拒食症と家族療法

俗に言う拒食症(神経性無食欲症)について、家族関係を念頭に置きながら解説しました。
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神経性無食欲症の症状と診断

心理学たん @psycho_tan

今回は幼少期の成育環境が青年期に与える影響について、摂食障害をテーマに解説しようと思うわ。また、それに関連して家族療法についても解説するわね。

2014-01-19 20:31:43
心理学たん @psycho_tan

摂食障害っていうのは、俗に言う拒食症と過食症の事よ。前者は神経性無食欲症(Anorexia Nervosa: AN)、後者は神経性大食症(Bulimia nervosa:BN)と呼ばれているわ。今回は主にANについて解説するわ。

2014-01-19 20:32:31
心理学たん @psycho_tan

ANは、適正体重より著しく体重が少なくなるほどのエネルギー摂取不足、体重の増加に強い恐怖もしくは体重増加を妨げる行為がある、自分の体重や体型へのイメージの歪み(痩せすぎてる事に気付けないなど)、BMIを用いた重症度の測定、これらの基準によって診断されるわ。

2014-01-19 20:34:09
心理学たん @psycho_tan

DSM-4までは、女性の場合は3カ月以上の無月経も診断基準に入っていたのよ。でも、実際は月経のあるANも少なくなく、その場合は非定型摂食障害と診断されていたわ。また男性の場合では、性欲の減退が症状として見られる場合があるわね。

2014-01-19 20:35:56
心理学たん @psycho_tan

主に10代の女性に発症し、特に先進国での発症が顕著よ。これには、後述する文化的背景が深く関係しているわ。男性が発症した場合でも、女性が発症したときと周りの環境が類似していると言われるわ。これらの事から、この病気には環境が大きく影響を与えていると言えるわね。

2014-01-19 20:37:40
心理学たん @psycho_tan

さらにANは2つのタイプに分類されるわ。1つ目は制限型といって、エネルギー摂取を拒否するタイプよ。2つ目は、無茶食い/排出型といって、過食の後嘔吐や下剤を使用してしまうタイプよ。同じANでも、後者の方が抑うつや自傷行為などを伴いやすく治療上の注意を要するわ

2014-01-19 20:39:06
心理学たん @psycho_tan

ANは死亡率が高いため、早期に発見・治療することが求められているのよ。ただ、診断基準のところに体型へのイメージの歪みとあるように、ANの方は痩せすぎてると気づいていないし、自分のしてることを病的だとは気づいていないわ。そのため、残念なことに通院してきてくれる人が少ないの。

2014-01-19 20:42:32
心理学たん @psycho_tan

早期発見のポイントは、過度なダイエットをしているかどうかよ。ANの方の多くはダイエットから始まっているわ。痩せて綺麗になりたいって思うことは病気じゃないし、自然な事よ。でも厳格すぎるダイエットの結果、食べ過ぎてしまうから旅行へ行かないなんて言いだしていたら注意が必要ね。

2014-01-19 20:43:53

生物心理社会モデルとゲシュタルト心理学

心理学たん @psycho_tan

さて、臨床心理学の中では人間の持つ心理的問題を生物・心理・社会モデルに基づいて理解するわ。これら3つの要素は、独立して存在するものではなく相互に関係しあいながら、その人の心理を作り上げていると考えるわ。このような考え方はゲシュタルト心理学の基本的な考え方ね。

2014-01-19 20:45:03
心理学たん @psycho_tan

少し話はそれるのだけど、ゲシュタルト心理学についてついでに紹介しておくわ。これは、全体像は個々の要素の総和は以上の物であるって考え方ね。1+1=2じゃなくて、3や4になるの。

2014-01-19 20:46:29
心理学たん @psycho_tan

ゲシュタルト心理学の考え方を分かり易く図示したものを、図1に示すわ。図に書かれているのは一部が欠けた円形が4つよね。でも、全体を知覚すると円4つが並んでるだけではなくて、円の中心に長方形が見えるんじゃないかしら。 http://t.co/VMTjWvS5Ve

2014-01-19 20:48:45
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心理学たん @psycho_tan

この様に個々の要素(一部の欠けた円)だけを見ていては全体(中心に見える長方形)は見えなくなってしまうわ。

2014-01-19 20:49:16
心理学たん @psycho_tan

では、話を元に戻すわね。はじめに、生物心理社会モデルの図を図2に示すわ。 http://t.co/6u1zoo7oUg

2014-01-19 20:50:25
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心理学たん @psycho_tan

生物モデルには、主に医学で扱われるような薬物や訓練療法などが用いられるわ。社会モデルには、社会福祉の分野で扱われる福祉や制度の提供を行い援助するわ。心理モデルには、カウンセリングなどが用いられるわ。ただ、これらは単独で行うものではなく協働する姿勢が必要よ。

2014-01-19 20:51:04
心理学たん @psycho_tan

では、このモデルにANを当てはめてみましょうか。あてはめたものを図3に示すわ。 http://t.co/CpwpvtMSij

2014-01-19 20:51:26
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心理学たん @psycho_tan

ANの方は発症前から自尊心が低いと考えられているわ。低い自尊心を代償するために身体のコントロールを図るわ。ボディイメージの歪みは、痩せているのにダイエットを始めてしまう事や大腿部や下腹部など一部分が太ってると思って気にしすぎてしまうことがあるわ。

2014-01-19 20:52:26
心理学たん @psycho_tan

最初にも述べたようにダイエット=病気ではないわ。でも、AN患者は完璧主義な性格が強く、周りの評価に完璧に当てはめようとする傾向があるわ。 今回は言及できないけど、精神疾患にはパーソナリティ障害(人格障害とも)というものがあって、ANとの合併率が高いと指摘されているわ。

2014-01-19 20:53:42
心理学たん @psycho_tan

パーソナリティ心理学については、それ1つでテーマになるほど話題が豊富だから、2月以降いつか改めて解説させてもらうわね。

2014-01-19 20:54:33
心理学たん @psycho_tan

内的状態の気づきっていうのは、自分がどう思うかってことね。みんなが、服を選ぶ時って流行を気にすることもあるでしょうけど、自分が好きかどうかで判断するわよね。でも、この考えが欠如すると社会の作った外的な基準に束縛されてしまうの。 http://t.co/65LEy3tB7i

2014-01-19 20:56:22
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心理学たん @psycho_tan

ANは、一卵性双生児の片方が発症している場合、もう片方も発症する確率が二卵性双生児の場合よりも高いのよ。この事から、遺伝的要因が関係していると言えるわね。ANの方の場合、脳内物質のセロトニンが減少していることが確認されていて、発症と関係があるのではないかと考えられているわ。

2014-01-19 20:57:29
心理学たん @psycho_tan

摂食障害は、西洋、アジアでは日本で圧倒的に多い病気だと言われているわ。逆にその他のアジアの国やアフリカでの発症数は、あまり報告されていないわ。これらの事から、摂食障害は上で述べた心理・生物的要因よりも欧米文化に起因した社会的な精神疾患だと言えるわね。

2014-01-19 20:58:38
心理学たん @psycho_tan

文化的要因については、改めて解説するまでもなく、ファッション誌や社会的美意識の中では特に女性は肥満体型より痩せていることを求められるわ。そのため、そこに合わせてダイエットをするうちに摂食障害を発症してしまうと考えられるわ。

2014-01-19 20:59:24