ゾーニング・ゼロ 第三話「OTOKO Hunter」
- mushi_nohito
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ニコニコ・ロード、第一区画。重金属の雨がしとどと降り注ぎ、薄汚れたGINZAの壁は口汚いスラングと映像寄与者を称賛する言葉のグラフィティで溢れかえっていた。 #zoning_zero
2014-01-06 16:44:25路上ではスターの地位を夢見た若者達が、重金属耐性のコートを着込んでうろつきながら、街角のカメラアイに目を光らせている。カメラの向こうでは、町の住人達が刺激のある映像を待っているのだ。そこへオトコが一人、カメラの前に歩み寄る。 #zoning_zero
2014-01-06 16:44:39カメラアイを見つめながらジエニートは考え事をしていた。「どうすればスターの地位が手に入るのだ?」彼もまた夢を見てこの街に辿り着いた者だった。スターの地位を夢見て浮浪者となり、すでに数年が経過していた。焦っているのだ。 #zoning_zero
2014-01-06 16:44:53視聴者は過激な映像を求めている。自分がそれを提供できれば、きっとスターの地位を手に入れる事ができるだろう。しかし、彼には到底刺激のある映像を作り出す才能はない。その時、背後からジエニートに何者かが声を掛けた。 #zoning_zero
2014-01-06 16:45:02突然の声をかけられた事に驚き、ジエニートが振り返る。そこには可愛らしい少女が立っていた。「ドーモ、ジエニート=サン。ミーハです。」少女が手を合わせてアイサツをする。ジエニートも戸惑いながらアイサツを返した。「ドーモ、ミーハ=サン。ジエニートです」 #zoning_zero
2014-01-06 16:45:28「いい映像が欲しいんでしょう?」ミーハと名乗る少女は微笑むと、ジエニートを路地裏へと手招いた。その仕草は挑発的で、オイランのような淫靡なアトモスフィアを漂わせ、ジエニートは思わず息を飲む。「あなたが欲しい刺激をあげるわ」少女の言葉に鼓動が早まった。 #zoning_zero
2014-01-06 16:46:152人はカメラアイの光る大通りを抜け、路地裏の寂れたゴミ捨て場にやってきた。非合法の基盤回路が無造作に捨てられ、周囲には雨でスパークしたのか焦げた臭いが立ち込めている。古い電子部品の山の中に沈み込むように、不衛生なタタミが敷かれていた。 #zoning_zero
2014-01-06 16:46:31ミーハはタタミに腰を掛け、ジエニートを手招きする。「一緒に楽しみましょう。アカチャン・・・」少女はどこから持ってきたのか、カメラアイを取り出すと電子部品の山に設置した。バストは豊満であった。 #zoning_zero
2014-01-06 16:46:40「刺激的だ」ジエニートが鼻息を荒くして興奮しながら、ミーハに近づいていく。しかし彼は浅はかだった。ここはゾーニングの外側なのだ。食うか食われるかがチャメシ・インシデントの世界! #zoning_zero
2014-01-06 16:46:50ジエニートの手がミーハの奥ゆかしい肉体に触れようとした瞬間、少女の肉体から奇妙な紫色の光が溢れ出た。「まさか!」ジエニートが素早く少女から離れた。「うふふ、残念だわ」ミーハは不気味な笑いを浮かべて立ち上がる。 #zoning_zero
2014-01-06 16:47:00身構えるジエニートをあざ笑うように、ミーハは肉体から出る紫のエネルギー体を操る。「もう逃げ道はない」少女の体から溢れるエネルギー、疑似オトコソウルは小さな玉となり、出口を塞いだ。 #zoning_zero
2014-01-06 16:47:18「その小さな玉がお前のジツか!」ジエニートも負けじとオトコソウルを噴出する。青い色のエネルギー体が彼の全身から溢れ、巨大なオバケめいた形になる。「そんなカラテで俺に勝てるか!サンズ・リバーを渡るがいい!」 #zoning_zero
2014-01-06 16:47:27ジエニートのオトコソウルが巨大な腕を振りおろし、ミーハに襲い掛かった!しかしそれを間一髪でかわすと、今度はミーハが無数のエネルギー玉を発射する! #zoning_zero
2014-01-06 16:47:36「ヤバレカバレか!」ジエニートのオトコソウルが玉を平手で叩き落とした!玉が当たった手の平から煙が立ち上るが、効いている様子はない。強烈な張り手!ワザマエ! #zoning_zero
2014-01-06 16:48:03しかしミーハはそれを気にもせず、再び小さなエネルギー玉を繰り出した。「効かん!」何発かジエニートのオトコソウルに命中するが、大半は強烈な張り手で叩き落してしまう! #zoning_zero
2014-01-06 16:48:13「ハイクを詠め、ミーハ=サン!」ジエニートが笑いながら身構える。再びミーハがエネルギー玉を、さらに多く繰り出した。「イヤーッ!」ジエニートが叩き落そうと張り手を放つ! #zoning_zero
2014-01-06 16:48:38「グワーッ!」苦痛の悲鳴を挙げたのはジエニートだった。張り手はエネルギー玉を叩き落したが、落としきれない無数の玉がジエニートのオトコソウルを直撃したのだ! #zoning_zero
2014-01-06 16:48:48一つ一つは小さなエネルギーだが、何十、何百、何千と撃ち込まれれば、川の流れに巻き込まれるように成す術もない。これがミーハ=リアージュのダンマク・ジツ「デス・イナゴ」だった!タツジン! #zoning_zero
2014-01-06 16:49:10オトコソウルにデス・イナゴを受けたジエニートは、低い声で呻きながらその場に倒れ込んだ。オトコソウルが傷を受ければ、ジツを使った者も同じように傷つくのだ。無数の玉の衝突で顔や体中を打撲し、ジエニートは苦しみもがいていた。 #zoning_zero
2014-01-07 12:34:35「オトコ死すべし、慈悲はない」ミーハは今にも気絶してしまいそうなジエニートに、冷たい声で宣言した。「ナムサン!」恐ろしい数のエネルギー玉が襲い掛かった。冷たいコンクリートに横たわりながら、ジエニートは失禁した。 #zoning_zero
2014-01-07 12:34:48エネルギー玉の小さな竜巻に巻き込まれたジエニートの体が、残酷なまでに傷つけられ、地面に叩きつけられた。「サヨナラ!」最後の言葉を遺すと、ジエニートの体は発光して膨れ上がり、爆発四散した。これがBlを受けオトコソウルを破壊された者の末路だ。 #zoning_zero
2014-01-07 12:34:59「ありがたく頂くわ」ミーハの体へと、ジエニートの体を爆発四散させて溢れ出たエネルギーが流れ込む。Bl能力者はこうしてオトコを襲い、オトコソウルからエネルギーを吸収する事で活動しているのだ。 #zoning_zero
2014-01-07 12:35:09ジエニートから四散したエネルギーを全て吸い取ると、ミーハは気持ち良さそうに体を伸ばした。彼女にとってオトコ狩りは、猫が獲物をいたぶってから食べるようなものだ。オトコ狩りは楽しいアクティビティなのである。 #zoning_zero
2014-01-07 12:35:32