茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1150回【ステレオタイプを、笑え!】連続ツイート
- riverland_c
- 2348
- 0
- 0
- 6
連続ツイート第1150回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今話題の、あのコーマシャルについて。
2014-01-21 07:28:23すわ(1)さっきNHKニュースをつけていたら、ANAのコマーシャルが炎上して放送中止になったというから、さっそく検索して動画サイトで見たら、バカリズムさんが高いつけ鼻と金髪になっていた。それで、「ANA コマーシャル」で検索したら、主に英語圏で炎上していることがわかった。
2014-01-21 07:29:30すわ(2)日本に在住の外国の人たちが、さかんにツイートしている。TLをざっと見たところでは、「金髪に高い鼻」というステレオタイプに怒っている人もいるし、笑っている人もいる。このあたりが難しいところで、笑いは、それが笑えるかどうかのボーダーラインを、常に模索している。
2014-01-21 07:30:58すわ(3)Little BritainのDavid WalliamsとMatt Lucasが来日したとき、イギリスでは王室ネタも笑いにするとはよく言われるが、実際には笑いのボーダーラインを常に探っているのだと言っていた。ダイアナ妃が亡くなった後は、王室ネタがやりにくかった。
2014-01-21 07:32:40すわ(4)今回のANAのコマーシャルは、英国コメディに比べれば表現は穏健だが、外国人と言えば「金髪」で「高い鼻」というステレオタイプを扱っている。そこには、日本人が持つそのようなステレオタイプと、そのようなステレオタイプにさらされる外国人という二重の偏見の構造がある。
2014-01-21 07:34:07すわ(5)そこで、日本に住む外国人の一部から、「ステレオタイプだ」「偏見だ」という声が上がっているわけだが、どのようなものが許容されるかは時代と共に変わる。英国や米国のドラマや映画における日本人も、ずいぶんステレオタイプだし、お互い様という側面もあると思う。
2014-01-21 07:35:25すわ(6)ただ、時代の流れと共に、ステレオタイプをナイーヴに表現することが、次第に許されなくなってきていることも事実であり、今回のANAのコマーシャルは、そのあたりの微妙な線を踏んでしまったということだろう。大好きな航空会社だけに、少し残念な思いはある。
2014-01-21 07:36:43すわ(7)一方で、ステレオタイプを笑いとして扱うことには、メタ認知を通して精神を闊達にする作用もあるから、今回のコマーシャルのようなかたちは別として、是非チャレンジすべきだとは思っている。その際、一つ重要なテクニックがある。それは、ステレオタイプを『』に入れて笑ってしまうことだ。
2014-01-21 07:37:48すわ(8)ステレオタイプや偏見は社会の中に実際ある。そのようなものにとらわれている人を、フラットにものを見ている人の立場から相対化し、客観視することで、すぐれた笑いになる。Little Britainで使われた手法だ。http://t.co/RVGvohnAGw
2014-01-21 07:41:33すわ(9)今回のANAのコマーシャルも、登場する二人とも同じ偏見の中にいる、というよりは、一人が囚われている偏見を、もう一人が、「お前、外人といったって、高い鼻と金髪ばかりじゃないぜ。なんでそんな思い込みがあるの?」と相対化していたら、すぐれた笑いの表現になったことだろう。
2014-01-21 07:42:51