茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第1136回「ある、テレビマンの肖像」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第１１３６回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今朝思ったこと。

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あて（１）有吉伸人さん（@nobip14 ）のツイッターの更新がしばらく止まっていたな、と思ったら、年明けに連絡が来て、久しぶりに『プロフェッショナル　仕事の流儀』の番組を一本つくったのだという。有吉さんがつくった義肢装具士、林伸太郎さんの回を途中まで見たところで書いている。

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あて（２）林伸太郎さんがつくる義肢は、ほんものと見まごうほどで、それを支える職人技は入魂の白熱。この編集を、有吉さんが例によって編集室に籠もって、ディレクターや編集の人とわいわいいいながらやっていたのか、と思うと、なんだか胸が熱くなった。

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あて（３）有吉伸人さんは京都大学在学中、演劇集団卒塔婆小町で活躍、ＮＨＫに入った。ＮＨＫの入局試験で、和文英訳で「焼き鳥」という単語を「firebird」と訳して見事合格したという、伝説の持ち主である。プロフェッショナルの公式ツイッターが @nhk_proffとなっているのも

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あて（４）有吉伸人さんが、「プロフェッショナル」の英語の綴りには、ｆが二つあると勘違いして登録してしまったから。だから、公式アカウントは今でもｆが二つある。もっとも、有吉さんは、「あれは、フォルティッシモだから、ｆが二つあるんだ！」と強弁してごまかしている。

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あて（５）その有吉伸人さんは、『プロジェクトＸ』にもかかわり、その後『プロフェッショナル　仕事の流儀』の立ち上げ、そして初代チーフプロデューサーとなった。私がかかわった４年３ヶ月の間に、有吉伸人さんに、テレビマンとは何か、という魂のようなものを教えていただいたように思う。

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あて（６）地上波テレビは、お茶の間で気楽に見るものだが、つくる方はいろいろなことを考えてつくっているもので、逆に言えばそれだけ考えて、手間暇をかけてつくっているから、見る方は気楽に見流すことができる、ということを、有吉伸人さんの入魂制作で教えてもらったような気がする。

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あて（７）今回の放送で言えば、東北からいらした依頼者の方が、子どもの頃に事故でなくした指を、林伸太郎さんが何度も手直ししながらつくっていく。そのプロセスを視聴者に伝わるように工夫して編集しているところが、何とも有吉さん的だった。依頼者が席に座るショットを敢えて何度も映すことで、

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あて（８）時の流れの重なりを示す。もっとも、こういうことを書くと、有吉伸人さんは、「茂木くん、ちみい、まだまだわかっていないね」と言うに違いないのだ。いずれにせよ、もし有吉伸人さんとの出会いがなかったら、ぼくは、テレビ番組制作の裏の職人魂に、触れることがなかったかもしれない。

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あて（９）いずれにせよ、有吉伸人さんが久しぶりにつくった『プロフェッショナル』を、私は、親しい人からとどいた手紙のように見る。また、きっと、ここで３フレーム切れとか、ここの音の入りをもう少し早くしろとか、そういう超絶的な編集をしているのだろうな、と思いながら。

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以上、連続ツイート第１１３６回「ある、テレビマンの肖像」でした。