茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1151回【偏見の、制圧の仕方】連続ツイート
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へせ(1)昨日、「ステレオタイプを、笑え!」というタイトルの連続ツイートで、偏見を持っている人を「」の中に入れて相対化して笑うことで、自由な空気をつくるという手法を論じた。今日はその続きである。ケンブリッジ大学に、サイモン・バロン=コーエンという自閉症研究の大家がいる。
2014-01-22 07:24:01へせ(2)その、認知科学の研究者だったら誰でも知っているサイモン・バロン=コーエンの従兄弟、サッチャ・バロン=コーエンはコメディアンであって、Ali Gや、Boratなどの複数のキャラクターを演じる。サッチャ・バロン=コーエンの手法が、偏見を乗りこえるためのヒントを与えるだろう。
2014-01-22 07:28:02へせ(3)Ali Gがハーバード大学の卒業式でスピーチした時の映像。http://t.co/AWquxoezXx Ali Gは、イギリスの郊外出身の、教育が足りなく偏見に満ちた人物という設定で、さまざまな人にインタビューをするのだけれども、その際、面白いことが起こる。
2014-01-22 07:30:10へせ(4)そもそも、(日本においても恐らくそうだが)英国では、すぐれたコメディアンは政治的にリベラルで、進歩主義的。サッチャ・バロン=コーエンも同じ。その彼が演じるAli Gが、例えばアメリカの保守的な人たち(少数派に対する差別や、性の役割の偏見を持つ人)をインタビューすると・・
2014-01-22 07:32:04へせ(5)Ali Gは、無知で偏見を持つ人物という設定なので、保守的な人にインタビューする時、もの凄く飛ばす。すると、面白いことに、保守派は、戸惑うというか、自分の主張が拡大されて、政治的に許容されないレベルになっているので、むしろAli Gをなだめるのだ(カメラ回っているし)
2014-01-22 07:33:30へせ(6)サッチャ・バロン=コーエンが演じる「Borat」もそう。カザフスタン出身という設定の彼は、アメリカに来て、さまざまな偏見をアメリカ人の保守派の人に言う。「カザフスタンでは、男と女は違う。男、馬、羊、女の順番で偉い」とか言う。すると、自身が男女偏見を持つ保守派がたじろぐ。
2014-01-22 07:34:58へせ(7)共和党の、保守政治家と選挙の際に戸別訪問をするという設定のスケッチでは、ドアベルを押して中から女性が出て来ると、Boratは、「あれれ、あなたじゃなくて、投票できる人と話したい」とか言う。女性は「この国では女性も投票できる」と言い、保守政治家は自身の偏見を照射され戸惑う
2014-01-22 07:36:56へせ(8)Steve Cooganも、Alan Partridgeという、政治的な偏見に満ちた保守派のキャラクターを演じ、偏見の愚かさを照射している。(傑作スケッチはこれ http://t.co/L371AVVfsn)「死刑賛成」の立場から極論することで、死刑制度の愚かさを示す。
2014-01-22 07:39:24へせ(9)偏見が存在する時、理性に基づく正論で向き合うのは、案外届かない。だから、その偏見をグロテスクなまでに拡大して、かえって、その偏見を持つ人がたじろぎ、「真人間」になる瞬間の面白さを通して真実を伝えるという手法を、コメディアンは時折使う。有効なやり方だと思う。
2014-01-22 07:40:45