茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1133回【ポピュラーと、深み】連続ツイート
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連続ツイート第1133回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今朝なんとはなしに考えていたこと。
2014-01-04 08:49:33ぽふ(1)ウィーンフィルのニューイヤーコンサートは、一度も行ったことないけど、テレビではよく見ている。それで、見る度に思うのは、ウィーンフィルは、あのコンサートを、どんな気持ちで弾いているのかなということと、聴衆は、どんな気持ちで聞いているんだろう、ということ。
2014-01-04 08:51:10ぽふ(2)ニューイヤーコンサートで取り上げられる曲は、どれも、正直言って微妙な曲ばかりだ。気楽に聴くにはいいけれども、クラシック音楽の歴史の中で、金字塔的なものか、と言えば???がつく。あの場は、そういう軽めの音楽を、ウィーンフィルが弾くという微妙なバランスによって成り立っている
2014-01-04 08:52:51ぽふ(3)ウィーンフィルが、シュターツオパーのピットに入って例えば『ナクソス島のアリアドネ』(なぜか@Poyo_Fと一緒に聴いた演目)を弾いている時間と、ニューイヤーコンサートで軽めの曲(ラデツキー行進曲とか)を弾いている時間を、つい比べてしまうのだ。どっちもやるのが偉い。
2014-01-04 08:54:32ぽふ(4)ポピュラーと深み、ということを時々考えてしまう。この連ツイを書きながら、ベルリンフィルの「ヨーロッパコンサート」というのをyoutubeで聴いている。こっちは、ニューイヤーコンサートに比べると「本格的」な選曲であり、指揮者はあのもじゃもじゃサイモン・ラトルである。
2014-01-04 08:57:43ぽふ(5)しかし、「本格的」と言っても、やっぱりポピュラーと言えばポピュラーなのであって、同じサイモンラトルでも、ベルリンに行く前、バーミンガムで振っていた頃につくったBBCのドキュメンタリーシリーズ「Leaving Home」なんかを思い出してしまう。これは良かった。
2014-01-04 08:59:01ぽふ(6)Leaving Homeは、ラトルが案内役となって、あまり普段聴かれることのない20世紀の現代音楽の歴史をふり返るもので、この時に挿入されていたメシアンの「トゥーランガリア交響曲」の演奏や映像なんか、忘れられないけど(おそらくyoutubeに前シリーズあるんじゃないか)
2014-01-04 09:00:09ぽふ(7)「トゥーランガリア交響曲」なんかが、演奏される機会はぐっと少ない。ポピュラーと深みの関係って何なんだろうと、考えてしまうわけだ。しかし、もちろん、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートで、トゥーランガリア交響曲をやるわけにはいかないのも、理屈としてわかる。
2014-01-04 09:01:34ぽふ(8)結局、ポピュラーなものと、深いものの関係は、深いものへもスペクトラムを延ばしうる人がポピュラーなものを作る時に、最良になるように思う。日テレの「笑点」に出ている落語家さんが、古典にしろ新作にしろ、きっちりと一席をやり遂げることが一つの矜持であるように。
2014-01-04 09:02:47ぽふ(9)テレビなどのメディアは、結局ポピュラーなものに偏りがちだから、自分でオタクになってどんな分野でも深掘りするしかない。その分野のオタクになって、マイナーなものも抑えて、という人が本当のポピュラーを作れるのだろう。そんなことを、ラトルのもじゃもじゃを見ながら思った朝。
2014-01-04 09:04:12