていた。寝間着が身体に張り付いて気持ちが悪い。 横を見ると夕立がすうすうと寝息を立てて眠っている。 「夢……か……」
2014-01-03 02:54:30「……喉、乾いたな……」 僕は羽織ものを着て食堂へ向かった。汗が乾いてきたせいか、廊下の空気が一層冷たく感じる。 「何か温かいものを飲みたいな……」
2014-01-03 02:57:42「……あれ?」 僕の足は食堂を通り過ぎ、ある部屋の前で止まっていた。 「……」 じっと扉を見つめる。……ここは、扶桑と山城の部屋だった。 「……何で、僕……」
2014-01-03 03:00:14さっきのは夢だ。僕達は艦娘として生まれ変わり、再会したんだ。皆、ここにいる。それが僕のいる現実…そう自分に言い聞かせる。 「……」 実はそれこそが夢で、本当は皆は海に沈んだままなんじゃないか?…そんな考えが頭を過ぎった。 「…違う…そんなはずない…」 僕は扉に手をかけた。
2014-01-03 03:03:13鍵は開いていた。 …何で?二人は今ここで寝てるはずじゃ…?嫌な予感が頭の中で存在感を増していく。 部屋は真っ暗だった。僕はその中へ足を踏み入れる。畳を踏みしめる音が部屋に響いた。 「え…?」 僕は震える手で部屋の電気を点けた。現実が、目の前に広がる。 「誰もいない……」
2014-01-03 03:06:51布団は敷かれていなかった。部屋には扶桑と山城の私物が置いてあったが、綺麗に整頓されていて、少なくとも数時間前までここに誰かいた様子はなかった。 「扶桑……? 山城……?」 返事はない。冬の冷たい空気が、部屋を支配していた。
2014-01-03 03:10:02初夢は正夢になる。そんな言葉が頭を過った。僕の背筋に冷たいものが走る。 「え……? 嘘……嘘だよね……?」 僕は足の力が抜け、その場に座り込んでしまった。 「扶桑……山城……何処……?」
2014-01-03 03:13:17目から涙が溢れ出た。 そうだ…きっとあの時、見ているだけしか出来ずに、一人だけ逃げ出した僕に罰が当たったんだ…。そうだよね…そんな僕が皆とまた一緒に戦えるなんて、皆と一緒の時を過ごせるなんて、虫が良すぎるよね…許されるはずないよね… 誰もいない部屋で、僕はひとりで泣き続けた。
2014-01-03 03:17:45「……え?」 おそるおそる後ろを振り向くと……扶桑と山城が立っていた。 僕はふたりの顔を見た瞬間、取り巻いていた不安が一気に流れ出た。そして、それはさらなる涙となって溢れていった。 「時雨?どうしたの……大丈夫?」
2014-01-03 03:34:04