統合失調症と入院治療

心理学たん @psycho_tan

今日は、長くなりそうだからもう始めるわね。統合失調症を例に挙げて、精神保健福祉法を主軸に主に医療面・制度面における治療について紹介しようと思っているわ。今まで私は心理の側面からPTSDには認知行動療法が有効で、神経症には森田療法が有効だって話をしてきたわね。覚えているかしら？

心理学たん @psycho_tan

でも、実際は多くの場合服薬治療と平行に行われることが多いわ。精神科で使用される薬は、まとめて向精神薬といわれるわ。統合失調症の治療に用いられる抗精神病薬と名前は似ているけど、間違えないようにしてね。

心理学たん @psycho_tan

向精神薬は、①抗精神病薬、➁抗うつ薬、③気分安定薬（双極性障害の躁状態やうつ状態の治療に用いる）、④抗不安薬（不安障害や強迫性障害に用いる）、⑤睡眠薬、⑥精神刺激薬（覚醒作用を持ち、ナルコレプシーの治療に用いる）、⑦抗てんかん薬、⑧抗認知症薬に分類されるわ。

心理学たん @psycho_tan

ただ、あとで詳細は説明するけど精神疾患の場合自分が病気であることに気付いていない（これを病識がないというわ）ことがあり、服薬を勝手に中断してしまう人がいるの。

心理学たん @psycho_tan

みんなも、体調悪くないのに医者から「あなたは重大な病気なので、薬を飲んで下さい」って言われても、納得しないと飲まないわよね。また、精神科で使う薬は副作用が強い場合が多く、抗うつ薬の場合起立性低血圧（めまいや立ちくらみ）口渇などの副作用があるわ。

心理学たん @psycho_tan

この様な理由から、服薬治療と同時に心理療法を用いることが多いのよ。その方が、服薬だけの人より治療を途中でやめてしまう人が少ないという調査結果もあるわ。

心理学たん @psycho_tan

さて、では具体的な制度の話に入る前に統合失調症について解説しておくわね。この病気は2002年までは精神分裂病と呼ばれていたものよ。

心理学たん @psycho_tan

統合失調症の症状といえば妄想と幻覚が有名よね。妄想は、現実的でない信念の事よ。一般的に、訂正不可能で周りの人に否定されてもそれが妄想であるとは気づかないわ。統合失調症の妄想としては、誰かが自分の悪口を言っているといった被害妄想や自分は天皇の息子だという誇大妄想が多いわね。

心理学たん @psycho_tan

妄想は主観的なもので、本人は自分が妄想を見ているという意識はなく妄想の中身もその方にとっては現実なの。その為、統合失調症の人の場合自分が病気で妄想を見ているという意識はないわ。

心理学たん @psycho_tan

うつ病でも妄想が見られる場合があってその場合は、自分は罪深い人間だと思い込む罪業妄想や自分は病気だと思い込む心気妄想、自分は貧乏だと思い込む貧困妄想などがあるわ。合わせて覚えておいてね。

心理学たん @psycho_tan

統合失調症には、妄想によく似た症状もいくつかあるのよ。考想伝播といって、自分の頭の中の考えが他人に伝わってしまっているのではないかと考える妄想や、考想吹入という他人の考えが自分の中に入れられるという妄想があるわ。

心理学たん @psycho_tan

また、他人に自分の考えを盗まれるように感じる（考想奪取）。自分の行動は、他人にさせられているものだという感じることなどがあるわ（させられ体験）。

心理学たん @psycho_tan

幻覚は、他の精神疾患よりも顕著に出ることが特徴ね。統合失調症では、幻視よりも幻聴が多いわ。幻聴の種類としては、自分の考えが他人の声のように聞こえてくるもの（考想化声）や自分に対する悪口が聞こえてくるものなどがあるわ。

心理学たん @psycho_tan

解体的な思考っていうのは、系統だって話をすることができない症状よ。私は男だから異星人だ、といったように本人は論理的に話しているようで聞き手には理解できない思考を持つわ。重度化すると、無意味な言葉が並ぶ言葉のサラダと呼ばれる状態になるわ。

心理学たん @psycho_tan

陰性症状として、意欲の喪失、非社交性、感情の表出の欠如（感情の平板化）が起るわ。 ここまでの統合失調症の主な症状を表1にまとめるわ。 http://t.co/flC5d5qOXr

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心理学たん @psycho_tan

この内陰性症状は治療後も長い間続くのよ。統合失調症の本質は陰性症状にあると言ってもいいかもしれないわね。

心理学たん @psycho_tan

統合失調症には３つのタイプがあるわ。1つ目は、主に思春期頃に発症する破瓜型よ。陰性症状が主となっており、解体した思考が見られるわ。また、このタイプは慢性化しやすく予後不良になりがちよ。

心理学たん @psycho_tan

2つ目は、緊張型といって20歳前後に発症しカタレプシー（奇妙な姿勢で止まってしまう）や激しい興奮状態を主症状とするわ。一般的な予後は良い方よ。3つ目は、妄想型で30歳前後に急性発症するわ。妄想や幻覚が主症状で、社会生活には問題ないけど対人関係に問題を生じやすいわ。

心理学たん @psycho_tan

ただ、いずれのタイプにしても今日においては効果的な薬が出ているためきちんと治療をすれば病状を安定させることは可能よ。

心理学たん @psycho_tan

統合失調症が発症するメカニズムとしてはストレス―脆弱性モデルが有力視されているわ。これは、生まれ持ったストレスへの脆弱さと外因的なストレスの強さが合わさって統合失調症を発症させるという考えよ。

心理学たん @psycho_tan

双生児研究によれば一卵性双生児の方が二卵性双生児より一人が発症しているともう一人も発症する確率が増加することが示されているわ。これによって、遺伝的な要因が発症に関わっていると考えられるわ。もちろん、社会的要因はすべて同じではないから必ず2人とも発症するわけではないけどね。

心理学たん @psycho_tan

生理学的な原因としては、ドーパミン仮説が有力視されているわ。ドーパミンっていうのは、神経伝達物質の1つよ。統合失調症の人は、これが過剰に分泌されていると考えられているわ。そのため、統合失調症の薬物療法としてはドーパミン受容体をブロックする抗精神病薬を用いるわ。

心理学たん @psycho_tan

薬を服用することで症状をかなり抑えることができるわ。ただ、ストレスに対する脆弱性が治るわけではなく服薬を止めると高確率で再発してしまうわ。統合失調症の治療では症状を抑え、社会復帰することを目指すわ。