ゾーニング・ゼロ 第四話「Z CLEAN Project」
- mushi_nohito
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「またオトコが一人殺されました」無機質な電子機器に囲まれた研究室の中、一人機械を操作している研究者に、自警団のオトコが声を掛けた。研究者のオトコは振り返りもせずに答える。「わざわざ報告する必要はない」 #zoning_zero
2014-01-15 17:29:06ここはゾーニングの壁の中にある、第八研究施設。オトコとオンナの中に潜む能力者について、日夜研究を行っているのだ。そして彼こそがゾーニングの壁を作り出した科学者、バリー=ゾーゴン博士である。 #zoning_zero
2014-01-15 17:29:49「しかし、これで今月に入って9人目です。しかも犯人はBl能力者ですよ」自警団のオトコが苦い顔をして、怒りをあらわにする。彼もまた、Bl能力者に家族と住む場所を奪われた一人だった。 #zoning_zero
2014-01-15 17:30:00「ゾーニングの壁を越えた者であれば、即座に排除して構わん。それ以外は手を出すな」バリーは静かな口調で自警団のオトコを諭した。「君は確か、オトコノコ氏と同じショネンシーの出身だったな。気持ちは分かるぞ、シルバ=ソウル」 #zoning_zero
2014-01-15 17:30:15シルバの住むショネンシーは大きく豊かな港町だった。しかしジャンプBl事件後、この町に隠れ潜んでいたBl能力者達により支配されたのだ。抵抗する者は容赦なく処刑された。 #zoning_zero
2014-01-15 17:30:24ゾーニングによる隔離がされた今でも、その爪痕は酷く残っている上、Bl能力者がどこに潜んでいるのか分からない為、町は過疎化が進んでいるのだった。あの豊かな港町に戻る事は、もうないかもしれない。 #zoning_zero
2014-01-15 17:30:34「しかし、個人的な恨みで動くな。あくまでも自浄作用に任せねばならん」バリーの言葉に、シルバは悔しそうに奥歯を噛みしめる。「・・・ゾーニング・クリーン・プロジェクトの為ですか」バリーはシルバの言葉に無言で頷いた。 #zoning_zero
2014-01-15 17:31:03Bl能力による更なる被害と民衆同士の抗争を目の当たりにした政府は、異能力者を隔離する為、バリー博士にスゴイ級の高さを持つ隔離防壁『ゾーニング』を作らせた。しかしバリーには政府の意図とは別に、もう一つの計画があったのだ。 #zoning_zero
2014-01-15 17:31:38ゾーニングにより隔離した事で、異能力者だけのコミュニティーを作らせた。いくら異能力者とはいえ生き物、奪い合うだけでは生き延びられはしない。資源などすぐに枯れ果ててしまう。好き放題暴れていけば、最後には自分達の首を絞め殺すのだ。 #zoning_zero
2014-01-15 17:32:26コミュニティーを存続させるには、奪い合うのではなく、施し合わなければならない。異能力者達が自分で荒らし枯れた土地の中で、それに気付く事ができれば、このマッポーめいた世界をもう一度やり直す事ができる。それがゾーニング・クリーン・プロジェクトだ。 #zoning_zero
2014-01-15 17:32:39「無駄な努力では?」シルバはバリーに強い口調で訴えた。「Bl能力者はオトコからエネルギーを奪わなければ活動できない。ライオンに狩りをやめさせられますか?それともオトコの生贄を用意するのですか?」 #zoning_zero
2014-01-17 18:17:09「そんな必要はない」バリーは目の前の巨大なスクリーンに、研究のデータを映した。「これを見ろ。研究の結果、Bl能力者は能力を使わなければ、オトコからエネルギーを奪わずとも生きられるのだ」 #zoning_zero
2014-01-17 18:17:32更に次のデータが映し出される。オトコから気付かれずにエネルギーを吸い取る少女の画像。「そして『腐女子』と呼ばれるBl能力者は、オトコが放出したオトコソウルからほんの少しだけエネルギーを拝借して生きている。実際奥ゆかしいワザマエ!」 #zoning_zero
2014-01-17 18:17:53「欺瞞!」シルバが机の上の資料を叩き落としながら怒鳴る。「もしそれが本当であっても、Bl能力者に私の故郷は滅ぼされたのだ!」シルバは激高した。彼の脳内には、当時の惨状がソーマト・リコールしていたのだ。 #zoning_zero
2014-01-17 18:18:07シルバの様子に、バリーは眉一つ動かさずに答える。「戦うばかりではジリープアー(徐々に不利)だぞ。事実、ググレカスなどでは『腐』との共存が確認されているのだ」その言葉にシルバは更に怒りをあらわす。「欺瞞!欺瞞!」 #zoning_zero
2014-01-17 18:18:21足元のチャブを蹴り飛ばし、シルバは研究室を出ていった。その姿を見ながら、バリーはつぶやく。「悪い事をした。彼の気持ちを考えれば堪忍袋が爆発しても無理はない・・・ショッギョ・ムッジョだな」 #zoning_zero
2014-01-17 18:18:31バリーがチャブを片付けようとしたその時、コンピューターの画面に赤い警報の文字が現れた。それを見てバリーは手を止める。「これはORS警報!」 #zoning_zero
2014-01-17 18:18:43コンピューターの画面には、ジャポネットの街中が映し出されている。そこに映し出されていたのは、ミソジニ=ユリブタの父、ホモソーシャル幹部 ヘティロ=ユリブタであった。 #zoning_zero
2014-01-17 18:18:58